もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

インドの地方選挙結果に触発されて

2020年02月18日 | 社会・政治問題

 インドのデリー首都圏議会選挙で政権与党(委員度人民党)が地域政党に大敗した記事を読んだ。

 インドに関する自分の知識を列挙すると、紀元前3000年のインダス文明、東インド会社による英国の搾取、ガンジーの非暴力抵抗、チャンドラ・ボースの独立運動、パキスタン分離、カシミール紛争、核保有国程度であるので、ウィキペディアの関連項目を斜め読みした。インドは中国に次いで第2位(13億人)の人口を持ち、近い将来には人口抑制策によって増加が鈍化した中国を追い越すことは確実視されている。政治的には28の州と9つの連邦直轄領、およびデリー首都圏で構成される連邦国家で、間接選挙で選出される大統領を元首としている。人種的にはインド・アーリヤ族,ドラビダ族,モンゴロイド族等の多人種・多民族国家と認識されているようであるが、比較的に早くから混血が進んだために、人種間の対立よりも人種に付随して発生したカースト制度による分断・対立の方が根深いとされている。連邦公用語はヒンディー語であるが、憲法で公認されている言語が21あり、おもな言語だけで15を超えるためルピー紙幣には17の言語が印刷されているそうである。憲法では連邦公用語はヒンディー語に統一し、憲法発布後15年で旧宗主国(イギリス)の公用語である英語を廃止するとしているが、現在でも英語教育が廃れることはなく、ニューデリーの公立学校やインド各地の私立高校では初等教育から英語で教育が行われているようである。このため、核保有や火星探査衛星の打ち上げ等の高度な技術を保有し、医術・IT開発等で海外で活躍する「印僑(華僑に倣って)」が全世界で増殖しているそうである。2000年代以降著しい経済発展を遂げたBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)の一員としてG7に迫る勢いのインドであるが、経済成長急進国の例にもれず貧富格差や腐敗は深刻で、国民全体の識字率は70%強、1日65ルピー(100円弱)未満で暮らす貧困人口は3億人、屋内トイレは不浄とする教義にも起因するが40%の人間が屋外で用を足し、反汚職組織の調査では1年間に賄賂を支払った経験が19万件も存在するとされているが、これらの統計は中国以外には厳しい目を向けるユネスコや人種差別撤廃委員会のデータであるので、盲目的には信頼できないものかも知れない。

 昨年の総選挙で2/3の圧倒的な議席を得た政権与党であるが、今回の選挙で大敗した原因は、現政権のヒンズー重視政策と経済成長の恩恵が実感できないことが挙げられているが、最大の要因は地域政党が掲げた「医療費の無料化」公約であるとされている。今回の選挙結果で、現政権に陰りが見えたとの観測もあるが、医療費無料化という甘言に靡いた民衆も、国防や外交が問われる国政選挙では違った選択をするものと考えている。何しろ3桁の掛け算を暗算でこなす民族である。