遺伝性の難聴により聴力を失う「運命」にあったマウスに遺伝子編集技術を用いて、聴力障害を回避させたとする研究論文がNatureに掲載されたそうです(AFPBB NEWS)。難聴を引き起こすDNAを持つ生まれたばかりマウスの聴覚細胞に対して、CRISPR-Cas9と呼ばれる遺伝子改変技術を用い、徐々に聴力を失わせる変異遺伝子を「無機能化」させたというもの。生後4週間の時点では、治療が施されなかったマウスは、交通騒音の音量に相当する80デシベルの音を聞き取れなかったそうですが、治療を施したマウスは、人間の普通の会話音量に相当する65デシベル以下の音を聞き取れたそうです。さらに生後8週間では、治療しなかったマウスは、通常のマウスならば驚くような突然の大きな音にも反応しなかったそうです。治療を施したマウスの耳では、治療しなかったマウスに比べて聴覚をつかさどる有毛細胞がずっと健全だったそうです。有毛細胞は遺伝子TMC1が変異すると機能しなくなるそうです。研究に用いられた一部のマウスは、後天性の難聴に見舞われたベートーベンになぞらえられたものだそうです。将来的には人の難聴治療への応用も期待されるということです。
http://www.afpbb.com/articles/-/3156212
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