関西のグルマンの皆さんならばご存知でしょう、難波の「波屋書房」。
プロ用の食の専門書の充実していることでは広く知られた書店です。
この本屋がただの本屋にあらず。創業は大正8年。若き日の藤沢桓夫や武田麟太郎、長沖一、林広志(秋田實)が参加した新感覚派の同人誌「辻馬車」の発行元でもあったのです。こんなユニークな出版社が大阪にもいくらもあったんです。(今は寂しいもんですが・・・)
長沖は後年「お父さんはお人よし」や「アチャコ青春手帖」の作者として、秋田がエンタツ・アチャコとしゃべくり漫才を確立するなど、漫才作家という地位を築いたのは、多くのものが知るところ。
波屋の主人は宇崎純一(スミカズ)。画家でもあった純一は、本屋の経営を弟に押し付けて、精力的に絵筆を握ります。数々の抒情的な絵を残し、本の挿絵や絵葉書スミカズカードなどで人気を博します。
そのロマンチックな画風から「大阪の夢二」という有難いような有難くないようなよばれ方をして、でもひょいと見ると見間違うようなタッチの絵もあったりします。現在も波屋書房のブックカバーのイラスト(あの馬車の絵ね)は純一の筆によるものです。
死後、長らく忘れ去られていた宇崎純一展が今日から始まっています。
今回の展示会では、彼の画家としてのしごとの全容を一堂に集めると共に、
かつての大阪ミナミという土壌に花開いた豊かな文芸世界をも見直そうというものだそうです。
ぜひ、お運びを。
「大正ロマンの画家・スミカズの優しき世界 ~ 宇崎純一展」
会期 4月23日(土)~5月5日(水)
平日 午前9時15分~午後8時30分
土日祝 ~午後5時
会場 大阪市立中央図書館 1階エントランスギャラリー
大阪市西区北堀江4-3-2 地下鉄西長堀スグ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます