健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

脂質制限ダイエットに疑問符

2016-06-17 08:30:42 | 研究
ダイエット中の人々を半世紀近く悩ませてきた低脂肪食のガイドラインをめぐり、一部の食物脂肪は体重増加に影響しないとする論文がThe Lancet Diabetes & Endocrinologyに発表されたそうです(AFPBB NEWS)。オリーブ油やナッツ類に含まれる脂質が体重増加の原因になるかを調べた研究チームは、低脂肪ダイエットを推奨する風潮について、糖尿病や心臓発作、脳卒中といった健康問題につながる肥満の世界的増加を防ぐ効果はなかったと結論付けているそうです。
研究によると、スペインで行った臨床試験に参加した過体重や肥満の約7500人のうち、「健康に良い脂質」の摂取量を大幅に増やしたグループには、全ての脂質の排除を試みたグループと比較して、より大きな体重増加はみられなかったそうです。ただし、今回の臨床試験では、既に過体重で心疾患リスクがある55~80歳の白人と対象が非常に限定されており、結果を拡大解釈しないよう注意を促す声も上がっているとも。研究では、対象者を3グループに分け、試験開始時の食事に占める脂質の割合は全員約40%とし、このうち2グループにはカロリー制限のない「地中海式ダイエット」を、一方はオリーブ油を、他方はナッツ類を好きなだけ食べて良いことに。3つ目のグループには、脂質を全て排除する伝統的な食事制限。5年後、第3グループでは脂質の摂取量が37.3%に減少したのに対し、第1、第2グループでは共に約42%に増加。だが、体重は全グループで平均1キロ未満とわずかながら減少したそうです。また、全グループで胴囲の平均値が少々増加したが、特に「低脂肪食」のグループでその傾向が高かったそうです。今回の発見は加工肉や甘味飲料、甘味やファストフードなどいわゆる健康に悪い脂質を好きなだけ摂取して構わないということではないということです。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする