行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

技能実習制度より特定技能の方がベター?

2018-11-30 09:55:09 | 社会・経済
 巷間、入管法改正の論議で、拙速だとか、

 或いは、移民に繋がるのでは?とか色々と

 言われてはいるが、私は全くそうは思わない。

 少なくとも、現行の技能実習制度では、

 以下の大きな問題点がある。


1.技能実習生に、実習先の選択権がなく、

 事実上、受入先である実習先機関で拘束され

 ている。これが、実習生への劣悪な待遇に

 繋がっているのだ。

  ところが、特定技能となれば、同業種での
 
 転職が可能となることから、劣悪な勤務先は、

 自然と淘汰されることになる。

2.また、送り出し機関の必要が無くなるので、

 不当な金員を送り出し機関に要求されたり、

 払う必要がなくなり、技能実習生に掛かって

 いた経済的な負担が、特定技能では無くなる。

3.技能実習制度で義務付けられていた監理団体、

 これらを管理・監督するJITCOや技能実習機構

 などの天下り団体による介在が不要になり、

 受入先の経済的な負担が大幅に軽減された分、

 特定技能外国人への正常な報酬額の支払いが、

 可能となる。但し、登録支援機関へのなりすまし、

 又は、支援と無関係の団体・個人の排除も大切だ。

4.そして何よりも、大多数の技能実習生が事実上の

 単純労働の補填労働力として機能している現行制度

 の矛盾が、やっと終焉を迎えることなって、

 はじめて正常化されることだ。

 
  一方、移民に繋がる特定技能2号についてだが、

 基本的には、家族の帯同を認めないことは、人道上

 大きな問題を抱え、国際的な批判を浴びることに

 なると考える。
  
  では、移民に繋がらないようにすることは、

 どうしたら良いかというと、現行制度を利用した

 以下の方法で簡単クリアーできるのである。

  現行の永住許可要件は、最大の許可期間を

 授与されていない場合には、許可されない仕組み

 となっている。そこで、特定技能2号を受けた者は、

 当面の在留許可期間を1年とすれば良いのである。

  その中で、優秀な技能者に対しては、在留許可期間を

 3年として、更に日本語力の高い者については、5年と

 すれば良いのである。そして、これら者について、

 その時の経済環境を考慮して永住許可基準を変えれば

 良いだけの話しなのである。

  これは、現行の制度のままなのであるから、現行制度

 の運用だけで、十分に対応・管理できるのである。

 
  以上、現行の制度の中で、技能実習生への依然として

 減らない劣悪な労働環境を生んでいる技能実習制度を

 飽くまでも放置し、そして残すのか?、或いは、

 明らかに改善が見込めるこれからの特定技能制度に

 移行させるのか?

  私達が今決断しなければならないことは極めて明白だと

 思うのである。

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移民なのか、長期滞在者なのか?

2018-11-06 11:41:11 | 行政書士のお仕事
 先週1週間で届いた在留資格認定証明書交付者

 7名と、在留期間更新許可者2名について、

 日本での永住を希望するかどうかを

 考察してみようと思います。



 まず、上記の在留資格認定証明書の交付を

 受けた方々、7名全員の在留資格が

 「企業内転勤」です。

 つまり、本国からの長期出張者である

 ことから、日本での永住を希望する

 方々は、皆無だと思われます。

 一方、在留期間更新許可を受けた方々の内、

 お一人の在留資格は「経営・管理」であり、

 本邦でも会社経営はされてはいますが、

 おそらく親会社のある本国がメインの

 活動拠点であろうかと想像されますので、

 本邦での永住希望はどうでしょうか?

 もう一人の方は、本邦の大学を卒業されて、

 昨年、就職された方で、本邦での永住を

 希望される可能性も多々あるでしょうが、

 一人っ子ですので、ご両親のことを考えれば、

 本邦での永住はどうかな?とも思われます。

 従って、可能性としては、本邦での永住を

 希望する外国人の方々の確率ですが、

 当事務所の顧客層に限って言えば、

 0%~22.2%(平均で11.1%)

 しかいないことになります。

 勿論、当事務所の顧客層の話であって、

 他の在留資格、特に、身分系在留資格や

 技能系の在留資格が多い事務所では、

 話は全く逆となるかもしれません。

 これは、飽くまでも個人的な経験を基にした

 傾向だけの推論ですが、どちらかと言えば、

 所得がやや低い外国人の方々ほど、

 本邦での永住を望む傾向があるようです。

 さて、来年施行される特定技能1号・2号、

 どのような運用がなされ、どのような

 外国人の方々がやって来るのでしょうか?

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