「柳に風」と羊毛大筆を使って書きました。
(半切1/2大 画像処理でフィルター掛け)
先年物故された家内のお友達から、
その御形見にと2本の大筆をいただいていたことは前に書きました。
共に穂長が8cmほどあるイタチ毛と羊毛筆です。
イタチ毛大筆は、「義」(21.7.5)や「筆」(22.3.7)で練習しておりましたし、
羊毛筆でも中筆では何枚か書いていますが、
頂いたこの羊毛大筆は今回が初めてのチャレンジになります。
自分の中では“いよいよ!”の気分です。
それも今回は羊毛筆の特徴である“渇筆”をテーマにしました。
更に言えば、
羊毛筆の渇筆には“掠(かす)れ”とポコポコと空洞が出来る“白抜き”がありますが、
その前者・掠れの方です。
練習作品で白抜きが出ている部分もありますが、こちらは今回意図したものではありません。
羊毛大筆で、この掠れを意識的にどうやって出すのか、そしてそれをどうコントロールするのか、
というのが基本的なテーマであります。
何せ8㎝のクネクネ筆、一筋縄ではいきそうにありません。
以下、細かいことで恐縮ですが、
youtubeにアップされている何人かのお方の書き方を参考にさせていただきながら、
自分なりに、以下のような手順を定めて練習しました。
(根元まで含ませた墨をこれから書きたい量に調整して)
(字画の、それぞれの線ごとに)
①逆筆で入りS字形で止める
②筆を起こして元に戻った状態に。
・目的は態勢を立て直すため
・S字から真っ直ぐ伸ばす
③次の態勢をとる。
・次に進む目標を確認し、方向を定める。
・筆圧を軽くかけ(S字に)
・これから書く線の太さに応じた接紙面を作る
④線を書く
・S字を保ちながらの圧力加減と早さ加減が大事なよう
・・・といったところでしょうか。
上のどの段階もおろそかには出来ない大事なことです。
①②③はゆっくりとした動作ながら、中途半端になりがちですし、
④は練習ではできても、いざ清書(あとこれ1枚)という時には緊張で震えがきたり、です。
特に大筆で細い線を書くときには顕著です。
地味ではありますがとにかくこの基礎練習こそが羊毛筆に慣れることではないかと。
まだまだコントロールどころではないレベルですが、
少しは慣れかかったところで本練習作品への挑戦、という次第であります。
線の基礎練習だけで、半切の表裏を真っ黒にすること、30枚余。
何と無駄なことを、とお笑いあれ!
本日午前、最後の絵画教室(小玉精子先生)です。
操作の仕方を読んでまたまた驚きました。凄いの一言ですね。
掠れを入れながらバランスと言い、筆運びと言い、見事に仕上げられた書だと思います。
説明を読むと、意識した「掠れ」はとても難しそうです、いい味出すのは簡単ではないんだ、真っ黒になるんだ・・・、でもやっぱりこの作品、いい味出てますね。