一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「10年遅れている」ことの意味

2005-07-20 | 乱読日記
2つのビジネスの崩壊についての本を読みました。

ひとつは日本長期信用銀行
もうひとつはヘッジファンドのLTCM

参考になったのは、組織の崩壊過程よりも、組織の隆盛を生み出した諸制度のしくみや金融市場などのバックグラウンドの説明(それぞれ大部の前半分を費やしています)です。

アメリカの金融市場が1970年代以降いかに急速に整備されてきたか(逆にそれまではいかに規制があったか)、日本の1980年代の「金融ビッグバン」が従来の規制になれた金融機関を何のトレーニングもなく無防備に"global financial market"にわが身を晒す事だったかがよくわかります。

よく日本はアメリカに10年遅れている、と言われますが「だから早くキャッチアップすべき」という議論は当然なのですが、「いかに10年先を行っている(=場数を踏んでいる)連中にカモられないか」ということもきちんと考えた方がいいと思いました。
自分の目の前のことだけでなく、世界のなかでの自分や他のプレーヤーの位置関係の全体像を俯瞰できる能力が大事ですね。


さらに、この優れた著作が(米国の話がテーマの後者はさておき)2つとも外国人による、というところもちょっと残念な感じがしました。


セイビング・ザ・サン―リップルウッドと新生銀行の誕生






LTCM伝説―怪物ヘッジファンドの栄光と挫折






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