元朝日新聞記者の植村隆氏が、控訴審で敗訴したことが報じられた。
裁判は、慰安婦であった「金学順」の証言テープを聞いた1991(平成3)年8月11日と、金学順が日本政府を提訴後の12月25日に書いた記事を「捏造}と指摘した西岡力・櫻井よしこ両氏と関連する出版社3社に対して名誉棄損、謝罪文掲載、損害賠償を求めて、植村氏が2015(平成27)年に提訴したものである。1審の札幌地裁は2018年に植村氏の請求を棄却(のち控訴)、昨日(2020年02月06日)札幌高裁が1審判決を支持し請求を棄却したものである。提訴された西岡氏を含む被告側が「上村氏は金学順が養父に身売りされた慰安婦であることを承知しながら、国策である勤労女子挺身隊を連想させる女子挺身隊」としたことは記事の捏造に当たるとしていることに対して、原告の植村氏は「当時は慰安婦を挺身隊と呼ぶのが一般的であり捏造に当たらない」と主張し、加えて被告が醸成した反日記者の烙印が自分の再就職や家族の人権も侵害しているとしている。自分の知るのはこの程度であるが、新聞記者であ植村氏が、養父に身売りされた慰安婦と国策で強制した勤労挺身隊を混同することは考えられないし、もし両者の違いを知らなかった場合でも裏を取って記事にすべきであろう。さらには上村氏の義母が日本政府を提訴した金学順の支援者(幹部)であること、韓国語にも堪能であること、吉田清治氏の慰安婦強制連行を真実と捉えた社風、朝日新聞退職後の活動から、上村氏の記事は確信犯的な捏造が真実のように感じられる。このことは、地裁・高裁の判事が被告(西岡氏・櫻井氏)の推論には合理性が有るとして植村氏の請求を棄却したことからも真実に近いものであろうと考えている。何はともあれ植村氏のの記事が、それまで「まさか」と疑問視されていた吉田清治氏の著書を強烈に補完するものと捉えられ、現在まで国際的な根拠とされる1996年のクマラスワミ報告に繋がっていることは間違いのないものと考える。
植村氏の提訴についても、ジャーナリスト間の論争を法廷の場に持ち込むことに異論があるとも伝えられている。通常、名誉棄損が提訴される背景には、被告が法廷以外に主張の場がないこと、また、芸能人・政治家が報道機関を訴える場合のように共通の土俵上にないために司法判断を求めるということが大半であると思う。しかしながら、両者はジャーナリストであり、力の差はあるであろうが、植村氏も相当の発信力を有していることから、ペンにはペンで対抗すべきとする意見には賛成である。植村氏が真のジャーナリストならば、字句の誤用と抗弁する以上に、現在を含めた信条、日韓関係に及ぼした影響の考察、などもつまびらかにする必要があるのではないだろうか。韓国で従軍慰安婦問題を提起したことを評価されて賞を甘受(感受?)している事実から見て、真意は既に明らかであるとは思うが。