褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 傷だらけの栄光(1956) 台詞が身に染みる 

2021年06月23日 | 映画(か行)
 ハリウッド映画のお家芸であるボクシング映画。多くの人はボクシング映画と聞いて思い浮かべるのはシルベスター・スタローン主演の役名がそのままタイトルになったロッキー(及びそのシリーズ)。今の40歳代以上の男性にとって、ロッキーは憧れであり、疲れ切ったオジサン達のハートを奮え立たせる存在であるが、実はボクシングの世界王座としてロッキーは実在した。そんなロッキーこと元ミドル級世界チャンピオンであるロッキー・グラジアノの半生を描いた映画が今回紹介する傷だらけの栄光。主演のポール・ニューマンは本作を切っ掛けに一躍スターダムの座を駆け上がる。
 ロッキーもそうだが、凡そボクシング映画なんてものは社会の底辺から一気に世界チャンピオンに成り上がるパターンが多い。貧乏人でも金持ちになれるアメリカンドリームを表現するのにボクシングというのはうってつけ。本作もまさにそんなボクシング映画の王道を見れる。

 さて、ストーリーも楽しめるが、それよりも本作の原題であるSomebody Up There Likes Me(天の誰かが俺を好いている、ぐらいの意味)の台詞が身に染みるストーリーの紹介を。
 少年時代から窃盗、暴力を繰り返していたロッキー(ポール・ニューマン)は少年院に放り込まれては脱走を繰り返し、刑務所にぶち込まれてもトラブルを引き起こし、軍隊に放り込まれても脱走する。元々パンチ力のあったロッキーにボクシングの素質を見出していたのが刑務所の刑務官。刑務官にボクシングを勧められ、嫌々ながらもボクシングのトレーニングをする。
 そんなかいもあって刑務所を出てボクサーになると、デビュー戦から連戦連勝。これから順風満帆な人生が始まるかと思われたのだが・・・

 ストーリーの前半は素行の悪いロッキーの行いが描かれている。俺なんかは、お前なんか一生刑務所にぶち込まれてろ、なんて思いながら見ていた。しかし、そんなダメダメな奴を決して見捨てない人間も現れる。何度も挫けそうになったりするロッキーが、なぜ世界チャンピオンまで登りつめることができたのか。そんなことを考えながら本作を観ると、こんな私でもきっと誰かに愛されているなんて思えるはずだ。そして、ロッキーが最後に語る原題にもなっている台詞『Somebody Up There Likes Me』が、困難にぶち当たっている人間、暗闇の真っ只中にあるこの世界にたいして、希望の灯になっていることに気付く。
 編集及び構成が巧みなおかげで話がテンポよく進むので観ていてダレルことはないし、それでいて丁寧にロッキーの半生が描かれている。ちょっと残念なのが、すでにポール・ニューマンが少しばかり年を食っているのが気になるし、それ以上に対戦相手のチャンピオンが老けすぎていること。よって肝心のボクシングシーンにおいてハラハラドキドキ感みたいなのが削がれてしまっている。しかし、そんなものを補って余りあるのが何度も繰り返すが『Somebody Up There Likes Me』の台詞の素晴らしさ。たまに英語において感動的な言葉を目にしたり、聞いたりすることがあるが、俺もこの台詞は完璧な英語の発音を駆使して、ちょっと格好をつけたくなった時に使うことに決めた。
 かなり古い映画だが、ボクシング映画がなぜこれほどまでに多く撮られ、そして好きな人が多いのかが理解できる傷だらけの栄光を今回はお勧め映画として挙げておこう

 監督はウェストサイド物語サウンド・オブ・ミュージックといった名作ミュージカルを撮ったロバート・ワイズ。観終わった後に人種差別について考えさせられるサスペンス映画拳銃の報酬がお勧めです。

 
 
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