高野切第一種巻第二十、最後の歌の拡大臨書です。(35㎝×50㎝)
古今和歌集全体としても最後の歌(1100番歌)となります。
冬の賀茂のまつりの歌
藤原敏行朝臣
ちはやぶる賀茂のまつりの姫小松 万世(よろづよ)経(ふ)とも色は変らじ
巻第二十
冬の賀茂の祭りは“賀茂の臨時祭り”とも呼ばれ、辞典などによれば、
“京都の賀茂神社で、4月の例祭の外に”11月の末の酉の日に行った祭典で、
“京都の賀茂神社で、4月の例祭の外に”11月の末の酉の日に行った祭典で、
889年、宇多天皇のときに始まり、1870年(明治3年)まで続いた”と。
巻第二十の全32首は殆どが無記名ですが、2首だけが読み人の名前が記入されており、
本歌はその一つです。
なぜ、藤原敏行朝臣の歌が名前入りで、しかも古今集の最後にきているのか、興味がありますが、
なぜ、藤原敏行朝臣の歌が名前入りで、しかも古今集の最後にきているのか、興味がありますが、
深追いするのはやめておきます。
尚、高野切では、本歌2行目の“よろづよ”の“つ”が欠けており、
定家本などでは入っていますので、こちらで書きました。
古今和歌集の最後の歌で1100番歌に当たり、この歌の後に「巻第二十」の文字が見え、
さらにその後に(見えないところに)「奥書」(おくがき:書写本などの由緒書き)があり、
後奈良天皇の花押があります。
文字通り最後の歌なんだ、と実感させられます。
高野切第一種、別に全部を臨書した訳ではありませんが、一応の区切りとなり、
正直何かほっとした気分になっています。
と同時に、この第一種を学んだら、不遜にもこの書風が大好きになり、
もう少しこの系統の仮名を続けたくなりました。
それにはピッタリの教材がありました。
2023.2.20付拙ブログ「梅の香を・・・」で記しましたが、
同じ一種書風の人が書いたとされる「大字和漢朗詠集切(伝 藤原行成筆)」です。
これからこのお手本にチャレンジしてみようと思っています。
前もって準備していたのですがアップが遅くなり失礼をば致しました。
何時ものように濃淡、バランス、筆の走り等お見事だと思います。
次から次へと関心を持たれ、またそれに向けて色々工夫されながら向上心を維持されている事には感心するのみです。
説明を読みながら、「ちはやぶる」は、「神」だけでなく加茂、宇治などの土地にもかかる枕詞であるやら、加茂のまつりと葵祭の関係など、調べてみれば知らなかった知識を得ることができました。