あなたが幸せを感じる瞬間って、どんなとき? あなたにとって、幸せって何ですか? (編集長の今日のお題)
有る女性がいう。うん。幸せだよ。だって。寝袋一つ、抱えて世界中を旅している自分。
さて・・・・今日も寝床が見つかった。今夜はここで寝よう・・・・
寝袋から顔だけ出して、目を開けると、そこには満点の星空。
天然のダイヤモンド。
自分は今、こうして生きている。
今日も無事に過ごせた。
お寺の片隅に、こうして寝袋を広げて眠ることを許してもらえた。
公共のトイレだって、近くにある。
安泰、安泰・・・・・
何もない旅人の手ぶらの旅。
こうして旅していると、幸せの基準って、どんどん低くなるよね。
例えば、震災を経験した人。4日ぶりに入るお風呂がどれだけ有りがたいか…うん、それは体験したことがない私も想像はできる。
今日もよく頑張ったよね。
今朝、認知症の利用者さんに
「すずさん! 今日は早朝から仕事にきてたんやね。良かったぁ」って言ってもらえた瞬間に 『幸せ』を感じた。
日常に転がっている幸せ♪
「湯加減? 丁度いいみたいよ」
と、私の生き届かないであろう入浴介助中、うっとりと目を閉じた他の女性利用者さん。
きっと、今夜のお風呂は最高だぁ~♪
そうだよね、すずちゃん?
今日もお疲れ様、自分。
英語講師を挟んで8連勤の最終日。
無事に終わって良かったよね。
そんな自分へのご褒美は、今夜、入る ちょっと熱めのお湯のお風呂と…
それから何にしよう?
明日の朝は、ちょっと遅めに起きて、読みかけの本でも読もうかな?
どれも奥が深くて、隣の部屋に山積みされた専門書も読みこなせないくらい。
小説だって、いっぱい読みたい。
でも、欲張らないでね…。欲は出さずに、自分を満足させるだけの気力はいつだって充分。
私だから、分かってあげられる事がある。
「いつも初対面の人とは すごく緊張するのに、すずさんとは最初から緊張しなかった。普通に話が出来た」
…と、書かれた手紙。
「これ、他の人には秘密ね・・・」と、はにかみながら手紙を手渡ししてくれる知的障害の利用者さんが居る…。ずっと私が彼女を支えてきたようで、自分の方が、彼女のような存在に実は支えられている。自分の存在価値を彼女が認めてくれているようで。彼女からの手紙は宝物。いつもバックに忍ばせている。クリスマスコンサートで再会したとき、帰りのバス停で、そっと彼女に耳打ちした。
「ほら! いつも持ち歩いているの。お守り」
彼女はちょっと驚いて、それからにっこり笑った。
「私も子供の頃、引っ込み思案で、他人になかなか打ち解けられなくて。だから、気持ち、分かるよ。でも、独りで外国まで平気で行けるようにもなったもの。きっと、大丈夫♪」
もっと積極的に発言して!なんて決して言わない。「もっと発表しなさい、大きな声で!」と、いわれると、自分だって貝のように黙り込んだものだ。だから大人しい人には、自然体で自分が主になって話す。話題を見つけながら、何に興味がありそうか、表情を見ながら探る。大人しい人は会話が途切れた時の気まずさを辛く感じるもの。自分が悪いようで…。だから、ゆっくりと、今日は寒いね…みたいな会話から入る。時々、YES,NOで答えられる質問を投げかける。それから徐々に、、、、分かるよね。自分が心を裸にすれば、大人しい子は安心する。きっと心を開いてくれる…。一緒に歩いて、話をして、彼女が話しだしたとき、しっかり聴いてあげたらいい。
毎朝、彼女と会っていたバス停から施設までの歩いて10分間の距離。
「今週は、5日間、一度も休まずに通えました!」
出席カードを嬉しそうに見せる彼女の笑顔。「よく頑張ったね!凄いじゃない」、と私。更に笑顔が輝いていたっけ。最初は何も知らずにいた。彼女がそれまで休みがちだったことは、職員から後になって聞いた。
障害者施設での半年間の研修も、残り一カ月を切った頃…。一緒にチョコレートの箱作りをしている最中、彼女の両手がガタガタと震えだしたときがあった。
「ちょっと横になる? 大丈夫? 歩けそう?」
職員を呼んでくるように他の利用者さんに頼み、付き添っているだけの私だったっけ。それでも翌朝、バス停で、彼女が飛びついて来た。
「昨日は!」
私の手を取り、昨日は! だけ、元気よく言う。後の言葉を続けられないほどの勢い。昨日、なんだっけ? と思ったくらいの私に、「心配してくれて、ありがとう。病院へ行ったら、てんかん、って言われました!」
仮病、いつものこと…と、他の病院の医師に言われ、深く傷ついたこともあったらしい。繊細な彼女は本気で心配しているのか、いないのか、(自分もそうだけど)感覚的に分かる、そう、、、、分かっている。真似しようとして出来ることじゃない。世の中には接する相手の感情を常に察知する人だっている。ごく自然に…。
研修終了前日に彼女がくれた手紙のお返事を書いて、終礼後に渡すと、
「家に帰ってから、楽しみに読みます!」 とても喜んでくれたっけ。「旅行のとき、同じ部屋、同じグループになれなくて、残念でした」などなど、私をうるっとさせた彼女の手紙ほどには、伝えたいことがいっぱいありすぎて、上手く書けなかったけれど…。住所を聞かれたとき、本当は、このまま文通してもいいなって正直、思った。でも、クライアントと支援員的立場では、難しいらしい。(正職員にも相談) それでも私は覚えている。今も気にかけているから。どうか、離れていても、伝わりますように。
私だからこそ、出来る仕事がある。(勿論、プライベートな付き合いでも)
そう思えること。
自分を信じられることが、幸せの秘訣かな…。
みんな、元気? 写真を眺めていると、会いたくなっちゃった。
いつか、こっそり会いに行こうかな~って思う、今日この頃です…。
幸せをくれた貴方へ。 あのときは、ありがとう。
そして今日も ありがとう。
すず