マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

大阪西成下町お好み

2012-04-02 20:40:53 | 




西成区の東の端を南北に走る、阪堺線チンチン電車。
となりの住吉区に住んだ人間としては、この辺り無性に懐かしい風景がある。




地元っ子の酒屋さんに以前から聞いていた、お好み焼きの名店。
お母さんに聞くと、創業68年。
戦中か戦後かのドサクサの中、食糧事情のもっとも悪い時期に始まっている。

生前母に聞いたが、戦後、米の節約のためにメリケン粉を焼いた節米焼きという
名前で奨励された時期があったという。



鉄板もくたびれてはいるが、掃除は行き届いている。
丁寧に刻まれたキャベツ。みずみずしい生地。
でかすぎない、ほどのいい大きさ。
下町のお好み焼きはこうでないといけない。





豚玉 530円

豚バラのきれいなこと。脂が美味しくないといけない。
これはこれなりに吟味しなくてはいけない。



そうそう、この店はアルコールがない。よって変なおっさんは寄りつかない。

私がいる間も、客は女性(おばはん)ばかりだった。
大き目の世話話だけ苦にならなければ、実に快適である。





近所の酒屋くんといい、ここでお好み焼きの洗礼を受けた子供たちは、
必ずここへと戻ってくる。 

幼き日、撒き餌をされてしまうと、そうそう別の店のソース味で満足できるものではない。





焼きそばも。 こっちも油など一切ひかない。

お千代さんのすごいのは、キャベツが指定できること。
細かいキャベツか、大きなキャベツか。

双方でキャベツの部分もちがうから、甘さも変わってくるのだろう。
細かい方にしたが、大き目のも食べたくなった。
キャベツはいちいち秤で計量して出す、気の使いようだ。




いい具合に焦げ目ができると、コテで小さく刻む。
メイラード反応が起き、豚肉は香ばしさを加え、うまみを増す。

この豚肉と一緒にそばを炒める。 油をそばにまとわせ、コーティングさせるのだ。
このそばがまたうっすらとクチナシ系の色がついたオールドファッションなもの。
富士宮はこうだったっけ。
浅草染太郎もこんな感じだった。






キャベツにこだわりがあるのは見て分かるだろ。

みごとに大きさを揃えて刻んである。これは下準備に時間をかけている。





両者を合わせて、その手早いこと。ソースは地元ヒシウメかな。
おばちゃんの手付きは鮮やかである。

NHK連ドラ「てっぱん」に出演した、富司純子の写真と色紙があった。
ドラマスタッフ10数人で突然来たので、怒ってやったとおばちゃん。
そうそう、そういう行儀を知らんヤツらは怒鳴りつけるに限る。
この鉄板の方がよほど大人である。





純子さんはその後、一人で再来した。
裏を返すあたり、なかなかの男前。さすがはかつての緋牡丹お竜だな。

おばちゃんに、昔、松田町に牧場があったでしょうと言うと、記憶していらした。
こんな密集した町の真ん中に、酪農家が何軒もあったのは驚きだ。





飾りもひねりもない、ストレートな昭和のお好み焼き。
しかし一本貫かれる棒のごときものがある。

初めて入ったが、こっちもこの美味しい撒き餌にひっかかりそうだ。


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にぎやかなりし新開地

2012-03-23 16:08:01 | 




大阪新世界と同種の匂いを持つ、神戸新開地。
どこか浅草とも似ている。
神戸の人にとって新開地というと、懐かしい響きがあるのだろうか。


大正13年にできた新開地タワー、のちの神戸タワーは、通天閣よりちょい高かった。
昭和43年に老朽化のため、取り壊された。


兵庫港を中心に、港湾や重工業の働き手たちで新開地はそれは賑わったそうな。
居留地から広がった元町界隈のエキゾチズムとは別の、庶民的な神戸。


そんな新開地の、老舗居酒屋「丸萬」。
今だに特級酒、一級酒なんて書いてあったりする。




何でも混ぜて、重層的な味が好きな大阪人に比べ、
神戸の人はシンプルな、そのもののズバリの味を好む。
タコ、貝などを愛するのは、それだけ海が近かったからだろう。





だし巻き。 美味い物はきれいだ。





牛バラ焼き肉で精つけて、福原へ繰り出そう・・・!

なんて言ってたのかな。





いわしフライ

もちろん遠慮なくウスターをぶっかける。





そうそう、バッテラは行っとかなきゃいけない。





品がよろしくないが、ちょいと刷毛で醤油などひいてみたり・・・。





ひと筋入れば、福原のソープ街。
客引きさえいなきゃ、のんびり散歩と行きたいが、
かつての遊郭をしのばせる情緒など、ほとんどないのが残念。





そんな福原に一軒のお好み焼き屋「美丁(よしちょう)」があり、
色街のはんなりとしたお店として、姐さん方にも人気だったと聞く。

震災で被災し、閉じてしまったが、
そこで焼いていた女性が、美丁スタイルを踏襲したお好み焼きを
今に伝えるのが、「一ソ十」。





お好み焼きが、メシの代わりになるほど大型化したのはまだ最近のことで、
色街系のお好み焼きは、かつて北新地にあった「以登家」にしても、小ぶりである。





豚玉なんていわない。 豚粉焼き 750円
基本、玉子は使わない。
玉子入りは追加50円となる。 そこらへんも昔流。





たこそば焼き 800円もシンプル極まりない。
プリプリのたこがやっぱり神戸だ。大阪じゃこうはいかない。 





オムライスなんてのもあって、これ意外と他の店にはないよな。





粋な男女で暖簾をくぐるお好み焼き屋は、ちょっとした夫婦ごっこの場であり、
女性は甲斐々々しく男はんの世話を焼いてみせたりした。
カウンターの下でそっと手を握ってみたりしたのではあるまいか。

だからお好み焼き自体は、どちらかというと脇役だった。
だから小ぶりで、ちょっとした腹ふさぎ、つなぎになればよかった。

めしの代わりになったり、特大とか食べ放題とかその手のものではなかった。
モダン焼きしかり、腹にドンと来るようでは具合悪かったのである。

粋だった時代が偲ばれる、色街お好み焼きを伝える店も、数少なくなった。
磨きこまれた鉄板。キリッと白衣を着た女性店主のコテさばき。
清潔感にあふれた店である。

女将は平谷さん。独特の屋号は、平の文字をバラしてみるとわかる。


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名古屋・だつ芋

2011-10-10 17:03:45 | 

名古屋駅。ともかくもお腹に何か入れておかねばならない時。
きしめんは重宝である。



ひさびさ、新幹線、名古屋駅プラットホームのきしめんを食った。
かけきしめん 340円。 かけでこの値段は安くはない。
花がつおが上あごにくっつき、後をひく感じは、いかにもきしめん。

この醤油の勝った色、鰹をきかしただしが、いかにも名古屋である。
子供の頃から、親戚のいる名古屋にはよく行き、その都度、きしめんには親しんだ。
味噌煮込みうどんなんて上等なものは食わしてもらえず、存在に気付いたのは大人になってから。

ひと仕事片付け、伏見の洋食屋さんへ。
「広小路キッチン・マツイ」 ここの嬉しいのは、昼休みのないこと。
昭和37年から続く、洋食屋。もともとは精肉屋さんだったとか。



名古屋だからではないが、妙に海老フライに惹かれた。 1本から頼めるのだ。
タルタルソースもたっぷり、別添えでついてくる。



ねぎ味噌カツ。ネギがこんもり。
何分の一か、名古屋人の血液が流れる男なので、なごやんテイストの赤味噌文化は
まったく問題なし。「名古屋の味噌味、気持ち悪い・・・」なんて、若いのに今だに言っている人がいて、
その旧式で頑迷なズレ方に同情を禁じ得ない。



ガブリとかぶりつく快感。ウスター、ドミグラスと並ぶ、立派な和風ソースだと思う。

皇帝豚カルビの網焼き。

たまり醤油で焼いたと見える豚カルビが、バカに美味かった。

たまらず、ご飯を注文。




さて、名古屋には昼間っから飲めるような安酒場、立ち飲みなど意外に少ないことに気づいた。
昼は必死に働けということか、飲むなんて行為は許してもらえないのか。

おなじみ「大甚本店」もそそられたが、今まで行ったことがない店へ、ってことで
大須の「末廣屋」。ここは15時開店。


大須辺りの猥雑なムードは好きだ。 昼間っからこのイルミネーチャン。
浅草、新世界と相通じるものがある。
近くの飲み屋が目当て。



古めかしい看板がイカしている、末廣屋。



まだ早い夕方、まさかこんなに入っているとは。
オヤジの一人客が多い。
店は家族経営で、カウンター内には、お父ちゃんとお母ちゃん。
小学校から帰った兄弟が、できあがったおかずを託されては、
「えだ豆、どこですか!」なんて、お運びを務めたりする。
いいなぁ、家族一丸になって働く。昔はいくらでもあった風景だ。





気になるメニューが、だつ芋。 何だろう・・・?

出てきたのが、これ。 月山の根曲がり茸に見えなくもないが、これがだつ芋。
サトイモの茎なんだとか。これの太い部分が、ずいきとなる。





おろし生姜が散らしてあり、おつな味がする。
なんだか不思議なものがあるなぁ、名古屋。 この雰囲気キライぢゃない。






20年ほど前、大須観音の縁日の露店で見た、こんにゃく芋売り。 江戸時代かと思った・・・。

近畿では見られなくなった、マンガ焼きも出ていた。

さてと、信仰よりも団子・・・

ということで、みたらし団子。 とろみのない醤油焼きがたまんねぇ。





アタシは和菓子の中ても、団子には特別な思いがある。
このひなびた感じがなんともいい。

大須演芸場がまだ盛業中。
日頃TVなんかに露出しない、名古屋に居ついた芸人たち



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北新地、大人の一夜

2011-10-02 18:30:43 | 

北新地と書いて、きたのしんち。古い新地族はこう呼ぶ。
北政所を、きたまんどころ…と読まないのと同様。

古い言葉は駆逐されていく、だが、失ってはならない響きというものがあろう。
特に地名などはストーリーがあり、大事にしたいと思うのだが、行政ってヤツは
曽根崎新地とか東心斎橋なんて味気のない地名でひとくくちにしやがる。



さて、ここはその北新地の料理店「川添」。
カハラ直系の店。ずっと来たいと思いながら、やっと実現した。
飲食店を展開する後輩Dと一緒。

最初に出てくるのは、一切れのパン。
少しお腹を落ち着かせてから、という意味合いか。
人気の高いブランジェリーPBのイチジクパンを軽くトーストして。バカにうまい。



一皿目、海鮮とキノコのサラダ仕立て。

アワビ茸、スーナ、手長ダコ、炙り新サンマ(根室)、だだちゃ豆、アワビ・・・など
スーナとは沖縄産とさか海苔。

ソースは十六島海苔(出雲)、モロヘイヤ、アカモクを散らしたビネグレットソース。

斬新な素材を使うのは、長年修業されたカハラ森さん譲り。




ロワーヌ河上流のサンセールの白と、ブルゴーニュのシャルドネ。
どちらもいただきました。



小皿2種
タコの肝煮 サンマのわたのリエット

人生と同じく、ほろ苦い。
この味はガキにゃわかるめぇ。

赤ピーマンのスープ仕立て  乾燥ものいろいろ

干しナマコ、キクラゲ、干し大根、黒大豆、青大豆、ゴーヤ、高野豆腐、
黒オリーブ、干し鱈

この夏のカレーまつりでは、赤ピーマンのカレーを出していた川添さん。
どうやら彼のブームらしい。 素材そのままなのだが、それが重層的に影響しあい
複雑な味わいになっている。
ふつうのスープみたいにサ~ッと飲めない、噛んで楽しめるスープ。

魚料理  鱧焼き霜、素麺かぼちゃ、鱧の卵カレー風味、 サリコーン
ソースは冬瓜のソース

上にのる切り干大根みたいなのが、素麺かぼちゃ。
付け合わせのスギナみたいなのは、サリコーン、厚岸草ともよばれ、
干潟に生息する海藻。海のミネラル分を吸いこむので、塩気を持つ。

♪~ サリコーンはつらいね、ってなことおっしゃいましたかね~~ 鼻歌が古すぎる。

あっさりとした大人の味だ。
いろいろ食べて来て、人生折り返したような人にはぴったり。
もちろんヘルシーなので若い女性にも。
ギラギラした若い男には似つかわしくない。

コーンスープが出たが、撮り忘れた。
川添さんの故郷、宮崎のスイートコーン、おだしのジュレ。

そしていざ、お肉へ。




鹿児島牛のステーキ  
肉味噌・スクランブルエッグ・金時草・キムチトマト・タスマニアマスタード

ひとくちサイズにカットされた肉。付け合わせを肉に付けても、そのままでも。
なんだか、芸妓はんとでも来たいような。

美味いし、目にも楽しい。
これもまた師匠譲りですな。
 




シメはネタ箱が目の前に出され、「どれになさいますか?」
青背の魚で小さな丼が出るのが、こちらの定番。
まるで寿司屋である。

上からサゴシ(鰆の稚魚)、サゴシ・タイラギの昆布締め、
仕事のしてあるサバ、カスゴ(小鯛)、コハダ

全部もありです・・・というので、当然、私は全種類を少しずつ。




お魚丼 
シンプルで美味。
香の物替わりに、オクラといぶりがっこ。
日本茶が美味い、やっぱ日本人だなぁ~。




水菓子  オレンジのゼリー

その後、新地内のクラブへと案内されたのであるが、
アタシみたいな、金の匂いのしない書生ふぜいは格別女性たちにモテるわけでもなく、
もちろん自腹で常連になんぞなれる訳もなく、
いつまでたっても、どうもなんだか苦手意識が消えないのである。
新地はメシがよろしいようで…。

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新大阪駅ナカ、粉もん・揚げもん

2011-09-28 01:52:20 | 




新大阪駅、新幹線乗り場。
入場券を買って中へ入る。





ここに何があったのか記憶にないが、雑多な飲食店があった部分が整理され、
新しく、「大阪のれんめぐり」という一画ができた。
そのプレオープンへ。





フードコート形式とでもいうのか、各店舗にカウンターがあり座れると同時に、
真中が共用の立ち食いスペースになっていて、ここではどの店のものも
気兼ねなく食べていいようになっている。

入っている店が駅初出店の店ばかり。

串かつの「新世界だるま」、 ねぎ焼きの「十三やまもと」。





大阪うどんの「道頓堀今井」。





炭火焼肉「たむら」は、たむけんとこのお肉が入ったカレー屋さん。
そして、たこ焼きの「道頓堀くくる」。これらの店に声がけを務めたのはくくるさん。

こんな顔も。右は「だるま」のだるま大臣。
ワルい顔やなぁ~~





左の雅やんに似た人はトンガリ頭ではなく、キャップのひさしがそう見えるだけ。為念。

フードコートみたいなものを想像しておらず、
とにかく、串カツのみを食べる気で来ていたので、
もう身体が串かつでないといけません。

昭和4年創業のもっとも古い部類に入る、串カツの老舗。




串カツ120円~
串カツといえば、総称でもあり、牛肉のカツを指す。
串カツ4、海老2、玉ネギ、上へ行って ウズラ、レンコン、チーズちくわ





トプン…とソースをくぐらせる。 熱々の生地にチリチリ…とソースが沁みて行く。
昼間っからビールが大変よく合う。

串カツの個性は、ねりやとよばれる生地とパン粉、それにソースにあり。
ここのカリッと揚がったカツ、ソースも自分にはどストライク!
年柄年中、だるまにうなされる横浜の甥や姪も、これが駅で食えるとなると欣喜雀躍だろう。





お隣は十三の名店、ネギ焼きといえばココの「やまもと」。
店長は山本竜太くん。もちろん創業者一族。





すじネギ焼き850円
わざわざ十三に行かなくても、ここでネギ焼きが食べられるとなると、
水野真紀さん、喜びそうやなぁ~。
生ビールはどこの店も460円。これは協定結んだな。





大阪うどんの本山、「道頓堀今井」。
北海道の天然真昆布と、鹿児島産鰹節でとっただしが、今井の信条。
大阪人、冬の凍える日なんぞには、うどんはいらない、だしだけ吸いたい時がある。

きつねうどん700円
お決まり通り、煮含めた揚げを割り箸で押しながら、だしをず~ぃっと。
ふむふむ、不動なる大いなる大定番。





焼肉たむらはカレーで参戦。 たむけんも出世したもんだなぁ。
これはメンチカツカレー950円
文字の部分は春巻きの皮だそうで。





くくるのたこ焼き。 大たこ入りたこ焼き 480円。 明石焼き530円。
たこやきはそそる。
しかし・・・




この5軒の料理は原則、列車内への持ち込みなどダメなんだとか。なんでやねん。
串カツやたこ焼きの熱々なんか、のぞみ車内に持ち込みたいだろうに。
地下の「たこ昌」のたこ焼きなんか、今までいくらでも持って入ったさ。

まさか構内の飲食他店への遠慮というやつか。おかしな話だ。
サービスとは客の方を向くべきだと思うのだが。

まもなく、グランドオープン。
ぜひ一度、大阪ベタベタの味を、新大阪にいながらにしてどうぞ。
入場券120円さえ払えば、乗車客ぢゃなくとも大丈夫。
でもそいつはあくまで予告編。
次はぜひ本店の方に足を延ばしてもらいたい。

コメント (2)
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