ここのところ体調が優れない割りに(主に夜の)予定がつまっていたので、簡単に読めそうな本ということで選択。
著者クレディセゾンの社長で、西武百貨店から当時の西武クレジット(元は「緑屋」という割賦販売店で、今の渋谷Primeのところに店がありましたね)に転じ、セゾンカードを成長させた立役者のようです。
面白かったのは「ツキ」についての第1章と第2章の前半部分。他のビジネス書でも触れられている教訓を実体験などに即して語りなおした感じです。
ツキの流れをどう感じるか、その精度をどう高めるか、ツキを呼び込むにはどうするか、というあたりの話ですね。歳をとると自分のスタイルというのはある程度出来上がってくるので、著者と自分のスタイルの違いを考えながら読みました。
ツキの流れを見極めることとツキがないときにおいても「勝つんだ」という強い信念をもち続け流れを変えることの重要性はその通りだと思います。
問題は流れを読み間違ったときに信念が蛮勇に変わってしまうこと。
運とツキの流れを見て、勝てると判断した。だから俺は勝てるのだ。そう思っている人間は、どんな困難にもぶつかっていけるのです。そして、100%の力を発揮して、南極を乗り越え、苦しさを逆にエネルギーに変えてしまうのです。
というものの、個人の人生ならともかく、事業の場合は当初のストーリーが破綻しても「後戻りできない」と突き進んで傷口を広げれてしまうということもよくあるので、「勝つんだという信念」と「流れを読む」ことの両立が一番大事なんですよね。
著者もそのへんは百も承知で「麻雀に見る勝ち負けの法則」という囲み記事でこう書いています。
麻雀に強い人の特徴:勝負する手と下りる手を適度に混合する。基本は防御。
著者の解説:運の流れを変えるものが何であるかを経験的に知っている。
麻雀に弱い人の特徴:どんな手でも上がろうとする。安い手でも下りない。
信念を優先させすぎてしまった悪い例が昔の帝国陸軍だったり、ちょっと前のファンドバブルのときの投資をしないとボーナスが貰えないどころか首になりかねないファンドの投資担当者だったり(確かに強気でないとスポンサーを集まらないとか、そういう運用者を雇った投資家の自己責任という部分もあるのですが)。
そこが難しいから幾多のビジネス書やコンサルタントが商売になるわけですが。