不倫映画の傑作、名作は昔からたくさんあるが、どう考えてもモラルに反するような内容の映画が現在においても、なぜ根強い人気があるのだろうか。まあ、俺なりの結論として現実的なサスペンスとして最もドキドキ感が味わえるのが不倫映画。旦那あるいは奥さんにバレるかバレないか、これはリアルにスリル満点。特にエイドリアン・ライン監督の危険な情事なんて映画があったが、あれなんかはスリルがあると言うより、ホラーより怖い。世の中のお父さん連中はマイケル・ダグラスを自分に重ね合わせてしまい、心の底から恐怖を味わった。だいたい、何だかブツブツの巨大な怪獣が登場してきて町中を破壊し、人間を追いかけてくるような設定はあまりに素っ頓狂過ぎて、大してスリルも感じない、と言うのは俺の意見。
そうは言っても不倫映画というのは、他人の内輪もめを見て『ダメよ~、ダメ、ダメ!』と思いながら観ている人が殆んどだろう。しかし、官能的な不倫を描きながらも愛の尊さ、大切さを描いた作品が今回紹介する映画イングリッシュ・ペイシェント。第二次世界大戦の前後の時代、そして北アフリカとヨーロッパ(イタリア)の大陸間。二つの時間、二つの場所をまたがって描かれるロマンスから、観ている我々は何を学び、何を感じるのか。
単なる不倫映画として片付けるだけでは、非常に勿体ない壮大な恋愛映画とは、いかなるストーリーをなのか。
1944年、イタリアの野戦病院に北アフリカの戦場で撃墜された飛行機から全身大やけどを負って顔も焼け爛れ、瀕死の状態で男が担ぎ込まれてきた。その男は殆んどの記憶を失っており、イングリッシュ・ペイシェント(英国の患者)(レイフ・ファインズ)と名付けられる。
戦争によって、恋人を失い、親友も目の前で無くし、悲嘆にくれていた従軍看護婦であるカナダ人のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、軍から離れ、廃墟と化した修道院にて、もはや命が幾許も無い状態であるように見えるイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男(レイフ・ファインズ)の看護を献身的に務めようとする。
ハナ(ジュリエット・ビノシュ)が介護をしていく内に、少しづつ記憶を取り戻していくイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男(レイフ・ファインズ)だが、彼の語る回想はある人妻との不倫の関係。そんな2人だけの空間に突然、親指を無くしたカナダ人のカラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)が同郷のよしみのふりをして近づいてくるのだが・・・
非常に印象深いのは不倫に到る過程及び結末のシーン。結果的には、そりゃ~、不倫の結末はやっぱりね、という事になるのだが、実は本作はそれだけにとどまらない奥深いテーマ性がある。この映画に登場する人物たちはあらゆる国籍の人物が多々出てくる。カナダ人、アフリカ人、英国人、ドイツ人、インド人、アメリカ人、そしてイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男は当然英国人だろうと思いきや、実はハンガリーの伯爵の家に生まれた人物。これらの国籍の人物が争い、憎しみ合い、逆に協力し合っている様子は第二次世界大戦の時代が背景ではあるが、現代の我々にも戦争の悲惨さ、平和の尊さを感じ取るメッセージとして伝わってくる。
憎しみ、復讐、絶望からは決して何も生み出さない。愛を求める過ぎるあまりに不幸を呼び込んでしまうことがあるだろう。しかし、この映画には明日へ向かっていく愛が描かれている。そして特にこの映画に対して俺が共感できることは人生の再生、希望が描かれていることだ。
そして、冒頭、上空から見下ろす砂漠のシーンがあるのだが、これが本当に素晴らしい。一瞬、なんだこの縞模様は?なんて思ったりしたが、砂漠ってただ白いだけじゃなかったんだと気付かせてくれるシーンだ。
人間ならば一生のうち、大切な物だったり、大切な人を失うことなんて多々ある。しかし、当の本人は気づいていないことが多いのだが、逆に失った分、あるいはそれ以上の大切な物や人を得ていることがきっとある。やや恋愛部分に焦点が当てられている気がするが、国境、民族、人種、歴史など色々と多く考えさせられる映画イングリッシュ・ペイシェントは万人にお勧めだ。
監督はアンソニー・ミンゲラ。もっと活躍できた監督なのに比較的若くして亡くなってしまったのが残念。実は僕はこの監督の作品はこれしか観ていないので、他の作品をお勧めできないです。逆にお勧めを教えて欲しいぐらいです。
キャスト陣がかなり豪華。
イングリッシュ・ペイシェントことアルマシーを演じているのがレイフ・ファインズ。多くの傑作に出演していてお勧め映画多数。本作と同じハンガリー人を演じているイシュトヴァン・サボー監督、太陽の雫をお勧めしておこう。
非常に魅力的な人妻キャサリンを演じているのがクリスティン・スコット・トーマス。比較的最近の映画でサラの鍵がお勧め。
献身的な看護婦役でジュリエット・ビノシュ。存在の耐えられない軽さの彼女は超可愛いし、お勧め。この人もお勧め作品が多数ですが、ラッセ・ハルストレム監督のショコラ、ミヒャエル・ハネケ監督の隠された記憶、アッバス・キアロスタミ監督のトスカーナの贋作など、個性的な監督作品の映画に多数出演しています。
親指を失って登場するカラヴァッジョ役でウィレム・デフォー。主役から脇役まで様々な役を簡単にこなしてしまう名優。プラトーンで大スターになって以来、名作、傑作に多数出演。今回は怪演が観られるという意味で処刑人をお勧めに挙げておこう。
今回改めて観てビックリしたのがコリン・ファースが実は重要な役で出演していたこと。今やすっかり名優及び人気者として引っ張りだこの俳優になりましたが、やはり英国王のスピーチがお勧め。それからフェルメールが好きな人にはピーター・ウェバー監督、スカーレット・ヨハンソン共演の真珠の耳飾りの少女、ラブコメの傑作ラブ・アクチュアリーもお勧め。
にほんブログ村 映画ブログ
人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします
そうは言っても不倫映画というのは、他人の内輪もめを見て『ダメよ~、ダメ、ダメ!』と思いながら観ている人が殆んどだろう。しかし、官能的な不倫を描きながらも愛の尊さ、大切さを描いた作品が今回紹介する映画イングリッシュ・ペイシェント。第二次世界大戦の前後の時代、そして北アフリカとヨーロッパ(イタリア)の大陸間。二つの時間、二つの場所をまたがって描かれるロマンスから、観ている我々は何を学び、何を感じるのか。
単なる不倫映画として片付けるだけでは、非常に勿体ない壮大な恋愛映画とは、いかなるストーリーをなのか。
1944年、イタリアの野戦病院に北アフリカの戦場で撃墜された飛行機から全身大やけどを負って顔も焼け爛れ、瀕死の状態で男が担ぎ込まれてきた。その男は殆んどの記憶を失っており、イングリッシュ・ペイシェント(英国の患者)(レイフ・ファインズ)と名付けられる。
戦争によって、恋人を失い、親友も目の前で無くし、悲嘆にくれていた従軍看護婦であるカナダ人のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は、軍から離れ、廃墟と化した修道院にて、もはや命が幾許も無い状態であるように見えるイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男(レイフ・ファインズ)の看護を献身的に務めようとする。
ハナ(ジュリエット・ビノシュ)が介護をしていく内に、少しづつ記憶を取り戻していくイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男(レイフ・ファインズ)だが、彼の語る回想はある人妻との不倫の関係。そんな2人だけの空間に突然、親指を無くしたカナダ人のカラヴァッジョ(ウィレム・デフォー)が同郷のよしみのふりをして近づいてくるのだが・・・
非常に印象深いのは不倫に到る過程及び結末のシーン。結果的には、そりゃ~、不倫の結末はやっぱりね、という事になるのだが、実は本作はそれだけにとどまらない奥深いテーマ性がある。この映画に登場する人物たちはあらゆる国籍の人物が多々出てくる。カナダ人、アフリカ人、英国人、ドイツ人、インド人、アメリカ人、そしてイングリッシュ・ペイシェントと名付けられた男は当然英国人だろうと思いきや、実はハンガリーの伯爵の家に生まれた人物。これらの国籍の人物が争い、憎しみ合い、逆に協力し合っている様子は第二次世界大戦の時代が背景ではあるが、現代の我々にも戦争の悲惨さ、平和の尊さを感じ取るメッセージとして伝わってくる。
憎しみ、復讐、絶望からは決して何も生み出さない。愛を求める過ぎるあまりに不幸を呼び込んでしまうことがあるだろう。しかし、この映画には明日へ向かっていく愛が描かれている。そして特にこの映画に対して俺が共感できることは人生の再生、希望が描かれていることだ。
そして、冒頭、上空から見下ろす砂漠のシーンがあるのだが、これが本当に素晴らしい。一瞬、なんだこの縞模様は?なんて思ったりしたが、砂漠ってただ白いだけじゃなかったんだと気付かせてくれるシーンだ。
人間ならば一生のうち、大切な物だったり、大切な人を失うことなんて多々ある。しかし、当の本人は気づいていないことが多いのだが、逆に失った分、あるいはそれ以上の大切な物や人を得ていることがきっとある。やや恋愛部分に焦点が当てられている気がするが、国境、民族、人種、歴史など色々と多く考えさせられる映画イングリッシュ・ペイシェントは万人にお勧めだ。
監督はアンソニー・ミンゲラ。もっと活躍できた監督なのに比較的若くして亡くなってしまったのが残念。実は僕はこの監督の作品はこれしか観ていないので、他の作品をお勧めできないです。逆にお勧めを教えて欲しいぐらいです。
キャスト陣がかなり豪華。
イングリッシュ・ペイシェントことアルマシーを演じているのがレイフ・ファインズ。多くの傑作に出演していてお勧め映画多数。本作と同じハンガリー人を演じているイシュトヴァン・サボー監督、太陽の雫をお勧めしておこう。
非常に魅力的な人妻キャサリンを演じているのがクリスティン・スコット・トーマス。比較的最近の映画でサラの鍵がお勧め。
献身的な看護婦役でジュリエット・ビノシュ。存在の耐えられない軽さの彼女は超可愛いし、お勧め。この人もお勧め作品が多数ですが、ラッセ・ハルストレム監督のショコラ、ミヒャエル・ハネケ監督の隠された記憶、アッバス・キアロスタミ監督のトスカーナの贋作など、個性的な監督作品の映画に多数出演しています。
親指を失って登場するカラヴァッジョ役でウィレム・デフォー。主役から脇役まで様々な役を簡単にこなしてしまう名優。プラトーンで大スターになって以来、名作、傑作に多数出演。今回は怪演が観られるという意味で処刑人をお勧めに挙げておこう。
今回改めて観てビックリしたのがコリン・ファースが実は重要な役で出演していたこと。今やすっかり名優及び人気者として引っ張りだこの俳優になりましたが、やはり英国王のスピーチがお勧め。それからフェルメールが好きな人にはピーター・ウェバー監督、スカーレット・ヨハンソン共演の真珠の耳飾りの少女、ラブコメの傑作ラブ・アクチュアリーもお勧め。
にほんブログ村 映画ブログ
人気ブログランキングに参加しております。クリックお願いします