『阪神のイカ焼き』¥126
昭和32年のスタート時は阪神初乗り料金と同様の一枚¥10だった。イカ焼き開業には、子供の頃に食べた住吉大社のイカ焼きの鮮烈な印象がはたらいたといふ。確かに夜店のイカ焼きは美味かったな。派手にガラガラと鉄板をひっくり返していたもんで、親爺は総じてニコリともせず怖かった。久々に阪神へ行き即食いしたが、これが一番美味いなぁ。持ち帰っちゃダメだ。僕にはTo Muchモチモチ感で、昔屋台で食ったよく焼いたパリッとしたタイプが食べたいのだが、なかなか見ない。少々焦げ目があったっていい、クリスピーで香ばしかった記憶がある。道修町の少彦名神社にはそのタイプのイカ焼き屋台があったという目撃談があるが。じっくり焼くには時間がかかるし、阪神は「イカが固くなって美味しくなくなる」という。そやろか。何とか探したい。さて阪神さん、何か特別な催事の際には、カレーいか焼きというウラ技も持っているようだが、食ったことないよな。
大阪人たるもの、他府県から客人が来ると「どこか美味いお好み焼きに連れてって」と必ず言われて、なかなか骨が折れるのだが。そこそこ美味しい店は星の数ほどあるが、これぞベストというのは言下には出てくるもんぢゃない。どんなお好みを美味いというのかは、その人間の育ち方や生き方と絡んでくるからだ。お好み焼きと水というベストカップルを判ってくれる人なのか、ビールでアテをいろいろ行きたい人なのか、実利派なのか情緒派なのか、ぼてじゅう千房ゆかり風月などの大バコでもいいのか。これ考えると、なかなか面倒なこってす。
天神橋4丁目「千草」の『千草焼』『¥850
昭和24年の開業。商店街から一本入った路地にある店だが、オールドファッションなごく普通に美味い店。実はコレが一番なのだが、浅ましいトップ屋的習性でどうもケレン味を求めてしまう。自戒すべし。
厚い豚ロース肉が乗る「千草焼」には珍しいケシの実がソースの上に散らされる。昔はお菓子感覚だったのだろう。ちゃんぽん焼きそばもソースとよく絡んで出色の出来。ビールもそこそこに一気に食ってしまう。
普通にうまいお好み焼き店を一軒お持ちならば、そんな幸せなことはないと思う。