朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

講義のレジメ

2017-02-13 | もろもろの事

記録のため、文字数がかなり多いですが掲載しておきます。近い将来に電子書籍にして文章化したい希望をもっています。

東工大のプロイジェクト21世紀COEにより、米国Rice大学(ヒューストン)を学生と研修訪問した際、近隣のNASA宇宙センター見学の記念写真

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最終講義レジメ                                                          :大谷大学 慶聞館(K204) 2017年2月11日

 

ICTの進化と共に歩んで」

                大谷大学 文学部人文情報学科 特別任用教授 池田佳和       

 

第1章     情報技術史

 

1         イノベーション1:文字 情報記録

1.1       文明の誕生:集約農業、都市(王朝成立、階級分化)、金属器、文字(=情報の表現)

1.2       文字の発明(記録、書記職の発生):メソポタミア、エジプト、インダス、黄河 

・シュメル:人類最古文明、ウルク古拙文書(3200BC)、ギルガメシュ叙事詩(アッカド語)

・フェニキア文字(音素文字)、ラテンアルファベットやギリシャ文字:西欧に拡散

 

2        漢字:東アジアの共通言語(表意文字、表語文字)>文書言語として、広く普及し定着

2.1       甲骨文字[亀甲獣骨文](殷墟、14世紀BC)、金石文、「説文解字」(100AD、9353字)

2.2       日本への伝来:吉野ケ里遺跡連弧文鏡(1世紀BC)、志賀島金印(57AD)、七支刀(4世紀)・・卑弥呼(邪馬台国3世紀)は漢字が書けたか? 

2.3       王仁(わに)「論語」「千字文」(百済から5世紀渡来)、史部(ふひとべ)、和化漢文:稲荷山古墳出土鉄剣銘(471)、純正漢文:倭王武の上奏文(国書)(478)、五経博士(儒教)

2.4       仏教伝来(538/552):欽明天皇へ百済聖明王から丈六仏像と仏典が献上、新興の蘇我氏が信仰。用明天皇が帰依、飛鳥時代その子の聖徳太子(女帝推古天皇を補佐)が中央集権国家(十七条憲法)・大陸文化導入・仏教興隆、漢字漢文の定着

 

3         イノベーション2:メディア  記録媒体

3.1       紙の発明:中国(150BC)、大陸経由でイスラム・欧州へ、日本:7世紀までに百万塔 陀羅尼(ひゃくまんとう だらに)法隆寺、世界最古印刷物

3.2       パピルス:エジプト、アレキサンドリア図書館(300BC~5世紀、アラブ文化・科学の知識集積)、以降科学の暗黒時代(キリスト教の学術研究支配、天動説、十字軍、魔女狩り)

3.3       グーテンベルク活版印刷機(15世紀、ドイツ、金属活字):聖書印刷、プロテスタント成立、書籍、新聞(マスメディアの端緒)・・木版印刷は既に存在していたが

 

4         イノベーション3:電気通信  情報伝達

4.1       マラソン:450BC名将ミルティアデスはマラトンでペルシャを撃退した。その知らせを伝令フィディピディスに託しマラトンから約40km離れたアテナイ(現アテネ[ギリシャ])までを駆け抜け「我勝てり」と告げた後に力尽きた

4.2       暗号:シーザー暗号(1世紀BC)、伝令に託した文書を秘匿する文字置換暗号を発明

4.3       伝達手段:使者、手紙、飛脚、早馬、駅制、伝馬制、旗振り、のろし(狼煙)

4.4       腕木通信(テレグラフ):フランスでは全国土に整備、テレグラフ・ヒル(サンフランシスコ)

4.5       電気磁気の発見:B.フランクリン(雷実験1752)、マックスウエル(理論1864年)

4.6       有線通信:ボルタ電池、モールス電信事業化(1844)、海底電信ケーブル、大英帝国・植民地通信

4.7       無線通信:ヘルツ実験(1884)、マルコーニの無線通信事業化、タイタニック号の悲劇(1912)

日露戦争日本海軍勝利の一因、戦争で軍事技術として進歩

 

5         イノベーション4:コンピュータ  機械式から電子式へ

5.1       C.バベッジ:階差機関(19世紀後期、英国)計算機の父だが機械は未完成(電子式ではない)

5.2       Ada(エイダ・ラブレス:初のプログラマで女性)、英国詩人バイロンの娘、バベッジ機関論文(自著)にプログラム記述

5.3       世界戦争(20世紀)が勃発、無線通信で暗号通信使用、敵は「解読」努力>情報処理システム急速進歩

5.4       エニグマ(ドイツ暗号機):天才アラン・チューリング(英)が解読機械開(電気機械式)

5.5       Colossus(コロッサス):別のドイツ暗号の解読システム(英)、(電子式、戦後も長く秘密)

5.6       ENIAC:戦後いち早く完成した電子式(真空管)コンピュータ(米、ペンシルバニア大学)

5.7       フォン・ノイマン:(現代)計算機原理の提唱、オーストリアから移住したユダヤ人天才(数学・物理)、原爆開発にも参画

5.8       トランジスター発明:ショクレーなど(真空管の置換、故障率圧倒的改善、桁違い小型化・省電力)、IC発明

 

6          イノベーション5:電話

6.1       電信(電報)から電話へ:自分の声で会話(通信士不要)、アメリカで大発展、巨大企業誕生“Ma Bell”(現AT&T)、ベル研究所(ノーベル賞多数)、シャノン(情報伝送理論)

6.2       長距離電話(国内)、国際電話:当初は交換手(女性)が接続

6.3       自動接続(ダイヤル通話): エピソード1

 

7         イノベーション6;放送とマスメディア

7.1       ラジオ:安価で広範囲の広報手段として拡大、その後に娯楽に(音楽、ラジオドラマ)

7.2       テレビ:アナログFM波から、現在では地上波デジタル、人工衛星(BS、CS)

7.3       映画:現在では映画館放映もデジタル媒体で実施

 

8         イノベーション7:通信衛星

8.1       静止軌道衛星(SF作家アーサー・C・クラークの小説)、距離の克服

8.2       大陸間弾道ミサイル発射実験(米ソ)、アポロ計画でロケット技術進歩

8.3       人工衛星の平和利用、その用途拡大・・GPS、気象衛星、偵察衛星

 

9         イノベーション8:アナログからデジタルへ

9.1       ICコスト低下ムーアの法則)、メモリ素子の劇的価格低下、信号処理の高速化

 

10      イノベーション9:光ファイバー

10.1    カオ博士理論(1965年)、コーニング社原型ファイバー成功、開発競争、超低損失達成

10.2    NTT研究所高性能ファイバー作成方法(1977年)、光素子高性能化(東工大、KDD)、ケーブル実装技術、光海底ケーブル(大洋横断)

10.3    FTTH推進(住宅、事務所ビルへの光ファイバー設置)(従来の銅線電話線を置換)

 

11      イノベーション10:インターネット

11.1    冷戦時代(米ソ):核攻撃に一部は生き残れるネットワーク(分散制御)、パケット、V.サーフとR.カーンARPANET実験(TCP/IP、1974年)

11.2    WWW(ウェブ)とGUI(グラフィック・ユーザ・インターフェース):プログラミング技能不要

11.3    “Last One Mile”問題:ADSL エピソード2

11.4    Wi-Fi、携帯電話無線、G3、LTE、G4(無線技術の飛躍的進歩)

11.5    電話、ファックス、写真、動画までインターネットで運べる(2000年以降):エピソード3

 

12      イノベーション11:検索サービス(広告モデル)

12.1    Yahoo!誕生、Google誕生:なんでも「無料」革命

12.2    Amazonネットショッピング時代開幕

 

13      イノベーション12:ソーシャルメディア、CGM(消費者発信メディア)

13.1    Web2.0、Twitter、Facebook、Mixi、LINE、モバゲー、、

13.2    読者投稿サイト(CGM)、口コミサイト:YouTube、食べログ、カカクコム、クックパッド、、

 

14      イノベーション13:スマートフォン、タブレットPC

14.1    iPod、iPhoneiPad、タブレットPC

 

15     これからのICT・・ クラウド)、ビッグデータIoTインターネット・オブ・シングスクラウドソーシングAI人工知能)、ロボット など

 

以上

 

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「最終」講義

2017-02-13 | もろもろの事

とりあえず、京都での仕事の区切り行事でした。・・「最終」という言葉の響きが、なにか、おどろおどろしいと思います。

このようなスライドを含め数十枚を準備しました。

1時間程度のお話をしますと一ヶ月前に幹事さんに予告してスケジュールを作ってもらいました。ですが、当日の明け方まで推敲していてとうとう相当な枚数になってしました。

 結果的に、2時間近くの分量になってしました。

 

 広い教室で皆さんが来てくれるか、建国記念日・土曜日で連休初日だったのですが、予想外に多くの学生さんや同僚、友人が参加してくれました。

ゼミの卒業生のリストを見ると、全員で104名の学生さんの卒業論文を指導したことになります。そのなかの何人かが駆けつけてくれました。

懐かしい。立派に社会人となっています。

会社に勤めていた時にも勤務最後の日に花束を頂きました。今回もこんな春らしい花を頂きました。感謝。

orz

 

コメント (2)
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