記録のため、文字数がかなり多いですが掲載しておきます。近い将来に電子書籍にして文章化したい希望をもっています。
東工大のプロイジェクト21世紀COEにより、米国Rice大学(ヒューストン)を学生と研修訪問した際、近隣のNASA宇宙センター見学の記念写真
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最終講義レジメ :大谷大学 慶聞館(K204) 2017年2月11日
「ICTの進化と共に歩んで」
大谷大学 文学部人文情報学科 特別任用教授 池田佳和
第1章 情報技術史
1 イノベーション1:文字 情報記録
1.1 文明の誕生:集約農業、都市(王朝成立、階級分化)、金属器、文字(=情報の表現)
1.2 文字の発明(記録、書記職の発生):メソポタミア、エジプト、インダス、黄河
・シュメル:人類最古文明、ウルク古拙文書(3200BC)、ギルガメシュ叙事詩(アッカド語)
・フェニキア文字(音素文字)、ラテンアルファベットやギリシャ文字:西欧に拡散
2 漢字:東アジアの共通言語(表意文字、表語文字)>文書言語として、広く普及し定着
2.1 甲骨文字[亀甲獣骨文](殷墟、14世紀BC)、金石文、「説文解字」(100AD、9353字)
2.2 日本への伝来:吉野ケ里遺跡連弧文鏡(1世紀BC)、志賀島金印(57AD)、七支刀(4世紀)・・卑弥呼(邪馬台国3世紀)は漢字が書けたか?
2.3 王仁(わに)「論語」「千字文」(百済から5世紀渡来)、史部(ふひとべ)、和化漢文:稲荷山古墳出土鉄剣銘(471)、純正漢文:倭王武の上奏文(国書)(478)、五経博士(儒教)
2.4 仏教伝来(538/552):欽明天皇へ百済聖明王から丈六仏像と仏典が献上、新興の蘇我氏が信仰。用明天皇が帰依、飛鳥時代その子の聖徳太子(女帝推古天皇を補佐)が中央集権国家(十七条憲法)・大陸文化導入・仏教興隆、漢字漢文の定着
3 イノベーション2:メディア 記録媒体
3.1 紙の発明:中国(150BC)、大陸経由でイスラム・欧州へ、日本:7世紀までに百万塔 陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)法隆寺、世界最古印刷物
3.2 パピルス:エジプト、アレキサンドリア図書館(300BC~5世紀、アラブ文化・科学の知識集積)、以降科学の暗黒時代(キリスト教の学術研究支配、天動説、十字軍、魔女狩り)
3.3 グーテンベルク活版印刷機(15世紀、ドイツ、金属活字):聖書印刷、プロテスタント成立、書籍、新聞(マスメディアの端緒)・・木版印刷は既に存在していたが
4 イノベーション3:電気通信 情報伝達
4.1 マラソン:450BC名将ミルティアデスはマラトンでペルシャを撃退した。その知らせを伝令フィディピディスに託しマラトンから約40km離れたアテナイ(現アテネ[ギリシャ])までを駆け抜け「我勝てり」と告げた後に力尽きた
4.2 暗号:シーザー暗号(1世紀BC)、伝令に託した文書を秘匿する文字置換暗号を発明
4.3 伝達手段:使者、手紙、飛脚、早馬、駅制、伝馬制、旗振り、のろし(狼煙)
4.4 腕木通信(テレグラフ):フランスでは全国土に整備、テレグラフ・ヒル(サンフランシスコ)
4.5 電気磁気の発見:B.フランクリン(雷実験1752)、マックスウエル(理論1864年)
4.6 有線通信:ボルタ電池、モールス電信事業化(1844)、海底電信ケーブル、大英帝国・植民地通信
4.7 無線通信:ヘルツ実験(1884)、マルコーニの無線通信事業化、タイタニック号の悲劇(1912)
日露戦争日本海軍勝利の一因、戦争で軍事技術として進歩
5 イノベーション4:コンピュータ 機械式から電子式へ
5.1 C.バベッジ:階差機関(19世紀後期、英国)計算機の父だが機械は未完成(電子式ではない)
5.2 Ada(エイダ・ラブレス:初のプログラマで女性)、英国詩人バイロンの娘、バベッジ機関論文(自著)にプログラム記述
5.3 世界戦争(20世紀)が勃発、無線通信で暗号通信使用、敵は「解読」努力>情報処理システム急速進歩
5.4 エニグマ(ドイツ暗号機):天才アラン・チューリング(英)が解読機械開(電気機械式)
5.5 Colossus(コロッサス):別のドイツ暗号の解読システム(英)、(電子式、戦後も長く秘密)
5.6 ENIAC:戦後いち早く完成した電子式(真空管)コンピュータ(米、ペンシルバニア大学)
5.7 フォン・ノイマン:(現代)計算機原理の提唱、オーストリアから移住したユダヤ人天才(数学・物理)、原爆開発にも参画
5.8 トランジスター発明:ショクレーなど(真空管の置換、故障率圧倒的改善、桁違い小型化・省電力)、IC発明
6 イノベーション5:電話
6.1 電信(電報)から電話へ:自分の声で会話(通信士不要)、アメリカで大発展、巨大企業誕生“Ma Bell”(現AT&T)、ベル研究所(ノーベル賞多数)、シャノン(情報伝送理論)
6.2 長距離電話(国内)、国際電話:当初は交換手(女性)が接続
6.3 自動接続(ダイヤル通話): エピソード1
7 イノベーション6;放送とマスメディア
7.1 ラジオ:安価で広範囲の広報手段として拡大、その後に娯楽に(音楽、ラジオドラマ)
7.2 テレビ:アナログFM波から、現在では地上波デジタル、人工衛星(BS、CS)
7.3 映画:現在では映画館放映もデジタル媒体で実施
8 イノベーション7:通信衛星
8.1 静止軌道衛星(SF作家アーサー・C・クラークの小説)、距離の克服
8.2 大陸間弾道ミサイル発射実験(米ソ)、アポロ計画でロケット技術進歩
8.3 人工衛星の平和利用、その用途拡大・・GPS、気象衛星、偵察衛星
9 イノベーション8:アナログからデジタルへ
9.1 ICコスト低下(ムーアの法則)、メモリ素子の劇的価格低下、信号処理の高速化
10 イノベーション9:光ファイバー
10.1 カオ博士理論(1965年)、コーニング社原型ファイバー成功、開発競争、超低損失達成
10.2 NTT研究所高性能ファイバー作成方法(1977年)、光素子高性能化(東工大、KDD)、ケーブル実装技術、光海底ケーブル(大洋横断)
10.3 FTTH推進(住宅、事務所ビルへの光ファイバー設置)(従来の銅線電話線を置換)
11 イノベーション10:インターネット
11.1 冷戦時代(米ソ):核攻撃に一部は生き残れるネットワーク(分散制御)、パケット、V.サーフとR.カーンARPANET実験(TCP/IP、1974年)
11.2 WWW(ウェブ)とGUI(グラフィック・ユーザ・インターフェース):プログラミング技能不要
11.3 “Last One Mile”問題:ADSL エピソード2
11.4 Wi-Fi、携帯電話無線、G3、LTE、G4(無線技術の飛躍的進歩)
11.5 電話、ファックス、写真、動画までインターネットで運べる(2000年以降):エピソード3
12 イノベーション11:検索サービス(広告モデル)
12.1 Yahoo!誕生、Google誕生:なんでも「無料」革命
12.2 Amazon:ネットショッピング時代開幕
13 イノベーション12:ソーシャルメディア、CGM(消費者発信メディア)
13.1 Web2.0、Twitter、Facebook、Mixi、LINE、モバゲー、、
13.2 読者投稿サイト(CGM)、口コミサイト:YouTube、食べログ、カカクコム、クックパッド、、
14 イノベーション13:スマートフォン、タブレットPC
14.1 iPod、iPhone、iPad、タブレットPC
15 これからのICT・・ クラウド(雲)、ビッグデータ、IoT(インターネット・オブ・シングス)、クラウドソーシング、AI(人工知能)、ロボット など
以上