TPPとは、「環太平洋戦略的経済連携協定(Trans Pacific Partnership)」の略称だそうだ。2006年にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4ヶ国で始まり、その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの4ヶ国に加えてマレーシアも参加表明おり、カナダ、コロンビアも参加の意向を表明しているといわれている。
これらの国々への年間輸出総額は、約13兆円だそうで、全輸出額の約4分の1に相当するのだそうだ。しかし、隣国のである中国や韓国はまだ参加表明はしていない。
じゃあ、何もあせらず、もう少し様子を見たらいいじゃないか! とも思えるのだが、実はそうも言っておられないようだ。
それは、隣国で今や工業品のライバル国となっている韓国がつい先日の10月6日に電撃的にEUと自由貿易協定に署名したのだ。それによって、韓国はEUとの間で、191億ユーロ(約2兆1,000億円)の新たな取引をもたらし、今後20年のEU・韓国貿易が倍増するといわれるいる。この事が日本の輸出産業界にとって衝撃的な出来事だったようだ。
つまり、韓国がEUを中心とする経済圏に既に参加している以上、米国、カナダ、メキシコの自由貿易圏NAFTAや南米貿易圏MERCOSURなどにも連動するこの環太平洋経済圏であるTPPへの参加を、日本が躊躇していると、韓国に横取りされて日本が世界貿易上孤立するかもしれないという、差し迫った危機感があるようだ。
とはいえ、TPP参加予定国は米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと強力な農産品輸出国ばかりである。つまり、工業品の関税が撤廃され、これらの国々との輸出が増えるよりも、おそらく安い農産品の輸入が急増する事は目に見えているのである。
しかしながら、もし韓国が日本を出し抜いてこのTPPの参加国になった場合、日本も参加したいと急に言ったとしても、直ぐに加入が認められるとは限らない。寧ろ、常識的には直ぐには加入が認められないと考えるべきであろう。
しかも、この加入を待つ期間の5年、10年のあいだに、日本の輸出産業界が関税が障害となって崩壊してしまい、もう既に加入する意味さえなくなってしまっては手遅れである。という言い分も確かなようである。
さてさて、まことに困った困った話なのである。農業を保護して、国家の多くの産業が壊滅してしまう事だけは避けなければならない。かといって、日本の農業や畜産業も壊滅的な打撃を受けることはこれも間違いない。
やはり、このTPP加盟によって、結果として輸出維持又は増加のメリットが得られる業界と安い農産物によって家計が助かる国民とで、農業、畜産業界へ対する補償を負担するしかなさそうである。
例えば、日本の輸出総額54兆円の4分の1である13兆円の5%、6,500億円を輸出産業界から、安い農産物、畜産物による直接的な利益えお得る国民負担としてTPP品消費税(2%?)として同じく6,500億円、そして輸出維持又は増加による納税の維持又は増加による国家としてメリットと農業・畜産振興として1兆3,000億円、合計で2兆6,000億円の補助金で農家や酪農家を救済するしかなさそうである。
もっとも、経済界が強欲にもこれらの負担義務さえも行わず、権利のみを主張するのであれば、やはり日本は世界的に孤立化し、しいては、昔々日本という工業国がありましたという日本没落へのシナリオへのプロローグとなるかもしれないのである。