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裁判員制度が始まり、日本もアメリカのように有権者が刑事裁判の審理に参加するようになった。もし俺なんかが選ばれたらどうしよう、特に死刑の判断に迫られるような裁判員に選ばれてしまったら。その時は自分の中にある良心に従い、己に課さられた職務にまい進するのみ。そして正義の判決を下すのだ。そんなことを考えるとアメリカ映画に多数ある法廷映画をもっと真面目に観ようなんて思ったりする。
アメリカの法廷映画を観ていると、法廷における弁護士VS検事(あるいは相手側の弁護士)の激しい応酬、そして最後に有罪・無罪を判断する陪審員たちに対する弁護士の身振り、手振りの大演説を見ていると、本当にアメリカという国は正義、自由、民主主義に対する考え方が進んでいると大いに感動する。だからアメリカの法廷映画は良いよね、なんて思ったりするのだが今回紹介するニューオリンズ・トライアルはそのような感動を得られないという点では、よくある法廷映画とは少し趣きが異なる。この映画から正義、自由、民主主義と言ったアメリカは良い国なんだと言う押し付けがましいプロパガンダ戦略にだまされる事はない。
ちなみに今回紹介する映画ニューオリンズ・トライアルには陪審コンサルタントなんて言う職業の人が重要な役割で登場してくる。果たして彼らの職業とは?アメリカはご存知のように陪審制であるが、無作為に選ばれる陪審員候補の中から最終的には12人の陪審員が選ばれるのだが、自分の陣営が有利になるように陪審員を徹底的に調べ上げて選別していくのが陪審コンサルタントの役割。
この映画に登場してくる腕利き陪審コンサルタントはチームを組んで、全ての陪審員候補たちの性格、思想、経歴等を調べていくのだが、その方法が盗聴、隠しカメラ、コンピューター、尾行、ハニートラップなどなんでも有り。その様子はまるでスパイチームのように見えてしまうし、陪審員を選別していくシーンは非常にスリリグで見応えがある。
しかも、この映画の陪審コンサルタントの人物は弁護士以上に権力、責任感を持たされている。普通なら弁護士に言うだろうと思うような場面でも陪審コンサルタントが呼び出され、『おい、絶対にこの裁判は勝てよ』と激励されるシーンがあったりする。
つまりこの法廷映画は弁護士VS弁護士(あるいは検事)のようなよくある対決では無く、弁護士VS相手側の陪審コンサルタントとの法廷外バトルが、この映画の見どころになっている。
さらに陪審コンサルタントたちの警戒網をくぐり抜け、巧みな演技で陪審員に入り込む人物の存在がより一層、この法廷映画を深い仕組みにしている。いくら弁護士が見学している人達を大きく感動させることを述べても、陪審員たちの票を得ないと勝てないのだが、そんな陪審員たちを中から操作するのが、この怪しい人物の存在だ。
この怪しい人物のおかげで、弁護士も相手側の陪審コンサルタントも翻弄されてしまい、観ている我々も裁判の結末が最後までなかなか読めない。更にこの怪しい人物の目的は一体何か?という興味も湧いてくる
この映画を観終わった時にアメリカの司法制度ってどうなの?考えさせてくれるかもしれないニューオリンズ・トライアルを紹介します
ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決 プレミアム・エディション [DVD] | |
ジョン・キューザック,ジーン・ハックマン,ダスティン・ホフマン,レイチェル・ワイズ | |
ジェネオン エンタテインメント |
ニューオリンズの会社において、銃乱射事件が起きる。犯人は11人を殺害した後に自殺する。この事件で夫を亡くしたセレステは弁護士ローア(ダスティン・ホフマン)を雇い、犯人が使用した銃のメーカーを相手に訴訟を起こす。銃規制の声が挙がるアメリカにおいて一躍、この訴訟事件は注目を集めることになる。
訴えられた銃メーカー及び銃協会は絶対にこの裁判に勝たないと、ドミノ式に訴訟問題が起こることを危惧し、凄腕の陪審コンサルタントのフィッチ(ジーン・ハックマン)を雇う。
フィッチ(ハックマン)はニューオリンズに乗り込み、あらゆる手段を使って陪審員候補の調査及び選別に取り掛かる。
陪審員候補の中にゲーム販売店で働くニコラス(ジョン・キューザック)が居た。ニコラス(キューザック)は巧みな演技によって陪審員に選ばれることに成功し、彼は謎の女マーリー(レイチェル・ワイズ)と組んで、フィッチ(ハックマン)の陪審員の票集め工作を妨害する・・・最後まで予断を許さない判決の行方は?そしてニコラス(キューザック)とマーリー(ワイズ)の真の狙いは?結末は映画を観てください
何だか法廷映画と聞くと意味のわからない法律用語がたくさん出てきそうなイメージがありますが、小難しい内容でもなく気軽に楽しめます。名優のジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンのバトルは非常に見応えがありました。しかし、この映画を観終わった後に裁判をやる前から結果が出てしまってる?なんて悲しい気分になったりしますが、陪審制の欠点が理解できる知的エンターテイメント映画の傑作です
非常に怪しいニコラスを演じるのがジョン・キューザック。ちょっと優男な感じがこの映画のキャラクターにピッタリでした。彼のお勧めの出演作品としては詐欺師たちの悲劇的運命を描いたグリフターズ/詐欺師たち、奇想天外なアイデアが印象的なマルコヴィッチの穴等。最近の作品では2012は個人的に楽しめました。
ニコラスとグルになって立ち回るマーリーを演じるのがレイチェル・ワイズ。彼女の代表作となるとハンナプトラのシリーズですが、お勧め作品としてこれぞ純愛映画と言えるナイロビの蜂が良いです。個人的にはつまらない映画だと思ったファウンテン 永遠につづく愛の彼女は抜群に綺麗です。
凄腕の陪審コンサルタントのフィッチを演じるのが名優のジーン・ハックマン。多くの名作、アクション映画に出演していますがお勧めは代表作のフレンチ・コネクション、パニックムービーの傑作ポセイドン・アドべンチャー、人種偏見問題をテーマにしたミシシッピー・バーニングなど。
正義にこだわる弁護士のローアを演じるのが、これまた名優のダスティン・ホフマン。彼のお勧め作品としてはバイオレンス映画の傑作わらの犬、心暖まるロードムービーの傑作レインマン、本当の英雄とは何か?を描いたヒーロー/靴をなくした天使など。
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