褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 マルコヴィッチの穴(1999) 奇抜なストーリーです

2024年10月11日 | 映画(ま行)
 奇抜なアイデアの映画というのは希少価値なだけにそれほど多くないのだが、そんな中でも今回紹介する映画マルコヴィッチの穴は奇抜なストーリー展開が繰り広げられる。『ミクロの決死圏』という映画では人間が人体の中に入り込んでいたが、本作で入り込むのは人体の中でも脳味噌の中。少しばかり他人が何を考えているか想像してみたくなるが、そんな願いを少しばかり叶えてくれる作品だ。しかし、本作のストーリー展開はそれどころではすまない。本作は少しばかり古い映画ではあるが、今観ると現在に通じる問題にも手を延ばして笑わせ、少しばかり考えさせる。

 早速だが奇想天外なストーリーを出来るだけネタバレ無しで。
 人形師であるクレイグ(ジョン・キューザック)はまるで売れない日々をダラダラ過ごし、妻のロッテ(キャメロン・ディアズ)はペットショップ店員であり、家の中にはチンパンジーなど動物で囲まれている。
 クレイグは妻の勧めもあり職探しを始めるが、そこのオフィスはなんとビルの7と1/2階。その階は天井が低くて立ち上がると頭が当たってしまう。クレイグは手先の器用さを活かして就職することになるが、あるオフィスの壁に扉があることを発見する。その扉をこっそり開けて侵入すると、なんとそれは名優ジョン・マルコヴィッチ(本人が演じています)の頭の中に通じる穴だった。
 クレイグは同じ階のオフィスの美女で好意を持ってしまったマキシン(キャサリン・キーナー)と、これを利用して商売を始めることにするのだが、クレイグとロッテの夫妻の関係はとんでもない運命に導かれてしまい・・・

 マルコヴィッチの頭の中に居ることができるのは最初のうちはたったの15分間。15分経った時にどうなるのか?その時のシーンはかなり笑えた。しかし、もっとマルコヴィッチの頭の中に居られる方法を見つけ出してからが、本作の真骨頂。とんでもない人間関係が引き起こされるのだが、ここでネタバレは止めとこう。
 他人の頭の中に入って、その人が何をしているのか、何を考えているのか興味が惹かれる時もあるが、本作ではマルコヴィッチ自身が自分の頭の中に入ってしまうシーンがある。この描写が凄いし、とにかく「マルコヴィッチ、マルコヴィッチ・・・」ばかりで笑える。
 ジョン・キューザックなんかは本作では髪の毛ボウボウ、無精ひげ姿で冴えない身なりで演じているが、キャメロン・ディアズに至ってはスッピンに髪の毛ボサボサ。いつもの超美人を隠して演じている。そしてジョン・マルコヴィッチの演技が凄い。本作においても名演技を見せつける。そして、さらに有名人が他にも実名で登場しているのも楽しい。二枚目俳優がとんでもない姿でカメオ的出演しているのも驚きと笑いを提供している。
 個人的にはオチが不満だったりするが、観る人によっては「なるほどね~」と納得したり、笑える人も居るだろう。ありきたりなストーリーの映画に見飽きた人、奇想天外なストーリーの映画が観たくなった人等に今回はマルコヴィッチの穴をお勧めに挙げておこう

 監督はスパイク・ジョーンズ。監督作品は少ないですが本作のような奇抜なストーリー展開の映画が多い。本作と同じくチャーリー・カウフマン脚本のアダプテーションがお勧め






 


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映画 アニー・ホール(1977) ウディ・アレン監督作品の中でも人気

2024年10月08日 | 映画(あ行)
 もうそろそろ90歳に手が届きそうなウディ・アレン監督だが、それでも彼の映画への情熱は衰えないのか年に1本ぐらいのペースで監督業に乗り出している。あまりにも多くの佳作を次々に発表しているが、その中で現在においても人気の高い作品が今回紹介するアニー・ホール。この時期のウディ・アレン監督は監督のみならず主演もこなすのだが、見た目は非常に冴えない風貌をしており、まるでオーラの無い普通のおっさんの出で立ちをしている。本作はロマンチックコメディの分野に入るのだが、そんな風貌を逆手にとり自虐ネタを繰り出し、大人の苦みを出しているのが結構笑える。
 そして彼の作品の特徴である長いセリフ。本作以前の作品ではドタバタ調のコメディが多かったのだが、そのスタイルは本作で確立したと思えるのだが、そのセリフの内容が非常にアレン監督のインテリっぽさを感じさせる。セリフの中で実在した映画監督、哲学者、作家などの名前がポンポン飛び出したり、政治、宗教などを皮肉っぽく批評するのが個人的には楽しかったりする。しかしながら、そんな人名を知らなかったり、政治や宗教に興味がない人が本作を観るとその面白さが伝わらない可能性もある。そういう意味では観る人を選ぶ作品だと言えるかもしれない。

 少々インテリっぽさが鼻につくシーンもあるが、どこか大人の恋愛の苦みを感じさせるストーリーの紹介を。
 見た目は頭は薄く、ダサい眼鏡を掛けた40歳ぐらいの年齢のオッサンであるアルビー・シンガー(ウディ・アレン)はコメディアンを職業としている。しかしながら、性格も暗く何かと後ろ向き。今までも恋愛はしてきているのだが、失敗ばかり。そんな彼の前に現れたのが、それほど美人ではないが明るい性格のアニー・ホール(ダイアン・キートン)。彼女は歌手を目指しており、一度は夢を諦めようとするがアルビーの励ましのおかげもあり、彼女はオーディションを受け続ける。2人は恋愛関係になるが、喧嘩や仲直りを繰り返し、結婚までには至らない。
 そして、ついにアニーに対してハリウッドの大物プロデューサーから歌手のスカウトがくる。ニューヨークからハリウッドへアルビーとアニーは渡るのだが、そこで2人の仲は決定的なすれ違いを起こし、アルビーは1人でニューヨークへ帰ることになってしまうのだが・・・

 ストーリーだけなら淡々と進むような印象があったりするが、表現方法は非常にスタイリッシュ。度々主人公が観客側に話しかけてきたり、過去と現実が行き来したり、途中で漫画が挟まれたり、その他にも色々と工夫がされている演出が光る。そして、時々ギャグも入り大爆笑とはいかないが、結構笑わせてくれる。ウディ・アレン監督らしい自虐ネタが多めなのだが、彼の風貌とマッチしていているのが更なる笑いを引き起こしてくれる。
 若者のエネルギーがほとばしる様な恋愛が描かれているのではないが、大人同士の苦みを感じさせる恋愛模様。酸いも甘いも知り尽くしたようで、大人といえども決して完ぺきではなく、どこかに欠点を抱えている。そんなことを観終わった後に感じさせる映画です。
 ウディ・アレン監督が好きなのに本作をまだ見ていない人、文化、政治、宗教など一般教養が非常に高い人、大人同士の恋愛映画を観たい人、ロマンチックコメディが好きな人、気持ちが大人な人に今回は映画アニー・ホールをお勧めに挙げておこう 

 監督は前述したようにウディ・アレン。監督作品がかなり多く時々失敗作品も作ってしまいますが、総じて面白い作品が多い。奇想天外なアイデアが面白いカイロの紫のバラ、本作と同じくダイアン・キートンとの組み合わせのマンハッタン殺人ミステリー、笑いとサスペンスの融合したブロードウェイと銃弾、ウディ・アレン監督のファンでなくても楽しめるタロットカード殺人事件をお勧めに挙げておこう
 


 
 

 
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映画 隠し砦の三悪人(1958) これぞ世界の黒澤

2024年10月06日 | 映画(か行)
 ここ数年において、スポーツの世界で日本人が多く活躍しているが、 日本人で最初に世界の〇〇と言われたのは映画監督の黒澤明だろう。そんな世界の黒澤はヒューマニズム溢れる作品にも名作はあるが、その手腕は娯楽時代劇において最も発揮された。数多ある傑作時代劇作品群の中でも徹底的に娯楽に特化したのが今回紹介する映画隠し砦の三悪人。よく言われることだが、本作はあのSF映画の名作スターウォーズに影響を与えていることで有名。あのショボいロボットコンビは本作に登場するお笑い担当の2人組が基ネタになっている。
 
 早速だがストーリーの紹介を出来るだけ簡単に
 農民の太平(千秋実)と又七(藤原 釜足)は報奨金が目当てで山名家と秋月家の合戦に参加するが、ボロボロになって逃げ伸びたところを、屈強そうな男である真壁六郎太(三船敏郎)と出会う。六郎太は一目ダメダメそうな太平と又七を利用して、御家再興のために世継ぎである雪姫(上原美佐子)と二百貫の金貨を持ち出すために敵中突破を企てるのだが・・・

 ストーリーは前述したように非常にシンプル。しかし、敵陣地の中を強行突破するアイデアの数々は小気味良いし、アクションも楽しい。特に三船が馬に乗って敵を追いかけるシーンは迫力がある。競馬のジョッキーでも出来ないような馬乗りシーンは記憶に残る。
 仲が良いのか悪いのか、よくわからないロボットコンビではなくて農民の二人組は結構笑わせる。多少の危険なミッションも大量の金貨に釣られてしまう強欲さはブラックユーモアを感じさせる。そして、この二人組が、何度も六郎太の足を引っ張るのも笑える。
 アイデアの良さと逆に、ちょっと無理なんじゃねぇ~と思わせるシーンもあったりするのも愛嬌があって楽しいし、上原美佐子さんの凛としたお姫様っぷりも非常に印象的。黒澤明監督の痛快娯楽時代劇作品を観たい人に今回は隠し砦の三悪人をお勧めに挙げておこう。正直なところタイトルの三悪人の意味が観終わった後もわからずモヤモヤした気分です

 監督は前述したように黒澤明。お勧め多数だが、痛快娯楽時代劇の中から選ぶと七人の侍用心棒椿三十郎がお勧め


 


 
 
 

 
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映画 大人は判ってくれない(1959) 自伝的映画

2024年09月28日 | 映画(あ行)
 映画界に一時代を築いたヌーヴェルバーグと呼ばれるフランス映画。その代表的作品が今回紹介する映画大人は判ってくれない。本作を観ると自分の少年時代を思い出させるような作品になっている。本作はヌーヴェルバーグを代表するフランソワ・トリュフォー監督の自伝的映画であるのだが、自分の少年時代を描いている。俺なんかは自分の少年時代の自伝なんかは恥ずかしくて本に書いたり、映画に撮ったりすることを憚られるが、この監督は本作の後も自伝的映画を撮り続けることになる(アントワーヌとコレット 二十歳の恋、夜霧の恋人たち、家庭、逃げ去る恋)。
 本作はこの監督の長編デビュー作品であるのだが、さすがは天才監督は少年時代から、何をやらせても優秀だったんだろうと思いきや、本作に登場する主人公であり、トリュフォー監督の分身でもあるアントワーヌ少年(ジャン=ピエール・レオが演じる)は、なかなかの不良ぶりを見せてくれる。時々、噓偽りを演じて自分自身を善人に見せる人間を見掛けるが、トリュフォー監督はアントワーヌ少年を通して、馬鹿正直に自分の少年時代を描いた。

 それではこの天才監督は少年時代をどのように過ごしたのか。簡単にストーリーの紹介を。
 地元の小学校に通うアントワーヌ少年(ジャン=ピエール・レオ)は、先生に目をつけられているために授業中に悪さをしたら直ぐに見つかってしまう。学校では勉強はできないし、家に帰っても両親の仲が悪く、その巻き添えを喰らったりで、少年にしては辛い毎日を送っている。そんなアントワーヌ少年の慰めは映画。映画を観ている時だけは日頃の辛さを忘れることができる。
 しかし、相変わらず学校生活は辛く、家に帰っても辛いことだらけ。学校をサボりがちになり、家出を繰り返し、ついには悪友と盗みを働くようなり警察に捕まる。すっかり両親から見放されたアントワーヌ少年は鑑別所での生活を強いられることになるのだが・・・

 トリュフォー監督は自分の初年時代を全く見栄を張ることなく描いている。学校の勉強はできない、いたずらはする。学校はサボり、その理由が母親が死んだからと大噓をつくのだが、この辺りは笑ってしまった。しかも、親の金をパクるだけでなく、重たいタイプライターを盗んでそれを売ろうとしたりで悪ガキもいいところ。しかし、同情できるのは両親の教育がまるでなっていないこと。特に母親のダメっぷりも描かれていて、これではマトモな少年生活を送るのは難しいと感じたりさせられる。
 他にストーリー以外の部分で語ると、アントワーヌ少年が護送車で送られる時に涙を流しながらパリの夜景の街並みを眺めるシーンがあるのだが、冒頭のシーンをしっかり覚えていると少しばかり感傷に浸れる。
 そして、ラストシーン。これが見る人によって見解が分かれると思うのだが、まだまだ幼いように見えていたアントワーヌ少年の力強い表情から観る者は何を考えるか。俺なんかはアントワーヌ少年の自立する覚悟の現れだと想像した。
 ロクな少年時代を送れなかったことに後悔している人、フランソワ・トリュフォー監督と聞いて心が躍る人、ヌーヴェルバーグと聞いて興味が惹かれた人・・・等に大人は判ってくれないをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したフランソワ・トリュフォー監督。西部劇タッチを感じさせるピアニストを撃て、奇妙な男女の三角関係を描いた突然炎のごとく、シュールな設定が面白い華氏451、監督の映画愛を感じさせるアメリカの夜、イザベル・アジャーニーが綺麗で情熱的なアデルの恋の物語あたりがお勧めです




 
 
 


 
 

 


 


 

 

 

 
 



 

 

 
 

 

 
 
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映画 ジャージー・ボーイズ(2014) イーストウッド監督によるミュージカル

2024年07月14日 | 映画(さ行)
 最近は自身の都合によりブログの投稿を放置したままにしておりましたが、これからは週一ペースでアップしていこうと思っております。さて、当ブログを読んでいただいている方はもしかしたら気づいておられるかもしれないが、.実はミュージカル映画は殆ど載せていない。理由はいたってシンプルでミュージカル映画が嫌いだから。あのいきなり唐突に歌って踊りだすシーンを見ると個人的に白けてしまうことが多々。実は俺と同じような理由で結構ミュージカル映画が嫌いな人は居るのではないかと思っている。しかしながら、今回紹介するミュージカル映画であるジャージー・ボーイズは、そんな心配は無用。アメリカ音楽界をかつて一世風靡いたフォー・シーズンズのリードボーカルであるフランキー・ヴァリの伝記映画の趣もあり、非常に興味深く観ることができる。
 ちなみにフランキー・ヴァリだが現在は90歳。本作が公開された時は80歳になっている。彼の強烈な裏声を基調とした歌い方は個性的であり、まさか御大である本人に若い時を演じさせられるはずがないし、バレバレの録音も違和感を感じるので、映画化するには難しいポイントが色々とあったと思うのだが、そこは巨匠クリント・イーストウッド監督。そんなハードルを簡単にクリアしてみせるし、また色々と遊び心満載でミュージカル映画が苦手な人でも飽きさせないで最後の最後まで魅せてくれる。

 年齢差に関係なく誰でも聴いたことがあるようなヒット曲ナンバーとフランキー・ヴァリとそっくりの歌声が耳にすることができるストーリーの紹介を。
 ニュージャージーの田舎町に住んでいる若者であるトミー(ヴィンセント・ピアッツァ)とニック(マイケル・ロメンダ)はマフィアの手先となり、コソ泥を働いている。極貧の田舎町から抜け出すことを夢見ていたトミーは、天使の歌声を持つフランキー・ヴァリ(ジョン・ロイド・ヤング)を見出す。さらにトミーは友人のジョー(後の有名俳優)から作曲のできるボブ・ゴーディオ(エリック・バーゲン)を紹介される。ここにグループ名『フォー・シーズンズ』を結成。彼らの運命は瞬く目に大きく変わりだし、ヒット曲を連発。しかし、その裏でグループを解散させるような大きな問題が起こっていたのだが・・・

 このニュージャージーの田舎町が凄い場所。トミーが観客に視線を向けて説明する。この町で生きる方法は3つある。一つは軍隊に入って戦死、二つ目はマフィアになって死ぬこと、そして三つめが有名人になってこの町を飛び出すこと。トミー達は余程の幸運に恵まれ有名人になってこの町を飛び出すことができたわけだ。しかしながら、運だけでは生きていけるほどこの世は甘くないということが本作を観ていたらよくわかる。そして、成功の裏には影があるというのも身に染みて涙が出そうになる。
 そして、面白いのがデビュー曲の『シェリー』を始めとして、曲の誕生秘話やあの名バイプレイヤー俳優はそうだったのか?なんてトリビアンな話にも惹きつけられる。楽しい歌声だけでなく、涙が出そなほど暗い話も出てくるが、そのような部分をダラダラと長く引っ張らないのが良い。ラストへ向けての爽やかな疾走感は素晴らしいの一言。大してミュージカルに興味がない人、フランキー・ヴァリって誰?と思っている人にも今回紹介するジャージー・ボーイズはお勧めできる

 監督はクリント・イーストウッド。ジャズ好きなだけあってミュージカルを撮らせても完璧なところを本作で見せつける。お勧めは多数なのだが、本作でも音楽に関わっている息子のカイル・イーストウッドと親子共演しているセンチメンタル・アドベンチャーをお勧めに挙げておこう。
 
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映画 山猫(1963) 貴族社会の没落

2024年03月17日 | 映画(や行)
 そういえば山猫は眠らないというタイトルの軍事アクション映画があったが、それとはまったく関係ない。今回紹介する映画山猫は19世紀半ばの激動のイタリアのシチリア諸島が舞台。本作を理解する上で少しばかりこの時期のイタリアの状況を説明しておく必要があるだろう。現在は長靴の形をしたイタリア共和国として存在しているが、元々はバラバラの国として存在していた(サルディーニャ王国、パルマ公国、両シチリア王国等)。そんな時にイタリア統一運動に大きな働きをしたのが革命軍を率いたイタリアでは有名すぎるガリバルディ。ガリバルディがシチリア島に攻め込んでくることが本作の発端となる。
 それとシチリア島の状況も少しばかり説明しておく必要もあるか。本作では主人公であるバート・ランカスターが「シチリアは25世紀に渡って他国に支配されてきた」と言う台詞がある。そして、シチリアは色々な国の支配を受けている歴史がある(スペイン、フランス、ブルボン王朝等)。本作においてはシチリアはブルボン王朝の支配を既に長年に渡って受けていたのだが、そこへ前述したようにガリバルディがブルボン王朝を支配するべく攻め込んできたのだ。
 そんなブルボン王朝の下で甘い蜜を吸っていたのが特権階級に属する貴族たちだが、階級社会で上流にあたる彼らは王朝の庇護を受けて、ボッ~としながらでも豪華な暮らしをすることができた。ところが、王政打倒、共和制を掲げるガリバルディの革命軍がもの凄い勢いでシチリアに攻め込んできた。もしもガリバルディにシチリアを征服されると、この地にいる貴族たちは社会の変革によって彼らの特権は剥奪される恐れを抱かざるを得ない。
 そんな貴族社会がピンチに陥ってしまった事に対して苦悩するのが、長きに渡って続いた名門中の名門であるバート・ランカスター演じる老年のサリーナ公爵。

 古き社会と新しき社会の狭間で揺れる老貴族に訪れる運命はこれ如何に。
 19世紀半ばイタリアのシチリア島において。山猫の紋章を持つ貴族であるサリーナ公爵(バート・ランカスター)はシチリアのパレルモで大家族と共に暮らし、貴族らしく振る舞っていた。しかし、そこへガリバルディによる革命軍がシチリアへ上陸。そんな時にサリーナ公爵の甥であるタンクレディ(アラン・ドロン)は時代の波を嗅ぎつけ、革命軍に参加することをサリーナ公爵に告げる。まさかの申し出に戸惑うサリーナ公爵だったが、日頃可愛がっているタンクレディにお金を持たし、革命軍に参加することを許す。
 ガリバルディによってシチリアも征服され、サリーナ公爵一家は別荘へ逃れる。そこではこの混乱に乗じて資産を増やして勢力を伸ばしているブルジョワ上がりのカロージェロ(パオロ・ストッパ)が市長となっていた。
 そして、軍功を挙げて帰ってきたタンクレディだが、カロージェロの美しい娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)に一目惚れ。タンクレディはサリーナ公爵にアンジェリカとの結婚の後ろ楯になるように頼み込むのだか・・

 貴族社会の特性として近親での結婚が多いことが挙げられる。タンクレディも当初はサリーナ公爵の娘と婚約していたのだが、彼女を振ってブルジョワ上がりの娘であるアンジェリカに乗り換える。名門一族の貴族にとって結婚することにも相手の階級を気にしなければならないのだ。しかも、相手はまるで価値観の異なる家柄の女性。タンクレディは新時代の象徴であり、そして彼の時代を読み取る目が凄いからなのかポリシーを簡単に曲げるのだが、その辺りが俺的にはムカついた。
 そしてサリーナ公爵だが結構なエロ爺。シチリアが一大事な時でも娼婦の館に通い詰める。しかしながら、迫りくる老いと貴族社会の斜陽、それに抗うことに苦悩する。しかし、その姿に名門貴族としてのプライドや引き際の美学を感じさせられた。
 なかなか重厚な人間ドラマを感じさせ、それでいて政治的な面も描かれている。そして現在のイタリアの姿になる激動の時代を少しばかり勉強した気分になる。個人的には非常に面白く観れたのだが、3時間の長丁場。貴族だのイタリア統一運動だのシチリアの綺麗な風景などに興味が無い人には恐らく睡魔との戦いになるか。そのためにもここで述べたような知識ぐらいは予習しておきたいところだろう。更に、後半では30分以上の時間を豪快に踊りまくるシーンが出てくるだけに脱落してくる人も出てきそうなのが不安だ。
 そうは言っても本作は貴族の末裔であるルキノ・ヴィスコンティ監督。貴族の末裔がこのような貴族の没落を描くことの奥深さを感じるし、豪華セットは見所充分、ニーノ・ロータによる音楽は素晴らしいし、何と言っても格調が高い。少しばかりイタリアに興味があり、ルキノ・ヴィスコンティ監督と聞いて心が騒ぎ、3時間の長丁場に耐えられる人に今回は山猫をお勧めに挙げておこう

 監督は前述したルキノ・ヴィスコンティ。映画界に多くの名作を遺した。サスペンスの傑作郵便配達は二度ベルを鳴らす、女の情念を感じさせる夏の嵐、1960年代のイタリアの南北格差を描いた若者のすべて、骨肉の争いが凄まじい地獄に堕ちた勇者ども、本作と同じくバート・ランカスター主演でうるさい訪問者に悩まされる家族の肖像、彼の遺作であるイノセント、ひたすら豪華さを求めるならルードヴィッヒがお勧め






 



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映画 マッチポイント(2005) 人生で一番必要な物とは?

2024年03月10日 | 映画(ま行)
 テニスボールがネット上を行き交い、ネットに引っ掛かり真上に上がる。さて、引っ掛かったテニスボールはどちら側に落ちるのか?そんな冒頭シーンで幕開けするのが今回紹介する映画マッチポイント。ロンドンの景色をふんだんに活かしたウディ・アレン監督による愛欲にまみれたミステリー。優柔不断な男が自業自得で大ピンチを招くのだが、いかにして乗り切るのか?というのがこの映画のテーマ。
 こういう男を主人公にした映画を観ると、果たして俺だったらどんな行動をするのか?と思いながら観てしまう。俺にはもっと違う方法があるように思えたのだが、しかしながら結果が良い方に転ぶかどうかわからない。運命を知るのはネットに引っ掛かったテニスボールのみ。

 やっぱり人生で一番必要なのはこれだよね~なんて思わせるストーリーの紹介を。
 ロンドンにおいて。アイルランド人の元テニスプレイヤーであるクリス(ジョナサン・リース=マイヤーズ)は、上流階級に属するトム(マシュー・グッド)と知り合いになる。クリスはトムの妹クロエ(エミリー・モーティマー)と親しくなり、結婚する。そして、義父(ブライアン・コックス)の会社に就職することになり順調に出世する。
 しかし、クリスはトムの婚約者でありアメリカ人であるノラ(スカーレット・ヨハンソン)のセクシーさに目を奪われて、ノラの魅力の虜になってしまう。やがて、トムとノラは婚約解消しトムは別の女性と結婚。そしてノラはクリスの知らぬ間にアメリカに帰ってしまう。
 ある日のこと。クリスはいつの間にかロンドンに戻って来ていたノラと出会う。クリスはクロエに内緒でノラと逢瀬を重ねる。ところが予想外のことにノラが妊娠してしまい・・・

 ノラ役のスカーレット・ヨハンソンが着ている服装からしてエロエロ。悲しいかな男なら十中八九でスカーレット・ヨハンソンのエロさの軍門に陥ってしまうのは無理がない。最初はクリスもノラに猛アタック。ノラは一度の過ちを繰り返すことに抵抗するのだが、抵抗されればされるほどクリスの男心が燃えてしまう。
 しかし、今度はノラが妊娠してからが立ち場が逆転。彼女からクリスへ「早くクロエと離婚して、妊娠している私と一緒になってよ!」と迫られる始末。クロエと離婚するっていうことは今の出世街道まっしぐらの社会的地位を捨てること。優柔不断でノイローゼ寸前にまで陥ったクリスが重い腰を上げて起こした意外な行動とは?、その行動はクリスに吉をもたらすのか凶をもたらすのかが本作のポイント。クライマックスから結末へ向けてウディ・アレン監督らしい皮肉に満ちた展開が刺激的。決断や努力も大切だが人生に必要なのはコレだよ、なんて思わせるが、気づいた時には何だかやるせない気持ちになってしまったのは俺だけか。
 そして、この作品までひたすらニューヨークを舞台にした映画を撮ってきたウディ・アレンが本作を切っ掛けにヨーロッパを舞台にした映画を撮り始める。本作はロンドンを舞台にしているが、その地へアイルランド人とアメリカ人を登場させたことを考えると何だか意味深な物を感じる。
 この監督らしい期待するような笑いは無いが、それでもスリリングで考えさせられる展開と内容。今回はマッチポイントをお勧めに挙げておこう

 監督はウディ・アレン。名作、傑作が多数。笑いとサスペンスが融合されたブロードウェイと銃弾、シリアスな作品ではインテリア、笑いに寄せた作品ならばタロットカード殺人事件等がお勧め








 
 


 

 

 
 
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映画 バットマン ビギンズ(2005) 誕生秘話です

2024年03月08日 | 映画(は行)
 DCコミックが送り出した不滅のヒーローであるバットマン。現在に至るまで多くの俳優がバットマンを演じてきたが、最も格好良いのが本シリーズにおけるクリスチャン・ベールが演じるバットマン。そんなシリーズの第一作目が今回紹介する映画バットマン ビギンズ。生身の人間であり金持ちの御曹司であるブルース・ウェインが如何にして戦闘能力を身に付けたのか。そんなバットマン誕生秘話が描かれているのが従来のシリーズとは違うところであり、この辺りは個人的には楽しめると同時に、ヒューマニズム性も感じさせらた。

 すっかり腐敗してしまった生まれ故郷であるゴッサムシティの街に平和を取り戻すために戦い続ける宿命を背負ったバットマンを描いたストーリーの紹介を。
 少年時代に目の前で両親を浮浪者チル(リチャード・ブレイク)に殺されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)。青年になった彼は司法取引で仮出所をしてきたチルを復讐するために拳銃を持って近づいた矢先に、ゴッサムシティを牛耳るマフィアの親玉ファルコニー(トム・ウィルキンソン)の手下によってチルは射殺されてしまう。
 その帰り際に幼馴染みであり、今や女性検事補になっているレイチェル(ケイティ・ホームズ)から復讐しようとしたことを責められ、ゴッサムシティが不況に陥り、浮浪者を大勢生みだし、司法、警察の汚職や腐敗を招いているのは全てファルコニーが原因だと諭される。
 ブルース・ウェインは単独でファルコニーに会いに行くが、彼の手下に叩きのめされ、しかも刑事や政治家がファルコニーに操られていることに、己の無力さを知ってしまう。そんなウェインは自ら犯罪を繰り返して、犯罪者の気持ちを理解しようとし世界中を周る。彼がアジアの刑務所に収監されている時に、謎の男(リーアム・ニーソン)と出会い、彼の下で戦闘力を身に付けるべく修行に励むのだが・・・

 少年時代にレイチェルと一緒に遊んでいる時に井戸に落っこちてしまいコウモリに襲われたり、両親を目の前で殺されたり等、トラウマを抱えてしまったブルース・ウェイン。やさぐれてしまった気持ちを、どこへ向けるのかと思っていたら犯罪者になることだって!正直なところ、この展開は失敗しているようにも思えた。しかし、この映画の奥深いのはブルース・ウェインがゴッサムシティに戻ってから。復讐することは単なる自己満足であることに気付かされ、本当の正義に目覚めてからはバットマンというコウモリ姿のコスプレに身を纏い悪人を叩きのめす。そんなバットマンだが、どんな悪人であろうと決して人殺しはしないことを信条にしている。そんなことは当たり前だろうとツッコミたくなるが、その信条が時には弱点になることもある。
 そして強い奴が現れたら、更に強い奴が現れる。善人がいるから悪人も存在してしまう。まるで国際関係の仕組みを暗示しているようなテーマ性を含ませる内容は流石である。そして、この監督の特徴でもある意外性も感じさせてくれるのが良い。そんな理由でとにかくバットマンの映画が大好きな人は勿論だが、少しばかり奥が深いアクション映画を観たい人に今回はバットマン ビギンズをお勧めに挙げておこう

 監督はクリストファー・ノーラン。本作の続編にあたるダークナイトは必見。他では天才マジシャン同士の対決を描いたプレステージ、デビュー作にあたるフォロウウィング、救出作戦を描いたダンケルク、驚きの映像が観れるテネット等お勧め多数の天才監督です










 
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映画 シンシナティ・キッド(1965) 年季が違うぜ

2024年03月06日 | 映画(さ行)
 ギャンブル映画の中でもポーカーを扱った映画は多くあるが、今回紹介する映画シンシナティ・キッドはその中でも名作の部類に入るだろう。ポーカー(スタッド・ポーカー)での対決シーンも見どころだが、天才が凡人以下に叩きのめされるストーリー展開が良い。ギャンブルを生活の生業にすることの厳しさを本作から教えられる。

 さて、早速だがストーリーの紹介を。
 アメリカ南部のニューオリンズにおいて。通称シンシナティ・キッドと呼ばれるエリック(スティーヴ・マックウィーン)は地元では無敵のスタッド・ポーカーの名手。その強さはイカサマをしている疑いをかけられるほどだ。
 ある日のこと、ポーカーの世界ではザ・マンと呼ばれており30年間に及んでナンバーワンに君臨するランシー(エドワード・G・ロビンソン)がニューオリンズの地に降り立つ。そのことを聞きつけたエリックはギャンブラーとしての血が騒ぎ、ランシーに勝負を挑むのだ・・・

 エリックとランシーの激闘は大いなる見せ場だが、彼らの周囲の人間のキャラクター設定も興味深い。カネのやり繰りに困っていてイカサマを仕掛ける奴や、ポーカーが下手くそで自業自得で負けているのにヤクザみたいに脅迫してくる奴、そしてエロいフェロモンを出しまくって誘惑してくる美女など。特にエロい美女が勝負に集中させてくれないし、ギャンブラーにとっては女はご法度であることが本作を見ればよくわかる。
 そして、本作で印象に残る台詞が「年季が違うぜ」。エリックが冒頭で黒人の靴磨きの坊やからコイン投げの勝負を挑まれて勝った時の台詞だが、この台詞が最後にも効いてくる。ダメな時は何をやってもダメなんだということの教訓が得られる。
 そして、この世の中には疫病神みたいな女が存在するのと同時に、聖女のような女性がいることも本作では教示してくれる。単なるギャンブル映画に収まらない色々なテーマを内包しているのだ。
  スティーヴ・マックウィーンの勝負師としての表情が印象的だし、百戦錬磨のランシーを演じるエドワード・G・ロビンソンの貫録も印象的。そして、ポーカーの中でもスタッド・ポーカー(5枚のうち4枚まで見せておいて、最後の1枚を見せない)にしているのが、視覚的に抜群の効果を発揮している。そして、ジャズの街であるニューオリンズらしさも描かれているし、レイ・チャールズによる主題歌も良い。とにかく娯楽作品として楽しいし、どこか切なさの余韻も感じられる映画シンシナティ・キッドをお勧めに挙げておこう

 監督はノーマン・ジュイスン。今年の1月に亡くなっていたことを今まで知りませんでした。人種差別が色濃く残るアメリカ南部で白人警察と黒人刑事がタッグを組んで殺人事件に臨む夜の大捜査線、本作と同じくスティーヴ・マックウィーンが大富豪の泥棒を演じる華麗なる賭け、アル・パチーノが弁護士を演じるジャスティス、シェール、ニコラス・ケイジ共演のラブコメ月の輝く夜に、デンゼル・ワシントンが実在のボクサーを演じたザ・ハリケーン等、お勧めがたくさんです








 
 
 
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映画 バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト(1992) チョ~悪です

2024年03月01日 | 映画(は行)
 本来ならば正義の味方なのに、なぜか映画の悪役でよく使われるのが刑事。そんな映画史上においてもナンバーワンに値する極悪刑事を描いたのが今回紹介する映画バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト。かなりブ千切れた刑事を本作で観れることができる。ありとあらゆる違法行為やモラルに反することに手を染めてしまうように刑事失格どころか、人間として失格。超ダメダメの刑事に対して訪れる運命は如何なるものか?

 早速だが悪の限りを尽くす刑事がやらかしてしまうストーリーの紹介を。
 ニューヨーク、ブロンクスにおいて。息子2人を車に乗せて学校へ送り届けるような良きパパに見える警部補(ハーヴェイ・カイテル)。車から息子を下した後に、コカインで一発決めた後に殺人現場へ向かう。現場のことよりも自ら手をだした野球賭博の結果が気になり、しかも不運なことに彼が賭けているチームは負け続ける。その間も麻薬の売人と売り買いをしたり、家庭がありながら愛人や売春婦にのめり込む。
 更に警部補はドラッグ、アルコールにまみれて、しかも野球賭博で負け続けて借金も倍々に膨らんでしまい、もはや酩酊状態。そんな時に修道士の女(フランキー・ソーン)が2人の若い男にレイプされる事件が発生。警部補はレイプされた修道士の女に、『俺が犯人を見つけて代わりに成敗してやる』と告げるが、彼女から意外な言葉を発せられ・・・

 今や名優であるハーヴェイ・カイテルが猛ハッスルする。ボカシが入るほどの全裸になったり、自慰行為をしたり、イライラしてきたら拳銃をぶっ放し、思いっきり泣き叫ぶなど、メーターを振り切った怪演を披露する。とにかく悪の限りを尽くし、野球賭博で負け続けて本当に首が回らなくなるほどの借金を背負ってしまう警部補はどんな結末を迎えるのか。
 警部補は修道女と出会ってから、心の変化が現れる。すっかり泥沼にはまりこんでしまい、今さらマトモな人間になんか成れるわけがないだろうと思っていたら、キリスト様は粋な計らいをする。まさにキリスト教の厳しさと優しさの相反するような両者を身をもって感じさせられた。
 正直なところ子供に見せるには悪い影響を与えそうな内容だが、大人が観るには充分に鑑賞に堪えられる。自分の人生がどん底に陥ってしまいそうな人に映画バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリストをお勧めに挙げておこう






 
 
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映画 ハムレット(1947) モノクロ映像の素晴らしさに感服

2024年02月17日 | 映画(は行)
 誰もが知っている超有名人のイギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピア。多くの傑作戯曲を遺しているが、現在においても世界の何処かで上演されているだろう。その中でもシェイクスピアの四大悲劇の一つとされ、彼の最も有名な作品はハムレット。今回紹介する映画がそれを原作とする同名タイトル作品。名優ローレンス・オリヴィエが監督、主演を務め、彼はシェイクピア俳優として有名なだけに渾身の作品となっている。
 ちなみに本作はモノクロ映像であり、それを活かした重厚なセットかつ緻密なカメラワークが素晴らしい。またタイトル名は知っているが、内容は全く知らない人も居る思うが、そんな人でも現在においても通じるテーマが本作では描かれているし、比較的登場人物も少ないのでわかり易い。

 それでは全体的に憂いをおびた主人公が印象的なストーリーの紹介を。
 デンマークにおいて。デンマーク国王が死亡、その跡を継いだのが王の弟であるクローディアス(ベイジル・シドニー)。そして彼は前王の王妃であるガートルード(アイリーン・ハーリー)を娶る。父王の死と母である王妃の早すぎる再婚に悩むハムレット(ローレンス・オリヴィエ)は聡明な父とは違い、新しく王に就いた叔父のクローディアスの人間性を嫌っており、彼のやり場のない怒りは深まるばかりだった。
 ある日のこと、ハムレットは親友のホレイショ(ノーマン・ウーランド)から夜の12時に城壁の露台に、亡き国王(ハムレットの父)の幽霊が現れると聞きつける。その話を確認するためにハムレットはホレイショー達と一緒にその場に向かい、父の亡霊と会う。ハムレットは亡霊から、父の意外な死因を聞かされてクローディアスに対して復讐することを誓うのだが・・・

 とにかくハムレットは新しく王となった叔父さんのことが大っ嫌いで、亡き父から復讐をそそのかされるのだが、これがいざ実行になかなか移せない。しかも、ハムレットのとった作戦は正気を失ったような振りをする織田信長と同じ、うつけもの戦法。正直なところそんな作戦必要?なんて俺は思ったのだが、物語を盛り上げるためには効果充分。恋人オフィーリア(ジーン・シモンズ)や王妃である母親を苦しませ、悲劇的結末にも良いスパイスを効かせていた。
 しかし、本作の凄いのは前述したが重厚なお城のセット。こんなセットを作り上げ、またそのセットの奥行きを計算したかのようなカメラワークも抜群。内容だけでなく演出でも惹きつけられる。そして、本作では人間の欲望といったテーマが盛り込まれているが、それも現在までハムレットがなぜ人気があるのか理解できる要因であるだろう。そして、「生きるべきか、死ぬべきか」・・・等、多くの印象的な名台詞も本作の格調の高さを感じさせる。しかしながら、悲しいことに俺の記憶力の悪さが、それらの殆どを忘れさせてしまった。
 シェイクスピアに興味がある人、またはシェイクスピアは敷居が高いと思っている人、格調の高い映画を観たい人、原作の内容を知っている人も知らない人も、モノクロの映像テクニックに浸りたい人・・・等に今回はハムレットをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したようにローレンス・オリヴィエ。個人的には俳優としての方が印象が強い。彼のお勧め俳優作品を挙げるとヒッチコック監督作品のレベッカ、ダスティン・ホフマン共演のマラソンマン、脇役ならスパルタカス素晴らしき戦争もお勧め












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映画 アメリカン・ハッスル(2013) 実在の事件が基ネタ

2024年02月06日 | 映画(あ行)
 現在の日本の政治は裏金、キックバック、政治資金記載漏れなどの言葉が連日賑わしており、史上空前の政治スキャンダルの嵐が吹いている。会計責任者に不手際の責任をなすりつける等、何とも醜いことになっている。そして今回紹介する映画が1970年代にアメリカで実際に起こった政治スキャンダルであるアブスキャム事件にヒントを得たアメリカン・ハッスル。強烈な個性を持った登場人物達がドタバタを繰り広げながら笑わせてくれる。
 一瞬タイトル名だけを見ると「アメリカよ、もうこれ以上ハッスルするな!」なんて思った人も居たかもしれないが、実はこのハッスルには『詐欺』の意味が込められている。そう言えば俺の周りにもハッスルし過ぎて空回り、そして詐欺師みたいな奴が居ることを思い出してしまった。

 早速だが、こんな事件が本当にあったのか⁈なんて思えるストーリーの紹介を。
 体はブヨブヨで、頭は禿げているのだが一九分けのセットが痛々しいアーヴィン(クリスチャン・ベイル)は詐欺師。彼は愛人兼仕事のパートナーのシドニー(エイミー・アダムス)と次々に詐欺を成功させていくのだが、ついにはFBI捜査官リッチー(ブラッドリー・クーパー)に逮捕されてしまう。
 しかし、意外なことにリッチーから2人に他の4組の詐欺師グループを摘発するのに協力すれば、罪を見逃してやると提案される。当然の如く断るわけがなくリッチーに協力するのだが、次第にリッチーの野心は詐欺師を摘発するどころか、カジノ利権に群がる政治家達をターゲットにすることになってしまう。アーヴィングとシドニーも嫌々ながらもリッチーに協力するのだが、思いも寄らなかった超大物が捜査線上に現れて・・・

 アーヴィンにはイッチャッテルゥ~嫁ロザリン(ジェニファー・ロレンス)が居るのだが、これがことごとくアーヴィング達の邪魔をしてしまう。ジェニファー・ロレンスの弾けっぷりがなかなか見ものだ。
 しかし、本作で面白いのがFBIと詐欺師がまさかのタッグを組んで、虚々実々の駆け引きをしていること。このように書くと鮮やかな騙しの手口が見れるのかと思いきや、ハッキリ言ってそこに快感は全く得られない。むしろ人間誰しもが完ぺきではないし、弱みを持っていることが描かれていることに興味が惹かれる。
 アーヴィングにしてもサッサとそんな馬鹿な嫁と別れろよと思えるが、そこには親権の問題が絡んでいて簡単に離婚できなかったり、シドニーにしても自らの経歴に大きな傷があったり、アーヴィングと親友になるニュージャージー州の市長であるカーマイン(ジェレミー・レナ)にしても、真剣に市民の事を考えているのだが裏では黒い繋がりに関わっていたり、リッチーは果てしない野心によって自らを追い込んでしまったり。このように本作には多くの悩めるキャラが出てくる。
 裏金を貯えたり、政治資金記載漏れを他人のせいにしている国会議員の連中には腹が立つが、本作の登場人物達はどこか憎めない。俺ってダメ人間だよな~なんて嘆いている人に今回はアメリカン・ハッスルをお勧めに挙げておこう

 監督はデヴィッド・O・ラッセル。外れが少ない優秀な監督。社会派、アドベンチャー、コメディ等色々な要素が含まれているスリー・キングス、異色ボクシング映画ザ・ファイター、何となく生きる気力が湧いてくる世界にひとつのプレイブックがお勧め







 
 

 
 
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映画 ザ・タウン(2010) 強盗稼業です

2024年01月28日 | 映画(さ行)
 最近は二刀流という言葉がよく躍っているが、監督と俳優(主演)の両方をこなしてしまうベン・アフレックも二刀流と言えるだろう。しかしながら最近は監督業も不振だったり、今さらバットマンを演じたりで迷走している感じもあるが、再び監督業に気合いを入れて専念して欲しいと個人的には思う。
 そんな彼の監督・主演をこなした最高傑作となると今回紹介するクライムサスペンスの傑作ザ・タウンを挙げたい。今ではあんまり有名でもない気がするが個人的には何時までも語り継ぎたい映画であり、ザ・ヒートを思い出させる銃撃戦はテンションがアゲアゲだ。
 この映画がユニークなのはアメリカ、ボストンのチャールズタウンが舞台であること。ボストンと言えばメジャーリーグに少しでも興味がある人ならば、現在は吉田正尚、かつては松阪大輔、上原浩司といった日本人選手も在籍していたことで知られているが、今回の映画で見せるボストンはとんでもない危険地域。本作の中でも説明があるが、このチャールズタウンは広大なアメリカの中でも最大の犯罪地帯。なんせ家系代々が強盗を生業としていたり、犯罪利権が存在している。我々のような一般人にとっては絶対に近寄りたくない場所だ。

 さて、ベン・アフレックの故郷ボストンへの愛を感じさせるストーリーの紹介を。
 ボストン、チャールズタウンの銀行において。今日もダグ(ベン・アフレック)と弟分であるジェム(ジェレミー・レナ)と他に2人の家族同然の仲間と現金強奪を企む。今回も鮮やかな手口で大金を奪うことに成功。しかし、人質にとった女支店長であるクレア(レベッカ・ホール)が同じ町の住人だと知る。彼らはもしかしたらクレアに正体がバレてないか不安に陥り、ダグはクレアを追跡するのだが・・・

 綺麗なオネエさんをストーカーしてたら、いつの間にかお互いに恋に落ちてしまう。クライムサスペンスでありながら青春ドラマの要素も感じさせる。ダグは、もうこんなえげつない強盗稼業を辞めようと、タウン(チャールズタウンを地元の人々が愛着を込めて呼ぶ)をクレアと一緒に抜け出したいと願う。しかし、クレアに対して銀行を襲って怖い目に遭わしたのは自分だとはバレたくないし、代々家系が強盗稼業であることなど知られたくない。このもどかしい気持ちが男心を揺さぶる。
 しかし、そんなダグを簡単にタウンから抜け出せないようにしているのが、チャールズタウンを仕切る強盗斡旋者の存在。もうこれが最後の強盗の仕事と決意しながらも、斡旋者の奴らが『この仕事を断ったら付き合っている女を殺すぞ』と脅して強制的に大金強奪の仕事を持ち掛けてくる。そしてすぐに血が上りやすいジェムの存在。彼とは兄弟のように幼い頃から一緒に行動し、しかもジェムからは恩を受けている。そんな彼と簡単に別々の道を歩めるのか。更にはダグ達を追いかけるFBI捜査官のアダム(ジョン・ハム)による猛烈な追跡。ダグはこれらの障害を乗り越えてタウンを抜け出すことができるのか⁈
 もちろん本作は前述したように銃撃戦が素晴らしい。特にボストンのレッドソックスの野球の本拠地であるフェンウェイ・パークを舞台にした激しい銃撃戦はかなり引き込まれる。そして、レベッカ・ホールブレイク・ライヴリーといった美女達の存在も男どもにとっては嬉しいところだ。パワフルな映画が観たい人、クライムサスペンスが好きな人等に今回はザ・タウンをお勧めに挙げておこう

 監督は前述したようにベン・アフレック。彼が監督、主演した映画ではアルゴ、彼が監督に専念したゴーン・ベイビー・ゴーンがお勧め。






 


 

 




 
 








 

 



 

 
 
 

 





 

 

 
 
  
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映画 レイジング・ブル(1980) デ・ニーロ・アプローチを見ろ!

2024年01月21日 | 映画(ら行)
 先日シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロのW主演によるボクシング映画のリベンジ・マッチをアップしたのだが、なぜかロバート・デ・ニーロ主演の映画レイジング・ブルを観たくなった。スタローン主演のロッキーシリーズがどん底から立ち上がるような、非常に心地良くなるようなサクセスストーリーを描いていて多くのファンもいる。一方、今回紹介するレイジング・ブルの方だが、同じボクシング映画でもロッキーシリーズとは真逆のような展開。しかし、数多くあるボクシング映画の中でも傑作との評判の名作だ。
 本作の見所として、ボクシング映画ならではのファイトシーンも見応え充分だが、ロバート・デ・ニーロの代名詞とも言われる究極の役作りにこだわったデ・ニーロ・アプローチ。ボクサー時代の研ぎ澄まされた肉体改造だけでなく、引退してからのブヨブヨに太った肥満体を造り上げたように大幅な体重増(およそ20キロ以上)を敢行するなど、狂気さえ感じさせるデ・ニーロ・アプローチを本作で見られる。まあ、今では役作りのために体重を増加させたり、減量するような俳優はいるが、本作が公開された時代にはそんな俳優は滅多に居なかった。本作が後の俳優に与えた影響は大きい。

 ちなみに本作のレイジング・ブルのタイトルの由来は『怒れる牡牛』。実在したミドル級世界チャンピオンだったボクシング選手のジェイク・ラモッタのニックネーム。ジェイク・ラモッタの自伝映画だが、彼の栄光を感じさせる部分は少しだけ。むしろ暗い気分になるぐらいの転落っぷりが描かれている。

 モノクロの映像に主人公のダメっぷりが、これでもかと描かれているストーリーを紹介しよう。
 1941年、デビュー以来無敗をほこっていたジェイク・ラモッタロバート・デ・ニーロ)は相手から7回もダウンを奪ったのに疑惑の判定で敗れる。そんな怒りを嫁や弟でマネージャーのジョーイ(ジョー・ぺシ)にぶつけてしまう。しかも、市営プールで偶然目にした金髪美女のビッキー(キャシー・モリアーティ )と妻が居るのに関わらず公然とビッキーと付き合い、結婚までしてしまう。
 その後、再び連勝街道を突き進むジェイク・ラモッタ。当時は無敵であり、後の宿命のライバルになるシュガー・レイ・ロビンソンに土をつける。しかし、その後にタイトルマッチに挑戦するために八百長に加担し、ミドル級チャンピオンに輝くも次第に家族を省みなくなったラモッタは次第にビッキーが他の男と付き合っているのではないかとの強迫的なまでの猜疑心に襲われ、ついにはビッキーと弟のジョーイの仲まで疑ってしまい・・・

 ジェイク・ラモッタがとことん嫌な奴。チャンピオンにまで上り詰めるが、孤独に陥り、破滅に追い込まれる。本作を観れば何時の時も調子に乗り過ぎるなと痛感させられる。そして、ボクシングシーンでは結構な血量がぶっ飛び、監督の演出力を感じさせる暴力的なシーンも多く出てくる。この暴力シーンこそ流石はマーティン・スコセッシ。人間の狂気、破滅、暴力を描かせたらこの監督の独壇場だ。
 そして、ボクシングを引退して芸人を生業とするジェイク・ラモッタが、なんだか難しそうな台詞をぶつぶつ呟くシーンがある。自らの人生の過去を振り返る姿に、当時30歳代後半に差し掛かったマーティン・スコセッシ監督の人生を知っている者には非常に興味深く感じられる。この監督もまた大きな挫折を味わっているのだ。
 映画には監督と俳優の名コンビというのがあるが、本作のマーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロがまさにソレ。そんなコンビ作品の中でも本作はその頂点を極めているか。そして、弟役のジョーイを演じるジョー・ぺシが良い。彼もまたその後のマーティン・スコセッシ作品やホーム・アローン、リーサル・ウェポンといった人気シリーズでアクの強い演技を見せつける名優ぶりが本作で垣間見えるのが映画ファンには嬉しいところだ。
 ボクシング映画に気持ちの良いストーリーを求める人には本作は向かない可能性があるが、監督、俳優のこだわりが見れる映画を好む人、破滅、転落を描いた映画が好きな人、古い映画に興味がある人ならばレイジング・ブルは満足できるだろう

 監督は前述したようにマーティン・スコセッシ。お勧め作品多数。本作と同じくロバート・デ・ニーロとジョー・ぺシも共演しているグッド・フェローズカジノがお勧め。他にはこのコンビの最高傑作だと思っているキング・オブ・コメディ、そしてブラックコメディなアフター・アワーズをお勧めに挙げておこう









 

 
 
 
 
 

 
 
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映画 リベンジ・マッチ(2013) 遺恨マッチです

2024年01月16日 | 映画(ら行)
 すっかりガス欠を起こしてしまい久しぶりの投稿。これからはもう少し頻度を上げて投稿しようと思うので今年もよろしくお願いします。さて、今回紹介する映画はボクシング映画の金字塔ロッキーシリーズで一躍大スターに登りつめたシルベスター・スタローン。そして、こちらもボクシング映画の名作として誉れ高いレイジング・ブルで大幅に体重を増加させた役作りで名を馳せたロバート・デ・ニーロ。まさかの2人のW主演によるボクシング映画が今回紹介するリベンジ・マッチ
 本作の公開時にシルベスター・スタローンは67歳。ロバート・デ・ニーロにいたっては70歳。老優の2人が裸をさらしてボクシング対決をする。この2人のボクシング対決と聞いて、なせか俺はエイリアンVSプレデターを思い出してしまった。嫌な予感しかしないようなボクシング映画を見せられるのかと思いきや、俺の予想は良い意味で大きく裏切られた。

 シルベスター・スタローンとロバート・デ・ニーロのかつての主演作のパロディーを存分に取り入れたストーリーの紹介を。
 1980年代に一世を風靡したボクサーだったヘンリー(シルベスター・スタローン)とビリー(ロバート・デ・ニーロ)。2人の対戦成績は1勝1敗の五分。しかし、決着をつけるはずの第3戦目を迎える直前でヘンリーが突然引退してしまったことにビリーは30年経った今でも根に持っていた。一方ヘンリーもある理由でビリーを嫌っておりずっと避けていた。
 そんな2人に目を付けたのが、プロモーターであるダンテ(ケヴィン・ハート)。無謀にも彼らを30年ぶりに戦わせて大儲けをしようと企むのだが・・・

 前述したようにロッキーレイジング・ブルという2人のボクシング映画の代表作のパロディーをけっこう取り入れてくるので、できればこの2作品は観ておいた方が良いだろう。なぜなら本作ではギャグとして効果を上げているので予め両作品を観ている人は観てない人よりも笑えるからだ。
 笑えるのはパロディーだけではない。60歳を超えたジイサン連中の口の悪さが凄い。特にロバート・デ・ニーロの罵詈雑言、スタローン演じるヘンリーのトレーナーに抜擢されるルイス(アラン・アーキン)の場所をわきまえない下ネタ等・・・良い子を持つお母さんも顔を真っ青にしてしまいそうな台詞の数々が最初から最後まで怒涛の如く飛び交うのが、俺にはかなりウケた。
 そしてクライマックスのボクシングシーンだが、思いのほか熱いファイトシーンを見せてくれる。自らの誇りのために30年の想いをぶつけ合う激闘に俺のハートが熱くなった。コメディ色が強い映画だが、ここには家族愛、誇り、友情等も感じさせる。そして本作がニクイのが最後にボクシングファンを喜ばせるシーンを用意しているところ。
 それにしてもシルベスター・スタローンもロバート・デ・ニーロも凄いのが年齢を感じさせない肉体を鍛え上げていること。特にスタローンは水を得た魚のようなハッスルしているし、ロッキー健在ぶりを本作でも見せつける。ロッキーシリーズを見続けている50歳以上の大人達には当然楽しめるし、ロッキーシリーズやレイジング・ブルを観ていない人でも一応は楽しめそうだ。自分で言うのも何だが、今年一発目に紹介するのに相応しいリベンジ・マッチをお勧めに挙げておこう

 監督はピーター・シーガル。本作以外にもコメディ作品で確かな演出力を見せつける。ラブコメの傑作50回目のファーストキス、かつてバート・レイノルズ主演のリメイク作品ロンゲスト・ヤード、スティーヴ・カレル、アン・ハサウェイ共演のスパイ映画ゲット・スマートがお勧め。






 
 

 

 
 

 
 
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