マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.5.20 穴子の収まり

2006-05-20 01:39:19 | Weblog

江戸前の仕事では煮穴子の場合、身の方を上にして握るのと、皮目を上に握ることがある。だが、あの皮目ってのはどうだかねぇ、食欲を喚起するものでない気がしてならぬ。鰻の蒲焼だってそうだぜぇ、あれ天地引っくり返して持ってこられてご覧、うわばみを開いたようで、げんなりすること請け合い。

  

なんで皮目で出すわけ…と職人に訊いても、大抵は「そういうふうに教わった」という答えだった。中にゃ表裏で陰陽を表しているともっともらしく答える者もいた。その割には二貫づけの場合、二貫とも皮目だったりするではないか。首をひねるばかり。

谷九の鮨職人石川氏に尋ねると、穴子の肉質からそうしているのではとのこと。すなわち柔らかく煮上げた穴子の太い胴の部分を切りつけると、身側の中央に向けて折れやすくなる。そこへ飯をかませるとしっくりとなじむというわけだ。
逆に細い尾に近づくと、皮の方に丸くなろうとする(のかな)か
ら皮目に飯をかました方が具合がいい。つまりは穴子の性質(たち)をみて、収まりのいいように上下を返しているというのだ。なるほどなぁ、これは説得力があった。出てきた穴子をもうちょい観察する必要がありそうだ。

いずれにせよ蕩けるような食感をもって最上となす。小笹寿しで出てくる煮切り醤油でさっと付け焼きにし、一味がパラリとかかった雉焼きの美味いこと。飲むなという方が酷である。弁天山美家古で出てきた穴子の肝の煮付、これもたまらんかった。銚子3本ぐらいあっという間に消えた。

コメント
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