褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 博士の異常な愛情(1964) 笑える?核戦争を描いています

2016年04月07日 | 映画(は行)
 日本を海を隔てて囲む国は核保有国ばかり。そんな恐るべき危険地帯に存在する日本も核兵器の脅威に対して当然ながら核武装するべきだと思っている俺は核武装容認派。しかしながらそんな俺に対してチョット待てよ!と考えさせられる映画が今回紹介する博士の異常な愛情。核戦争勃発の危機を描いた本作は笑い、風刺ばかりを盛り込んだ不真面目な映画。本当に米ソによる核戦争が起こりそうな時代に、こんなアイデアを思いついてしまうスタンリー・キューブリック監督の凄さがよくわかる映画だ。
 この映画に登場する人物設定はアメリカ大統領を始め、政府の役人及び軍のエライさんばかり。まあ、アメリカ大統領はマトモな人物に描かれているが、他は素っ頓狂な奴がほとんど。ウヨクチック過ぎる軍部の司令官、核戦争が起こりそうな状況でも薄ら笑いを浮べて不謹慎な自論を展開する科学者、カウボーイハットを被って意気込みを見せ付けるB52のパイロットなど。たとえ一国のリーダーが無能ではなくても、偶発的に核戦争が起こってしまう可能性があることに、笑いながら恐怖を感じさせられる映画だ。

 我が国日本の核武装容認派は果たしてこの映画の中の出来事は絶対に無いと自信を持って言えるのか!?その一方で核武装反対派は『ゲンパツはんた~い』と叫んでいるだけで核戦争を回避することが出来るのか!?原発の是非、安全保障など国論が真っ二つに分かれつつある現在の日本にも問いかけるストーリーとは如何なるものか。
 アメリカ空軍基地にいるリッパー准将(スターリング・ヘイドン)は精神に異常を来たし、指揮下の水爆50メガトンを搭載したB52爆撃機にR作戦の指令を出す。そのR作戦の全貌とは・・・。次々とB52爆撃機がソ連へ向かっている頃、R作戦を回避するためアメリカ大統領(ピーター・セラーズ)を始め、アメリカの政府高官達がペンタゴンの国防省で作戦会議。まるで噛み合わない議論が続くも、刻々とR作戦実行までのタイムリミットの時間が迫ってくる。しかも、驚いたことにソ連にはアメリカからの攻撃を受けると、全世界を破滅させる『皆殺しの装置』が開発されていたことを知らされ、作戦会議室は更に暗澹とした空気が流れる。
 もはや全世界の人類は死滅するしかないのかと思われたが、核兵器の分野の専門家であるストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ)は斬新な人類生き残りの方法を力説するのだが・・・

 核戦争の恐怖を描いたストーリーだけでなく、1人で三役をこなしてしまったピーター・セラーズの怪演にも注目だ。メイク、声、演じ方が三役で大きく異なるために、これが同一人物だと知ったら驚きだ。しかしながら、今どきピーター・セラーズという器用な俳優を知っている人の方がごく少数なので、その凄さに気付かない人が殆んどなのが残念。
 あくまでも個人的にだが、全体的にユーモアのセンスは冴えており、観ている最中は大爆笑。核戦争の恐怖を描いた映画なのに、こんなに笑って良いのかオレ。特にカウボーイハットのパイロットに訪れる運命にはわろた。他にも冒頭とラストの音楽の使い方のセンスは抜群だし、頓珍漢な登場人物は個性があって楽しい面々だし、観ていて苦痛に感じるシーンは一つもない。それでいて結末の描写は寒気がするほどゾッとする。世界各地で核実験が行われているニュースを聞くと悔しさと怒りが込みあがってくる人が多いと思うが、そんな気分を晴らしてくれる映画博士の異常な愛情をお勧め映画として挙げておこう

博士の異常な愛情 コレクターズ・エディション [DVD]
ピーター・セラーズ,ジョージ・C・スコット,スターリング・ヘイドン
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント


 監督は前述したとおりスタンリー・キューブリック監督。大金強奪ムービー現金に体を張れ、近未来映画時計じかけのオレンジ、禁止ワードが飛び交うベトナム戦争を描いたフルメタル・ジャケット、文芸大作バリー・リンドン、実はこれも文芸作品のロリータ、歴史劇スパルタカスなど、この監督はお勧め映画がありすぎです。

 
 
 
 
 
 









コメント (2)
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