国際正義を語れる国へ
――責任ある大国、日本の復活を世界が待っている
[HRPニュースファイル1073]
http://hrp-newsfile.jp/2014/1599/
文/HS政経塾1期卒塾生 彦川太志
◆集団的自衛権容認で何が変わるのか
7月14日と15日の二日間にわたり、衆院予算委員会で集団的自衛権の行使容認に関する審議が行われました。
今後は自衛隊法等の具体的な「法改正」に向けた準備が行われることになりますが、自民党は来春に控えた統一地方選への影響を考慮し、2015年春まで「先送り」されることが予想されています。
このように法案提出までは相当の時間がありますが、今回の閣議決定によって、今後自衛隊の行動にどんな変化が出るのか。また、わが国の外交にどのような展望が開けるのか、マスコミの報道だけでは分かりにくい面がありますので、外交評論家の岡崎久彦氏の発言を中心にまとめてみたいと思います。
◆米海軍と共同でシーレーン防衛ができるようになった
外交評論家の岡崎久彦氏は、政府解釈の変更が閣議決定された当日7月1日の報道ステーション(テレビ朝日)のインタビューで、「これで日本の生命線たるシーレーンのすべてを自衛隊がパトロールできるようになる」と具体的な変化を指摘しています。
岡崎氏は法整備を待たずして、解釈変更だけで米海軍との共同パトロールが可能と指摘しており、日米同盟の抑止力が高まることはもとより、同盟国として「ともに汗を流すこと」が同盟の絆を固める効果があるとしています。
◆国連常任理事国入りの現実味が増してきた
さらに岡崎氏は、集団的自衛権に関する解釈変更によって、米軍やASEAN諸国の軍隊に自衛隊の「顔が見える」ようになることは、日本の国連常任理事国入りにとってプラスに働くことを指摘しています。
9年前、日本やドイツ・インド・ブラジルが国連安保理常任理事国の議席を増やす提案を行いましたが、中国の顔色を伺うASEAN諸国の支持を取り付けることができませんでした。
その原因として、国際正義を守るための軍事力行使について後ろ向きな日本政府に、信頼が集まらなかったという点が挙げられています。
日本海軍の伝統を受け継ぐ海上自衛隊の規律・能力を目の当たりにすることで、わが国にたいする国際的信頼が高まると共に、中国に必要以上におもねる国も減ると想定されています。
折りしも9月から国連総会議長に就任するサム・カハンバ・クテサ氏(ウガンダ外相)が、朝日新聞のインタビューに応じて「国連は来年で70歳。常任理事国を増やすなどの改革が必要。」と発言しており、国連改革の機運も高まりつつあるといえます。
こうした国連安保理改革をも視野に入れた場合、安倍首相の「積極的平和主義」をさらに具体化し、憲法において「自国の防衛」と共に、「国際正義を守る」ための自衛隊、という定義を明確にしていくことが重要と考えられます。
そういった観点からも、自民党は集団的自衛権の解釈変更にとどまることなく、きちんと憲法9条改正をも訴えていくべきではないでしょうか。
◆内閣支持率の引き下げに躍起となる大手報道機関
ところで、集団的自衛権の行使容認に関する閣議決定がなされた後も、容認反対派の攻勢が続いています。
特に7/14の東京新聞記事「滋賀知事選 自公敗れる 集団的自衛権・やじ影響」という生地では、「集団的自衛権の行使容認が内閣支持率の低下に繋がった」とする印象を植え付ける意図が感じられます。
しかし、議論の「幹」である国防強化のそもそもの必要性よりも、「議員の資質問題」や「開票不正操作問題」など、全く別の論点と引っ掛けて※内閣支持率を引きずり下ろそうと考える意図が見え見えです。
(※高松市の開票不正操作など、明確に違法性がある案件については当然、法に則って処罰されるべきです。)
◆あまりにも感情的な社民党のポスター
そのような反対派の活動の中でも、ここ数日注目を集めるのが社民党のポスターです。「あの日から、パパは帰ってこなかった」というキャッチで、路頭に迷った戦災孤児を思わせる印象操作が行われています。
確かに現実に戦闘が始まれば、死傷者は必ず発生します。しかし、「全体主義国家による侵略を抑止する」という使命に従事する自衛官の皆様は、「一身の安全に換えてでも、一億数千万の国民の安寧を守る」という高次の精神に奉仕しているのであり、中国・北朝鮮に対して「侵略戦争は許さない」という国際正義の防波堤としての役目を担ってくださっているのです。
もし、そのような「武士道精神」を発揮する人たちがいなければ、社民党風に言って、「あの日から、国は戻ってこなかった」と書き換えられる事態を呼び込むことは間違いありません。
参考記事
7月2日 産経 「正論」岡崎久彦氏
7月5日 朝日 「集団的自衛権容認 『よくなかった』50%」
7月12日 朝日 「常任理事国増やす改革を」 次期国連総会議長クテサ氏
7月14日 東京 「滋賀知事選 自公敗れる 集団的自衛権・やじ影響」
7月14日 NHK 「世論調査 内閣支持は47% 不支持は38%」
7月17日 朝日 「社民ポスター「パパは帰ってこなかった」 集団的自衛権」
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