褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 タッカー(1988) アメリカの自動車産業がボロボロになった理由がわかる 

2019年07月10日 | 映画(た行)
 かつてはビッグスリーと呼ばれ隆盛を誇ったアメリカの自動車メーカー(フォード・GⅯ・クライスラー)だが、今ではそんな面影は全くなく、アメリカ国内でさえ日本車が走り回っているのが現状だ。1940年代の後半ごろは当然のことながらビッグスリーだけではなく他にも自動車メーカーはあったのだが、その中でも車好きの人もそうでもない人もタッカー社という自動車メーカーをご存知だろうか?タッカー社を設立したものの、結局は僅か51台しか生産できなかったプレストン・トマス・タッカーの実話に基づく伝記映画が今回紹介するタッカー
 よくアメリカ社会は実力があれば成功者になれる、なんて知ったかぶって言う奴がいるが、そんなのは俺に言わせれば嘘。このプレストン・トマス・タッカーという男は決して単なる思い付きや趣味で自動車会社を起業したわけではない。発想は斬新で来るべき新しい時代に必要な車の理想像を思い描ける極めて優秀な男。情熱や夢を持ち続ける男の魅力をこの男から感じることができる。しかしながら、突出した才能が現れるとそれを潰しにかかるのは何処も一緒。大企業と政治家がつるんで一個人を叩きまくることの愚かさがよくわかる映画だ。

 巨大すぎる既得権益の圧力に屈することなく、戦いを挑んだ格好良い男(プレストン・トマス・タッカー)のストーリーの紹介を。
 1945年の第二次世界大戦の終戦間際において。デトロイト郊外で軍事産業の製造の仕事をしていたプレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)はついに小さい頃からの自分の夢に向かった動き出す。それは、自分で新しい車を作ること。家族や友人の協力を得て安全性、機能、デザインに優れたタッカー車を作り上げる。そして巧みな宣伝が功を奏し世間の注目を浴びることに成功。しかし、そのような状況が面白くないアメリカを牛耳る自動車産業ビッグスリーや自動車産業と癒着しているファーガソン上院議員(ロイド・ブリッジス)がタッカーを陥れるべく動き出し・・・

 タッカーが製造した車は1947年の後半から1949年の前半にかけてのみで、その殆どは1948年に作られた。当時の車にしては非常に画期的だったのだが、本作で印象的だったのが安全性の面でシートベルトの採用。当時の車はシートベルトが無かったんだと驚いた。皆さん、シートベルトは忘れずに着用しましょうね。
 確かにこの映画は伝記映画として観ても面白いが、法廷映画としても非常に興味が惹かれる。被告人として法廷に立たされるタッカーの台詞が非常に印象的。特に『このような理不尽なことが許されるのであれば、我々は敗戦国である日本から車を買うことになるだろう』。1988年の映画であるが、この時期の日米の貿易関係を考えると非常に意味深であり、あまりにも予言が的中しているので思わず笑ってしまった。頭の固い人間達によって、個人の自由、考えが圧し潰される様子を見ていると、その結果が今のアメリカの自動車産業の成れの果て。自動車産業で栄えたデトロイトだがすっかり犯罪都市に様変わりした理由がわかるとしたものだ。
 時々なのか日常茶飯事なのか日本にも素っ頓狂なことを言いだす政治家や実業家が存在するが、そのような人たちの言動も少々ぐらいは受け容れてあげようとする広い心を身に付けたいと本作を観て考えさせられた。
 そして、タッカー車が登場することにも触れておかないといけない。撮影時は47台の車が実存していたのだが、その殆どが華麗に登場。ストーリーと相まってなかなか感動させる。自由、正義、アイデアが時の権力に潰されてしまうことが殆どであることは歴史が証明しているが、その想いは熱ければ熱いほど未来へ向かって繋がっていくものなんだというメッセージを感じさせる。
 車が好きな人、なぜアメリカの自動車産業がボロボロになったのか理解したい人、今後のアメリカ経済の動向が気になる人、熱い夢を持っているが実行できない人、人生を太く短く生きたい人・・・等に今回は映画タッカーをお勧め映画として挙げておこう

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ジェフ・ブリッジス,ジョアン・アレン,マーティン・ランドー,フレデリック・フォレスト,マコ
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 監督はフランシス・フォード・コッポラ。たびたび大コケして映画が撮れなくなってしまう印象があります。しかし、この監督は映画史に残る作品多数。ゴッドファーザー地獄の黙示録カンバセーション…盗聴…コッポラの胡蝶の夢等、お勧め多数です。



 

 

 

 

 


 
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