地元出身の江編集長時代のMeetsが取り上げて、一躍脚光を浴びた
かしみん。地元民であり、外からの視点もある人間だから、この独自の
食べもんは浜を出ることになった。
ひとまず、ご本家の「大和」を探す。
岸和田の海風に長年耐えてきただろう家屋。
玄関の三和土をいじっただけの小さな洋食焼き。
お好み焼きの前身ともいえる洋食焼きがこうして、
ふつうに生き残っているのは珍しい。
見落としてしまうような道の奥にあった「大和」。
浜の名物、かしみんは、この店から始まった。
つまりは洋食焼きの一種。
元々あったかしわ焼きと、ミンチ焼きを客の要望で一つにしたのが
この店。かしわは堅いが味のある、ひね鶏の胸肉。
ミンチは肉に非ず、ミンチ状にした牛脂のこと。
安い原材料の洋食焼きで、子供が握り締める小銭で楽しめるおやつ、
それがかしみんだったのだろう。
漁師町気質のやんちゃな悪童たちが来たという。
やんちゃな子供ほど、大人になっても忘れずに戻ってくる。
おばちゃんが焼き、おっちゃんがソースを塗り、仕上げる。
上からもミンチをパラパラ、溶けた脂によってバリッと香ばしくなる。
創業30数年。すぐ裏には白砂青松が広がっていたという。
近所には魚網を干す家が多かった。
潮騒のすぐ側で食べられたら、極楽だろうなー。
浜の人間にとって、駅前商店街に出かけるのはちょっとした外出。
老舗お好み焼き「双月」などは、贅沢でなかなか行けぬ店だった。
かしみんモダンを追加。手早くかしわとキャベツを炒め、
茹でた中華麺を一緒に炒める。
粉を丸くきれいに焼くのは、大将、熟練の技。
昔は学校帰りの中学生が多かったが、今では中学生の
小遣いでは間尺に合わない。
ここは頑固にアルコールをおかない。サイダーや牛乳が
この店の飲み物。愛想ないけど、水が一番味がわかる。
請われて作り方を教え、かしみんは浜一帯へと広がっていった。
おっちゃんによると岸和田にもくるみ餅があり、堺「かん袋」と違って、大豆あんを使った茶色い姿をしているという。かき氷を足して食す。
「こふじ食堂」の夏限定メニュー。次回、行かねばならん。
ゆっくりと洋食焼きを巡ってみたいもんだ。
大和 岸和田市紙屋町
そうなると、せっちゃんはあのソースの味の呪縛から逃げられないということになりますね。
私も同様です。お好み焼きも贅沢になってきていますが、実はシンプルな方がどれだけ美味いか!と思ってなりません。