先々週だったか、東京港区の行政書士が逮捕された、との醜聞が新聞記事になっていた。ここのところ、このように犯罪を犯すバカタレが多いようである。敢えて、バカタレと強調して言わせて頂きたい。僅かなお金のために、書類を偽造したり、戸籍・住民票の請求書を転売したりと、私にはとても理解できない輩である。
また犯罪を犯す弁護士も多い、判決文を偽造したり、依頼人のお金を着服したり、はたまた、投資で大損して雲隠れしたりと、こちらも最低な輩である。
他にも税理士、社会保険労務士等々、と沢山の士業がいるのになぜか犯罪を犯す士業は、行政書士と弁護士ばかりが多いのである。不思議な傾向である。そして、どちらにも共通している事は、金銭絡みである事だ。
では、弁護士よりも確実に収入の少ない筈の、これらの事件を起こした行政書士達は、金に困り果てて起こした事件かというと、そうでもないように思う。昨年逮捕された支部長まで務めて、単位会の会長選まで立候補したNなどは、かなりビジネスとしては、繁盛していた筈だ。
こうして見ると、経済的に困窮して犯した犯罪でない事が寧ろ問題なのである。つまり、こういった輩は、何をやっていようが、いづれは犯罪を犯す体質を、最初から持っていたと云わざるを得ないのである。
しかし、こういった人間が犯罪を犯すには、それなりのきっかけがあった筈である。さすがに、自ら進んで、こういった犯罪を犯した同業(弁護士については知らないのだが・・・)はいないと思いたい。
では、実際にどのような誘惑があるのかを、士業へ依頼する側にいた7年数ヶ月での経験や、逆に依頼される側である行政書士になってから8年数ヶ月の経験から、それぞれ検証してみたいと思う。
そもそも、一部の企業経営者の中には、未だに法令遵守という考えが全く無い人々がかなりの数いるのである。私自身も、雇われ経営者であった事があるので、良~く分かるのである。「商売で儲けるには、きれい事なんて言っていられない」と思っている経営者の方々が、実際に未だかなりの数いるのである。
昨今、雪印乳業、三菱自動車、西武鉄道、グッドウィル、フルキャスト、石屋製菓と、会社の存亡までも脅かすような事件を起こしている有名企業がなんと多いことだろうか!実に嘆かわしい話であるが、これが経営者のモラルの低さの証拠なのである。
昔、会社員であった頃、社長連中が、以下のような事を言っていたのを良く聞いたのである。
「法律どおりに、税金払うんだったらよ~税理士なんかにゃ頼まねぇよ。どうやって、税金を誤魔化すかを教えくれるのが税理士なんでねぇの?あいつは、使えねぇな。税務署の片棒担いでいやがるぜぇ!」とか、
「おめぇ、役所なんぞに出す書類なんぞぁ、適当に嘘書きゃいいんだよ。あいつら、どうせ税金で食っていやがるんだからよぅ!ばれたら、間違えましたって、それでOKだぜぇ!テメエ、ビビってねぇで、ささっと書いちまいなぁ!って社員に言ってやれよ。」とか、
「おめぇ、商売なんかはなぁ、将来の環境の事なんたぁ、どうでもいいんだよ。今、儲けなくてどうするの?そんな事たぁねぇ、偉~いお方達が考えてくれるわけでねぇ、オレッチには関係ないの!わかる?」とか、
こんな程度の考えの経営者がバブルの頃は、山ほどいたのである。いや、今でもいると、私は確信している。
こんな、遵法精神の欠片も無いような経営者から、依頼を受けたらどうするのか?答えは簡単である。はっきりと断る事である。知人・友人に紹介された方であって、無碍に断れない場合でも、絶対に引き受けてはいけないのである。
えてして、こうゆう経営者は、報酬の金払いが悪い上に、必要な書類は用意しない。その上に、開き直って文句を言ってくるのである。もう、始末に負えないのである。こんな、経営者と付き合って、更に仕事を紹介されたら、それこそお終いなのである。
昔の人は、上手いことを云ったものである「類は友を呼ぶ」と。本当に、こういった依頼人からの仕事は、決して引き受けてはならないのである。たとえ苦しくても、喉から手が出そうに仕事が欲しくとも、決して引き受けてはならないのである。逆に、質の良い依頼人からの仕事で、良い仕事をすれば、やはり必ず質の良い知人・友人を紹介してくれるのである。これは、私自身の経験であるから、絶対に間違いはないのである。
それでは次回は、どのような事例では断った方が良いのか。そして、その断り方などを実例を交えてお話しようと思う。