一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ファインマン『光と物質のふしぎな理論 私の量子電磁力学』

2011-11-17 | 乱読日記

『宇宙は何でできているのか』の勢いをかって積読の処理にとりかかりました。

本書は量子電磁力学の研究でノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンの著書です。

ファインマンといえば『ご冗談でしょう、ファインマンさん』が有名で、これはご本人の飄々とした人柄と旺盛な探究心がにじみ出る印象的なエッセイでしたが、この本は量子電磁力学(光と物質の相互作用にかかる量子論)を素人にわかりやすく説明しようとした講演会を元にした本です。

正直言って後半部はきちんと理解できずに読むだけになってしまいました。
ただ、テーマを光子の運動にしぼっているだけに実験による観測とそれを説明する理論の研究を繰り返すことで物理学が進んできたところが実感として伝わってきます。

そして、ファインマン先生らしく、あくなき探究心は自分がノーベル賞を受賞した「くりこみ理論」に対しても向かいます。

・・・この理論が無矛盾であることが、いまだに何らかの方法で証明されていないのは意外なことで、おそらく例の「くりこみ」が数学的に筋が通らないためだろうと私はにらんでいます。ひとつ確実なことは、量子電磁力学の理論を説明できる良い数学的方法がまだないということです。njおよびmeの関係を説明するのに、こんなにもたくさんの言葉を使わなくてはならないのでは、決して良い数学とは言えません。

わからないこと、納得がいかないことを解明しようというのがモチベーションであって、ノーベル賞はゴールではないんですね。

『宇宙は何でできているのか』でも常に従来の理論に合わない現象が観測されたり、突拍子もない理論と思われていたものが実は観測結果を上手く説明したりということが繰り返されて研究が進んでいることが紹介されましたが、理論体系の進歩の過程を学ぶ以上に「わからないこと」を解明しようと取り組む好奇心・探究心が必要なのでしょう。

先日、村山斉さんの講演を聴く機会があったのですが、「だいたい90%は上手くいかないので、好きでないとやってられない」とおっしゃっていたのが印象的でした。

ファインマン先生も冒頭にこんなことをおっしゃってました。

ところで今までざっとお話してきたことは、私が「物理学者による物理学史」とよんでいるもので・・・物理学者が弟子に話し、その弟子がそのまた弟子に語り伝えるといったたぐいの、伝承化された神話のようなもので、必ずしも物理学発展の歩みを実際にたどったものではありません。物理学の歴史的発達が事実どのような道筋を通ってきたかなど、ほんとうをいうとこの私にもわからないのです。

「その先」に興味がある物理学を体系的に説明させようってのは無理があるよって、正直すぎますw

 




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