福島瑞穂議員が無投票で社民党党首に返り咲いたことが報じられた。
福島議員の党首就任は、7年ぶり、通算では6期・10年以上となる。改めて社民党の歴史を振り返ると、公党が凋落する典型とも感じられる。社民党は長らく低迷を続けていたものの反米・反軍(自衛隊)には共鳴するが共産党にまでには至らないという根強い左派支持者に支えられていたが、村山富市党首が自衛隊合憲として自民、さきがけと連立政権を組んだことで大きく票を減らし、拉致問題は公安の捏造としていた土井たか子党首の主張が小泉・金正日会談で覆ったことによって党首までもが選挙区で落選するという大敗を喫した。跡を継いだ福島氏は起死回生の便法として反米・反軍に先祖返りしたものの、民主党との連立に当たって自衛隊は「違憲状態」と表現を改めた。しかしながら、普天間基地の辺野古移転の閣議決定には閣僚としての署名を拒否して閣僚を罷免され連立からも離脱することになったが、署名拒否の背景には、署名することによって牙城である沖縄選挙区を失うとの危機感が大きな理由とされる。具体的な政策や代替案を持たないまま政府提案の全てに反対する姿勢から「何でも反対党」と揶揄されながらも支持していた有権者も、政権(権力)にすり寄るためには一丁目一番地である反米・反軍の看板を下ろすという身勝手さ・手前味噌には愛想尽かししたものであろう。公職選挙法では、比例区に候補者を立てたり、政党交付金を受け取れる「政党」は国会議員5人以上若しくは直近の衆院選か2回の参院選での得票率が2%以上と定めらている。現在の社民党は衆参合わせて4名の議員しか擁していないが、先の衆院選と参院選でかろうじて2%強の得票を得たために2025年までは政党として存続できるとされている。立憲民主党への合流に消極的ともされる福島党首であるが、この先も社民党として党勢を拡大できる秘策を持っているのだろうかと興味は尽きない。取り沙汰される野党合流については立憲民主党が欲しいのは社民党が持っている地方組織だけであり、頑なな原理主義者4名や何でも反対の旗頭など欲しくはないのは明らかであることを考えれば、有利な身売り・嫁入り先が他にあるとも思えないのだが。
辻元議員が長期政権の弊害として「鯛は頭から腐る・・・」と悪態をついたが、野党でも立憲民主党には党首の任期や交代の手続きすら定めてなく、社民党は多選・長期の福島党首を選び、共産党は20年以上も志位氏が委員長の座にある。時代に適応できずに旧態依然の老舗「社民党」の消滅劇をリアルタイムで鑑賞することになるのは間違いのないところであろうか。