古稀からの手習い 水彩ブログ

人生の第4コーナー、水彩画で楽しみたいと思います

蓬莱切(万葉仮名部分)を書きました

2022-09-19 06:59:27 | 書道
蓬莱切の賀歌5首の内、万葉仮名部分2首を書きました。
(半切2/5大 画像処理によりフィルター掛け)
筆は、前回の草仮名と同じ兼毫小筆です。
以下2首の解釈や解説は、主にネット上にある「帯とけの古典文芸」さまのご所論(部分)
依らせていただきました。

「与露都餘耳閑波 良奴者奈乃以呂難禮盤 移川麗濃安幾我起 身駕微差羅無」

よろづよにかわらぬ花の色なれば いづれの秋か君が見ざらむ
(万世に変わらない草花の色なので、何時の秋にか君が見ないことがあろうか・いつでも見られるだろう)
詞書に、「天暦御時前栽の宴せさせ給ひけるに  小野宮大臣」とあり、
“前栽(ぜんざい)”は屋内から観賞できるように庭先に植えられた草木、
“小野宮大臣”は藤原実頼(900~970)で、天暦御時(村上天皇 在位946~967)には左大臣、
その後も関白・太政大臣などで2代の天皇に仕えた公卿・歌人。
万世変わらず催される秋の草花観賞の宴の歌。


「於本波羅也越 志寶乃耶未濃故満川 者羅半也許當閑ゝ麗 地与乃賀遣微武

大はらやをしほの山の小松原 はやこだかかれ千代の影見む
(大原野神社をはじめ藤原氏の氏神が鎮座する小塩山の小松原、
早く小高く(木高く)なれ、千代のお陰・恵みを受けましょう)
詞書には、「左大臣の家のおのこ女ご、冠し、裳着けるに」とあり、
“左大臣は”上述の藤原実頼で、その男の子と女の子が同じ日に成人式を行った時の祝い歌。


万葉仮名、当然のことながら、平仮名や草仮名と比べ、元の字が漢字ですので、
先ずは一字々々の“字の形”を整えるのに練習時間の多くを要しました。
また漢字では角張りがちになるところ、この蓬莱切の作者は、
仮名文字よろしく、漢字に円やかさを持たせており、その辺の表現も難しく感じました。

新しい兼毫小筆の練習に当たっては、運筆の原点に立ちかえり、
筆を真っ直ぐ立てて筆先が線の中心を通るようにすること、
転折個所では筆先を整えてから筆を進めることなどに留意しました。

さすがに羊毛も含んだ兼毫筆、掠れの文字にもそれなりの線巾をもって耐えてくれるようです。
ただ、長さのある渇筆では、筆圧や運筆のスピードの変化で
掠れをコントロールする必要があり、これはこれで結構難しいテーマでした。

そして筆を握る位置、悲しい習性、どうしても下へ下へと行きがちで、
まだまだ、肩から力が抜けません。


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2 コメント

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Unknown (mori)
2022-09-19 07:16:54
私なんかは、殆どの字が読めませんので絵を見る感覚とでも言いましょうか、全般のバランス、墨の濃淡、筆の走りと言うか文字の伸びやかさ・形等々で見させて頂き、次いで説明を読んでそうか成程と納得する訳ですが、絵を見る感覚部分はどれを取ってもお見事だと思います。
筆を握る位置、肩の力、分かる気がすると共にどんな名人にもこの様な悩みがあるのかとある意味ホッとしました。
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Unknown (サガミの介)
2022-09-19 12:07:28
素人から見て書の難しさは数々考えられますが、絵画と違って書き直しが出来ないことがあると思います。
筆の使い方の習熟は勿論、全体構図を頭に入れ墨継ぎなど考えた運筆スピード、結果的にバランスの取れた一幅の書になる、まさに感性の勝負なのでしょうか。
作者の言葉「長さのある渇筆では、筆圧や運筆のスピードの変化で掠れをコントロールする必要があり」など、その一端かと思います。
私は文字が殆ど読めないので、運筆の見事さ、出来上がりのバランスに感心しております。
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