人の体温やパソコンなど小さな熱源を利用して発電し、ねじったり折り曲げたりできるシートが開発されたと先日報道されていました(YOMIURI ONLINE)。開発されたのは、筒状になった炭素分子「カーボンナノチューブ」で作った布に「クラウンエーテル」という液体の有機化合物と塩化ナトリウムなどを染み込ませ、樹脂でパッキングした厚さ約1ミリのシートだそうです。カーボンナノチューブと有機化合物の相互作用で、太陽電池と似た性質を持つ有機半導体ができ、光の代わりに熱(温度差)に反応して発電するそうです。実験の結果、150度の高温に1か月間さらしても、ほとんど劣化せず発電できたということです。発電効率は、今のところ太陽電池の10分の1程度だそうですが、センサーなど弱い電力で動く機器は稼働し、さらに改良可能ということです。体温で稼働し、心拍数や血圧の変化などを連続測定できる小型の医療機器、パソコンの熱を再利用して動く周辺機器などで、活用が見込めるそうです。これまでも同様の技術は開発されてきたそうですが、非常に高価な原料や大型の装置が必要だったり、耐久性に問題があったりしたため、用途が限られていたそうです。カーボンナノチューブなら安価で量産可能なので、生活用品や医療機器、工業用プラントなど、幅広い分野で応用できる可能性があり、数年後の実用化を目指すそうです。
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