先日、巨人・澤村投手と女子アナの破局記事を書いた週刊誌が発売日当日に2人の結婚が発表されてしまい翌週号で掲載のいきさつを記事にしていましたが、何と当事者に確認せず周辺人物の憶測だけで記事にしたと臆面もなくシレ~と開き直っていましたが昔からスポーツマスコミは御手盛りで記事を書いていたようです。
名物デスクの鬼塚が生あくびを噛み殺しているうちに梅雨がやって来た。鬼塚は6月12.13.14日と3日間連続で巨人戦が中止になって、あたふたした時を思い起こしてデスク連中を招集し梅雨時対策会議を催した。巨人戦さえ中止にならなければ、とりあえず1面には困らない。「巨人ネタ以外を探して来い」鬼塚チーフの号令の下、各デスクが持ち回りで責任者となり紙面作りを命じられた。
「長嶋モノ」「田淵モノ」「熱パの現ナマ作戦の実態」「早くもストーブリーグ情報」 …等々。それぞれ担当者には得意分野があるがその多くは他社が書く内容と大差ない。例えば長嶋ネタでは「大洋入りが濃厚」とウチが書けば、日刊スポーツは「大洋は長嶋盗り断念」スポニチは「西武来季の監督候補に」「広岡か長嶋か堤オーナーが決断」と、いずれも決定打を欠く推測記事のオンパレード。結局は長嶋を絡めた巨人ネタに頼らざるを得ないのがプロ野球界の現状なのだ。
同じ長嶋ネタでも独自性を出そうと新聞休刊日の担当が回ってきたデスクが部下を長嶋邸へ向かわせた。宅配は無くても駅売り用の記事は必要なのだ。6月14日の阪神戦の後楽園球場に長嶋がやって来る。当日は朝から小雨模様だったが前日までの2試合を雨で流しているだけに少々の雨なら強行するはずとデスクはみていた。「この程度の雨で中止したら人工芝が泣くぜ、ミスターを見たさにファンも詰め駆けるだろうし絶対にやる」と鬼塚チーフデスクも思っていたが試合は中止に。「御前試合」で1面は決まっているのだが「長嶋ガッカリ」ではつまらない。帰社した記者たちを交えてさっそく鳩首会議で鬼塚チーフが開口一番、「巨人が長嶋から逃げる」でどうかと。「いつもは4時頃に中止を決定するけど今日は4時半でしたから『逃げる』はどうですかね」「じゃあ腰痛の原は今季絶望」で行くかと。「原は雨の影響か軽めでしたけど普通に練習してましたよ」と記者。結局「ミスターに逃げ腰で中止」と中途半端な1面に。
他社の見出しに「江川、謀略敗戦」の文字が踊ったのは同じ新聞休刊日だった。雨天中止翌日の1面作りに苦労しているのはどこも一緒。今は解説者だが強烈な長嶋親派の巨人OBが江川の癖を逐一、広島・古葉監督へ報告したせいで16日の江川は広島打線の餌食になったというのだ。事の真偽はともかく、この記事の衝撃度は強く当該解説者の特定に走る社が相次ぐ事態に。
長嶋ネタには長男・一茂君も含まれる。一茂君は今春立教高校へ進学したばかりの1年生だが、身長1㍍82㌢・体重72㌔の躯体に首筋が太くナデ肩なところは父親そっくり。そんな彼が野球部に入ったとの情報にさっそく記者が取材をしようとしたが、「取材はNGでした。一茂君はまだ補欠の補欠だからと写真も撮らせてくれません」「それで黙って帰って来たのか?」「一応写真だけは隠し撮りしてきましたよ、500㍉の望遠レンズで」「実にイイ顔をしていますよ、タレントにしてもいけるくらい。でもコレを使ったら後が怖いですよ。一茂君が荒木大ちゃんみたいになっても立教高校から取材拒否されるかも」 せっかくの特ダネ写真も今回はお蔵入りだ。
「写真は使えなくても記事は書けるだろ。記事になりそうな話を聞いて来なかったのか?」「同級生の話では一茂君は投手をやりたいみたいで。打者ではとても父親を越えられそうにないから」だそうです。「それ面白いじゃないか、『長嶋Jr投手で甲子園を目指す』で行けるだろ」「イヤイヤ、本人のコメントも取ってないし単なる同級生の話ですよ」「同級生だろうが周辺関係者に間違いないし全部が推測って訳じゃないんだから大丈夫だろ」
前々から「事情通」とか「球団関係者」の存在は怪しいと思っていましたが、やはりと言う事ですかね。
「●●選手をトレード放出」などの飛ばし記事にスポーツ紙が、訂正&謝罪のコメントやらを出したのを
見た事は無いです。間違った情報を発信した場合は即座に自らの非を認めるのがジャーナリズムとして
あるべき姿勢だと思いますが、スポーツ紙の記事は一般紙とは別モノで「話し半分」として楽しめば良く
目くじらを立てる方が間違っていると言う事でしょうかね。