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Mikuのブログ

風評被害を招く政府の不可解な出荷制限

2011-04-01 15:00:50 | 原子力発電・エネルギー問題

 

茨城県産のホウレンソウから暫定規定値を超える放射線量が検出されたこと等を受け、政府は21日、福島、茨城、栃木、群馬4県の知事に、ホウレンソウとカキナの出荷制限を指示。さらに福島県には牛の原乳の出荷制限を指示しました。

政府は「出荷制限の対象品目を摂取し続けたからといって、直ちに健康に影響を及ぼすものではない」「人体に影響を及ぼすような数値ではない」と繰り返し説明しています。

この政府の措置に対して「人体に影響はないのに、なぜ出荷制限するのか?」といった疑問や不満が噴出しています。

東京都の猪瀬副知事も「菅首相が4県の『出荷制限を指示』しながら『過剰な反応がないよう冷静な対応を』は矛盾している」と指摘しています。

実際、政府が使っている基準は、原発事故を受けて厚生労働省が暫定的に出した基準値に過ぎず、この基準が本当に妥当なのか、十分な検証がなされていないまま出荷制限がなされています。

「健康に影響」があるとされる目安の放射線量は年間100ミリシーベルト(10万マイクロシーベルト)です。

今回、問題となったホウレンソウ(1キロあたり約1200マイクロシーベルト)を1年間で83キロ食べた場合に「健康に影響が出る」計算です。

実際には1年間にこれだけの量のホウレンソウを食べることは考えられず、暫定基準値自体に疑問の声も出ています。

農家にとっては、補償がなされるにしても、一生懸命育て、作って来た農産物が廃棄されることは耐えがたい苦痛です。

特に今回の措置に伴う「風評被害」が懸念されます。マスコミも、日経以外は1面で大見出しで報道するなど、国民の食品への不安を煽っており、既に4県以外の出産地の野菜や、他の葉菜も売れ残りが問題になっています。

福島県の酪農家らは「あんな発表をすれば(福島は)嫌われる。福島は広いので影響を受けていない地域もある」「(自分らは)何も悪いことはしていない。被害者だ」「国と東京電力が初期対応を誤ったからだ」と憤りを隠せない状態です。

茨城県の橋本昌知事も「健康に影響を及ぼすとは考えられないレベル」と強調。検出されたのは露地もので「今はほとんど流通していない」と強調し、風評被害を打ち消すのに必死です


私は先日、福島県に入った時、「(実際には健康上、問題が無くても)風評被害で福島のコメや農作物、酪農、漁業は壊滅的打撃を受ける。観光客も来なくなる」といった危惧の声を多数耳にしました。

政府には、こうした被災地の危惧の声は届いていないのでしょう。
政府は、健康に影響があるのか、無いのか、明確な見識を持たないまま出荷制限をなし、風評被害を拡大しています。

また、政府は出荷制限の補償について「一義的には東京電力に責任をとってもらう」と表明しています。

「人体に影響を及ぼすような数値ではない」のに出荷制限を判断し、その損失補償を一方的に東電に押し付ける政府のやり方は「責任逃れ」としか言いようがありません。


民主党政権がこのようなチグハグな対応を続けていれば、日本はエネルギー危機に続いて、食糧危機に直面することは避けられません。

                                                    黒川 白雲


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