古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

荒磯の岩に砕けて散る月を 一つになして帰る浪かな(徳川光圀公の歌)

2021-10-18 06:59:19 | 絵と書
荒磯の岩に砕けて散る月を 一つになして帰る浪かな(半切1/3大)


畏れ多くも、水戸第二代藩主 光國公の歌です。
これも前回アップしました“秋の風鈴”の句と同じ
「星の林に月の船」(声で楽しむ和歌・俳句)(大岡 信編)に出ていた和歌です。

きれいでいい歌だなと思って作者をみたら、何とご老公であらせられた、という次第です。
ドラマで見る、全国を巡り、乱れた世をきれいな一つの月の様にされるご老公のお姿ともダブります。

最初は書のみでとりかかりましたが、
“その歌らしい”作品にしようとの思いから、絵も添えたいと。
しかし夜の情景・・・ハタと困りました。
そこで思いついたのが“わんぱう”という白抜き剤。
ずうっと以前に水墨画用に入手していたものですが、全くといっていいほど使わずにいました。
表にこれを使って書き、裏面を墨で塗れば、表に書いた部分だけが白く残る・・・という代物です。

この“わんぱう”を使って書の方を書きました。
筆はやや太めの漢字用小筆です。
バックの絵の概略部分(下側)を先に描きましたが、こちらに結構エネルギーを。
字の方は滲み防止ということもこれあり、一気呵成に書きました。
おかげで少々粗っぽい字に・・・。

絵の方は、前に練習した「波打ち際の練習」(寄せる波と引く波)(2019.6.3付拙ブログ)
を基に構成しました。
寄せ波は凸状、引き波は凹状にと単純化し、
その引き波の筋の中に月光が映えている・・・そんな雰囲気のつもりであります。

最も苦労したのが紙。
手持ちの数種類の紙を試し書きしながらの作業でした。
厚い紙は白抜きは出来ますが滲んでしまったり、
薄手の紙はスッキリかけますが白抜きが不十分であったり・・・。
結局選んだのがこれも普段は殆ど使わない金箔砂子入りの半切紙ででした。
白抜きは今一ですが許容範囲のようです。
金箔砂子と星・・・これは最初から狙ったのではなく、偶々結果としてではありましたが、
砂子を星に見立てるのも一興かな、と。

そしてほんのちょっと迷ったのが落款の位置。
書をメインとすれば、左「光國公の歌」の左側ですが、
本作は一応、書と絵とで成り立ち、この場合、左右どちらかの下側に。
左下は主役様の御席なので、自動的に右下、しかも飛沫(しぶき)に隠れるように・・・。


Youtubeでは、この和歌に、
あの“荒城の月”の滝廉太郎が曲をつけた『荒磯』という歌を、
ソプラノ歌手さんがそれはそれは格調高く歌っておられました。





コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« くろがねの 秋の風鈴 鳴り... | トップ | ワイン・グラス、ボトルなど... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mori)
2021-10-18 07:20:24
凄いの一言ですね。作品の見事さ、技法、それに次から次への探求心、幅の広さ。
字が粗っぽいと仰いますが、とんでもございません。作品にマッチして力強く、堂々と暗闇の中で月光を浴び光っている(浮かび上がっている)ように感じます。
荒磯の波も力強く跳ねていて良いですね。
全般的には月光の下とは言え、非常に力強さが感じられます。
返信する
Unknown (サガミの介)
2021-10-18 07:45:04
私には初めてお目にかかるジャンルの作品で、神秘的で強く心を打つ神々しい雰囲気を感じました。
その完成には過去からの実績遺産と創意と努力があった故であることも納得です。
最近でも北斎漫画で日本アニメの原点を教えられ、蛇笏の風鈴で絵と書の融合を感じ、今回の印象書画で感動させていただき、作者の飽くない前向き思考と行動に感服です。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

絵と書」カテゴリの最新記事