一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和』

2014-04-02 | 乱読日記

「白熱教室」どころか発火しがちな議論を白熱せず(、「朝生」にもならず)に戦わせるにはどうすればいいか。

本書は平和主義(=非暴力によって問題解決をはかる)の立場に立ちつつ、「平和主義」といっても多様なパターンを類型化し・評価し、著者のスタンスを特定するとともに、平和主義と反対の立場をとる非平和主義「正戦論」「現実主義」「人道介入主義」を検証している。

もっとも、本書は著者の主張ではなく、議論の過程を味わうための本と言える。

・・・本書は、平和「主義」あるいは非平和「主義」という特定の結論を、一足飛びに読者に推奨するものではない。そもそも戦争と平和めぐる論争が、本書のような小著によって収束するなら、それが今日までかくも長きにわたって続いてきたはずがない。本書で行ってきたことは、論争の継続であって、論争の決着ではない。哲学の役割はアジテーションではなく、議論の構造を明らかにし、その論理の力を確かめることである。科学的説明と同様に、哲学的議論もまた、反証のリスクを喜んで引き受けなければならない--しかしどうか、反証は議論の良し悪しを標的とするものであってほしい。もちろん筆者には筆者なりの議論の着地点があるが(それは先ほど述べた)、道筋はほかにも無数に広がっている。

その意味ではサンデル教授の「白熱教室」の平和主義における応用編とも言えるし、特に平和主義、戦争の是非の議論については「白熱」せずに議論をすることの難しさを改めて認識するための好著でもある。

 

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