日々のあれこれ

現在は仕事に関わること以外の日々の「あれこれ」を綴っております♪
ここ数年は 主に楽器演奏🎹🎻🎸と読書📚

バスの中の出来事

2011-02-02 08:15:32 | Weblog

 夜勤上がり、朝のバス停には ほんの数人しか人がいない。

殆どの人は、これから出勤という時間帯。

満杯のバスが終点ひとつ前のバス停に停まると、ダダダッーーーと高校生達や会社員がバスを降りる。

巡回バスなので、次の終点は、バスセンターでは始発になるのだ。

このバスに乗ると、決まって数人の『知っている人』に会った。

次のバスセンターが乗り換えのため、そこからバスに乗り込んでくる数人の利用者さん達だ。

勿論、夜勤が長引き、帰りが遅くなると、バスが違うので、会わないこともあるが、大抵、夜勤明けは、このバスで顔を合わせたものだった。

 皆、椅子取り競争の様に、バタバタとバスに乗り込んでくる。

彼らは大抵、一人で座る座席で、運転手さんに近い方を好んで座る。

私は空いている時間帯なので、(通勤とは逆方向だから)二人掛けの座席に座り、荷物を置きたいタイプ。

人が多いときは、荷物は膝上に置くが、こういうときは特に、後ろの方の座席を好んだ。

 

 この日も バスの扉が開くと、「彼」がバタバタと乗り込んできた。

一瞬、私の方を見る。

「私」が「彼」の視界に入ったようだ。

それから彼は、何度も、何度も、後ろを振り向き、こちらを見ている。

「あ! 鈴木さんだ!」

彼の声が聴こえる。

「お・は・よ!」

と、座席に座ったまま、口バクをする私。

彼は嬉しそうに瞬きすると、斜め前に座っている利用者さんに、声をかけた。

「すずきさん! すずきさんがいる! ほら!」

「ほんとだ! すずきさんだ!」

私も思わず嬉しくなって、ほほ笑んだ。

 

やがて私が降りるバス停でバスは停まった。

「宮田くん、(仮名)元気だった?」

「うん。元気!」

「福祉就労の皆も元気?」

「元気、元気! あ・・・えっとね。職員のマイコさんが赤ちゃん、生まれるたよ。知ってた?」

「あ~そうだったね。育児休暇中だったよね。生まれたんだー良かったねぇ」

 

こんな話をバタバタとしながら、「じゃ、降りるから。みんなに宜しく伝えといて!」

と慌てて言った。

実際、話は尽きない。

宮田くんは、私を呼びとめ、早口で言った。

「すずきさん! サマーレクリエーション(夏祭り)、今度の土曜日だけど、来る?」

「うんうん! 行くよ。そのとき、会おうね!」

「分かった!」

通所施設での半年間の研修を終え、あの場所を去ってから、一度だけ、冬のコンサートに行ったことがある。

あのときも、利用者さんたちの招待を受け、いそいそと出かけて行ったのだった。

あの日以来、半年ぶりの再会だ。

一年前に、みんなで金魚やヨーヨー釣りの出し物を成功させたっけ。。。

バスを降りて、彼に手を振りながら、あの日のことを思い出していた。

 

バスの中。

街の中。

彼らと 突然 すれ違う度に、思うことがある。

 

「あ! 鈴木さんだ!」

跳びはねるように、駆け寄ってくる。

男も女も関係なく、気がつくと、相手が手を握り締めている。

「げんきぃ~?

距離感なんて、

スペースなんて、

そんなのお構いなし!だ。

懐かしいから。 そしてきっと、好きでいてくれるから。

それが たまらなく嬉しい。

 

そして、一週間後。

一年ぶりに参加するサマーリクリエーション会場に到着した。

「何人かが、 鈴木さんも来るって言っていたよ!」 とスタッフ。

思わず、にんまりした。

そこへ女性利用者さんが やって来た。

「あ~! 鈴木さんっ! バスの中で、こないだ会ったんよ。ねえ~っ!」

男性職員に嬉しそうに報告している。

「また、大きな声で、 あ~! 鈴木さんだ!って叫んだんじゃないやろうね?」

笑いながら問う職員に、彼女は

「そんな いっぱいバスの中には 他にもお客さんがいるのに、言うわけないやん。ね~っ!」

と、私に同意を求める。

「そうだよね。小さな声で喋ったよね

ーでも、、、、結構、目立っていたかも・・・しれないー

 

そう思いながら…心の中は、いつしか ほんわかとなる。

この日も皆の心が宝石のように光ってみえた。

 

 

 

 http://goodbook.jp/newpage54.html   この「しょうがい者 福祉就労施設」で起こった「ひとこま」を元に童話を書きました。出版社サイトにて是非、お読みください。掲載期間は今日、2月1日から1カ月間限定。販売予約数が800冊に達したら、商業出版されます。人々のこころに「しょうがい」となる物はない! 幼児・子供向け絵本ですが、誤解を解くカギとなれば。。。そういう意味では大人向きでもあります。一人でも多くの『理解者』および『支援者』が現れます様に・・・。周囲の人達に、この「輪」「和」を広げましょう、そう、一冊の絵本で。

Comments (2)
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