一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ヤクザと憲法』

2016-02-21 | キネマ
最近は備忘のための本や映画のレビューがメインなのですが、それでもブログに向かうエンジンがかからずに花粉症の季節を迎えてしまいました。
リハビリをかねて映画のレビューからぼちぼちと。

で、表題作。

東海テレビのスタッフが、暴力団事務所を密着取材したドキュメンタリー映画。
撮影にあたっては、

 ・暴力団事務所に密着取材謝礼は支払わない
 ・登場する人は基本モザイクなし
 ・取材映像は事前に見せない

をルールにした。


映画では、暴対法以降風当たりが厳しくなったヤクザの日常を、部屋住みの組員を中心に、「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語る組長や、自らがかかわる案件で刑事告訴された山口組の顧問弁護士の訴訟の経過なども同時進行で描かれる。

詳細は公式サイト
http://www.893-kenpou.com/


銀行口座が開設できなかったり(そうすると子供の給食費の引き落としができず、金を持参すると親がヤクザだとばれてしまう)、自動車保険金を請求すると詐欺と疑われたり、顧問弁護士には陰に日向に圧力がかかる、という日常と、その中でシノギをしていく様子(一部モザイクがかかっていたり、取材拒否があったりする)が描かれる。

暴対法や企業の暴力団排除によって、暴力団と構成員の経済活動は日常生活に至るまで相当制約がかかっているし、警察は徹底的にマークして微罪でも検挙する。
それを日本国憲法で保障された基本的人権の侵害ととらえるか、また、様々な事情で「普通の社会」からはずれた人々の受け皿としての機能をどうするかということについて考えるいい機会を与えてくれる作品だと思う。


ただ、主戦場は既にそこではないのではないか?

印象的だったのが、組長だけは小ざっぱりした服装をして、人相風体もイケてる自営業者風だったこと(下の予告編の冒頭に登場する人。本人は殺人で15年の実刑判決を受けた人なのだが)。
おそらく暴力団を支える資金源は、映画のオフレコ部分で示唆されたような覚せい剤の密売のようなものではなく、より経済犯罪に近い部分で組織的になされているのではないかと思った。

一方で、映画では警察による保険金詐欺容疑での組員の逮捕・家宅捜索の様子が描かれているが、こういう微罪を検挙するだけでなく(毅然とした姿勢を示す、とか所轄のノルマとかの事情もあるのだろうが)、より組織的な経済犯罪(振り込め詐欺にしても後手に回っている感じがする)にこそ積極的に取り組んでほしいと思う。


コメント
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