もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

AI犯罪

2020年02月03日 | 科学

 AIを悪用した犯罪が報じられた。

 犯行は、親会社CEOの音声をAIに学習(ディープラーニング:深層学習)させた上で当該CEOに成りすまし、子会社CEOに電話して2600万円を不正送金させたものとされている。昨年の紅白に登場した「AI美空ひばり」の歌声と歌唱法は、我々の記憶にあるひばりさんそのものと感じられたことを思えば、なりすまし電話など簡単なものであるだろう。防止策としてはコールバックして再確認することくらいしかないようであるが、現在でも後を絶たない振り込め詐欺も、声までそっくりなAI我が子が掛けてくる切実な訴えは更に親心を刺激してコールバックすら忘れさせてしまいかねない。AIが取り沙汰されるようになった頃(つい先日)から、AIは業務処理能力では人間を超え、業務分析や将来予測では常人の考え及ばない結論を導き出すとされ、人間の職場・雇用が奪われるかも知れないとされている。「AI美空ひばり」や報じられた犯罪から見て、エンタメの世界でも物まね芸人は淘汰されて、極端なデフォルメのコロッケ氏と見た目のギャップが売りのリンゴちゃんくらいしか生き残れないのではないだろうか(笑)と想像する。また、既に動画とAI音声を融合させるアプリも登場して、フェイク発言をする指導者やハリウッド女優の卑猥動画も氾濫しているらしい。政府が発表したAI7原則(指針)は、人間の基本的人権を侵さないことや企業に決定過程の説明責任を求める等、企業活動にAIを導入する場合の原則であると考えるが、AIを利用した犯罪に対しては刑の上限を2倍にする等の刑法改正も考えなければならないのではないだろうか。

 自分のPCでも、入力に対して「○○では?」と注意喚起してくれる。機械の補助はこの程度で十分であり、AI搭載PCでは同種の入力ミスを複数回繰り返せば、たちどころに痴呆改善サプリの購入サイトに導かれたり介護施設への入居手続きが始まることになるのかも知れない。AIは便利な機能で社会を変革する可能性を持っているのだろうが、悪知恵を発達させることも簡単にできるものと思う。近い将来、AIの悪意を見極め得るヒトになることが求められる時代が確実に来るものと思う。