健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

Y染色体の欠失とアルツハイマー病

2016-06-03 08:30:31 | 研究
80歳を超える男性の約5人に1人は血液細胞からY染色体が欠失しており、このことがアルツハイマー病の発症リスク上昇と関連しているとする研究論文がAmerican Journal of Human Geneticsに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。Y染色体の欠失(LOY)は、がんのリスクを上昇させることや喫煙者により多くみられることがこれまでの研究で分かっていたそうですが、今回の研究では、より幅広い健康問題を予測する生体指標として利用できる可能性が指摘されているとのこと。研究では、平均年齢73歳の男性3200人以上を対象にLOYの状況を調査。その結果、このうちの約17%に血液細胞中のLOYがみられ、すでにアルツハイマー病と診断されている人々では、LOYの値がより高かったというのです。また、認知症と診断されてはいないがLOYの症状がみられる人々は、その後数年以内にアルツハイマー病を発症するリスクがより高かったとも。Y染色体が欠失しているからといって、がんやアルツハイマー病を100%発症するわけではないとしながらも、血液細胞中のY染色体欠失は将来、疾病リスクの新たな生体指標となる可能性があり、問題の早期発見・治療に効果を発揮するとしているとのことです。
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