褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 π(パイ)(1998) こんな文字を見るのは学生の時以来のような・・・

2014年10月31日 | 映画(数字、アルファベット)
 テレビの会見で『スタップさいぼ~うは、あります!』なんてシーンを見たときは、オボカタさ~ん、頑張れ~とエールを送っていた。しかし、200回以上もSTAP細胞を作った割に、今のところロクな結果が出ていないようで、なんだか今ではもう若返りのチャンスを狙っていた年配の女性と同じく、俺も期待が薄れていく一方。今まで単細胞ながらしぶとく生き続けていた俺が、STAP細胞の幻影に取り付かれたオボカタ女史にアドバイスをするとしたら『もうスタップ細胞を追いかけるのを止めて、違う人生を歩め』ということ。何とかして彼女を妙な呪縛から解き放ってあげたいものだ。

 さて、今回紹介する映画π(パイ)は、何だか変てこりんなタイトルが付けられているが、π(パイ)とはみんなが中学生の時に学ぶ円周率を表わすギリシャ文字のことで、π=3.141592・・・・・と永遠に小数点以下が続く無理数のことだ。
 ちなみにこの映画の主人公の男性が陥っている状況が、まさにオボカタさんとそっくり。まあ、オボカタさんの場合は200回以上も作り出したことと同じ事をすれば、すぐに解決するような問題に思えるのだが、この主人公の場合は未知なる領域の分野の研究に取り付かれたように没頭し、さらに頻繁に激しい頭痛に襲われるので彼女より深刻だ。

 
 タイトル名からは、どのような内容の映画なのか想像がつき難いが、なかなか刺激的なシーンがたくさん出てくるサスペンス映画を簡単にストーリー紹介を。
 三桁同士の掛け算、割り算ぐらいは、恐るべきスピードで簡単に暗算で解いてしまう天才マックス・コーエン(ショーン・ガレット)は、あらゆる自然現象が周期的に起こることから、この世の中の事象は全て『ある数式』に支配されているという信念を持っている。
 自宅のアパートの一室にスーパーコンピューターを置いて、自らの信念に従い、日夜問わず株式市場の動向を探り予測を行っていた。ところがある日、スーパーコンピューターが216桁の数字をプリントアウトして暴走。マックス(ショーン・ガレット)は当初はスーパーコンピューターがブッ潰れたぐらいに考えていたのだが、大学時代の恩師ソル(マーク・マーゴリス)やカフェでたまたま話かけられた敬虔なユダヤ教であるレニー(ベン・シェイクマン)から216桁の数字の奇妙な因縁を聞かされ、マックス(ショーン・ガレット)は216桁の数字の謎を探り出すべく、更なる研究に没頭するのだが、持病の頭痛は更に頻繁に痛みを増して起こるようになり、謎のコンピューター会社の人間から付け回され、そしてユダヤ教の秘密結社の集団からも狙われる・・・

 円周率、黄金比、フィボナッチ数列、モーセ五書、旧約聖書などなどの難しい数学用語、宗教用語が飛び交うのを聞いていると頭がヘンになってしまう人がいるかもしれないが、この映画の凄さはストーリー展開よりもモノクロ画像から繰り出すパンチの効いた映像、そしてキ~ンと流れる不快感を感じさせる効果音、スピード感抜群の場面転換等々のテクニカルな面で観ている我々を惹き付ける映像表現が挙げられるだろう。モノクロ映画と聞くとそれだけで興味を失ってしまう人がいるが、もしも本作がカラー映画だったらグロ過ぎて観てられない。なんせ脳ミソを何度も突き刺したり、頭にドリルをぶち込んだり、大量に薬を摂取するようなファンタスティックなシーンが出てくるのだから。
 現実と妄想が入り混じった展開が難解に感じるかもしれない。しかし、主人公のマックスが最後に行き着く先は、日頃から煩悩に苦しめられている俺みたいな人間には癒しを与えられるし、広い宇宙の中で自分の存在を過大評価することの馬鹿馬鹿しさを教えてくれる。
 単純明快な映画に飽きた人、今までの人生を『俺って天才のはずなのに』と考えていることで無駄な時間を費やしている人、そして何よりもSTAP細胞に取り付かれているオボカタさんに映画π(パイ)を観ることをお勧めしたい

π(パイ) [DVD]
ショーン・ガレット,マーク・マーゴリス,スティーヴン・パールマン,ベン・シェンクマン,サミア・ショアイブ
東芝デジタルフロンティア


 監督は最近も賛否両論を巻き起こしたノア 約束の船(僕はまだ観てませんが)のダーレン・アロノフスキー監督。
 この人のお勧め映画は、薬物や麻薬の恐怖を面白く描き過ぎているレクイエム・フォー・ドリーム、男の哀愁を感じさせるミッキー・ローク主演のレスラー、ナタリー・ポートマンが精神的に追い詰められていくバレリーナを演じたブラック・スワン等は本当に傑作。そして、もう一つお勧めしたいのが、こんな面白い映画を撮っている人でも、なんでこんなつまらない映画を撮れた?と逆の意味でヒュー・ジャックマン、レイチェル・ワイズ共演のファウンテン 永遠に続く愛も挙げておきます(しかし、この映画のレイチェル・ワイズはメチャクチャ綺麗です)。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
映画マンさんへ (ディープインパクト)
2021-03-16 19:08:04
 白黒なのでグロクないです。数学用語が出てきますが、その分野に詳しくない人でも楽しめます。
返信する
こんにちは (映画マン)
2021-03-15 08:03:10
理系の人間としては気になる映画ですね。
色んな数学用語が出てくるようですが、まさかそこまでグロイ映画だとは知りませんでした。
観るの躊躇してしまいますね(笑)

1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144...(怖)
返信する
にゃむばななさんへ (ディープインパクト)
2010-02-09 21:48:25
 僕は研究家たちの功績、発展は今でも素晴らしいものがあると思っています。
 しかし、この映画のように数学者、科学者たちの探究心は、現在そしてこれからの努力によってまだまだ果てしなく続き、今でもほんの一握りしか解明されていない実態がこの映画から浮かんできます。
 
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終わりのない答え (にゃむばなな)
2010-02-08 21:07:03
Πは永遠に全ての桁が解明されることのないものだけに、そこに全ての謎を解く鍵を求めてしまう人間心理は恐ろしいですよね。

ほんと、数学の奥深さを改めて感じた映画でした。
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