吉田監督の予言ピタリ的中
巨人に強い田淵がホームラン2本の固め打ち
ホームランの打ち方を忘れたのでは、と周囲をヤキモキさせていた田淵にやっと一発が出た。これでファンも首脳陣も一安心といったところだ。今季第1号は4月13日の対巨人1回戦の4回裏一死一塁の場面で堀内投手の内角速球を上手く腕を畳んで振り抜き左翼ポールに直撃させた。これは開幕から7試合目、26打席目だった。昨季は開幕の中日戦で3発と大爆発。それと比べると今季は明らかに遅かったがこの一発でエンジンがかかり、15日にも塩月投手から第2号を放ち王追撃の態勢は整った。思えばオープン戦で右ヒザを痛めたのがケチのつけ始めだった。コンディション不良のままシーズンイン。一発が出るまで本当に周囲はイライラしていた。
「私の予言通り巨人戦で打ちましたでっしゃろ。必ず打つと思うてましたワ」と吉田監督はニンマリ。巨人戦を控えた前日に吉田監督は予言していたのだ。単なる感ではない。田淵の過去7年間の第1号本塁打を振り返ると入団2年目の昭和45年、47年、48年と3シーズンに渡って巨人戦で放っている。そして今季が四度目で田淵は巨人戦と相性が良いデータが残っている。「特別意識はしていないですけどね。でも確かに巨人戦だと雑念が消えて試合に集中できる。2本出てやっと王さんに追いついた。まだまだシーズンは始まったばかりですよ」と出るものが出て田淵も首脳陣もホッと一息つけた。
なんと1億円をパーにして・・・
雨台風で2試合中止でV1逆転チャンス失う?
台風17号は全国各地に大きな被害を与えたが阪神も例外ではなかった。9月7・8・9日に予定されていた対巨人3連戦は初戦こそ行われ阪神が9対8で勝利し首位巨人に4.5ゲーム差に迫ったが残り2試合は大雨で中止に。続く大洋3連戦も1・2戦が中止となり5日間雨が降り続けた。約一週間も待ちぼうけで選手の追撃ムードの気勢がそがれるやら、テレビやラジオの放映権料や入場料、球場内での売上がパーになるやら球団にとって踏んだり蹴ったりの大損害だった。特にドル箱の巨人戦2試合の中止は痛かった。何しろ2日間で見込んでいた1億円が球団の懐から飛んで逃げてしまった。中止になった2試合は10月20日過ぎの最終日程に回されるので、ひょっとすると既に優勝チームが決まってしまった後の消化試合になっている可能性も高い。
「まったく憎っくき台風です。一番のかき入れ時にやって来るとはいい迷惑です。少々の雨なら決行したかったですけど、あの大雨じゃとても無理。こうなったら選手には残りの試合を頑張ってもらって来月の巨人戦が優勝を左右する試合にしてもらうしかない」と長田球団社長。被害はお金だけではない。巨人を追撃するチームの士気に水を差されて好調だった打線も試合勘が鈍り、投手陣も休み過ぎは登板間隔が空いてしまいかえってマイナス材料になるのではと心配された。だが一週間ぶりの試合となった後楽園球場での巨人3連戦は江本投手が打たれたが終盤に粘りをみせて引き分けに持ち込んだ。翌日は古沢投手が完投勝利。このままゲーム差を縮めたかったが3戦目を落として4.5ゲーム差のままで台風来襲前と変わらず。まったく迷惑な台風だった。
一味ちがうルーキー深沢投手
早くも合宿所入りし冬季練習で片鱗を披露
オフになっても甲子園球場では選手が大きな掛け声で動き回っている。山内コーチを中心に球場近くの合宿所「虎風荘」に住む若手が冬季練習を続けている。その中に見慣れない選手の姿があった。昨年のドラフト会議で5位に指名されたが入団せず、今年のドラフト前に1年遅れて入団した深沢投手(日本楽器)だ。12月1日に虎風荘に引っ越したばかり。最上階の509号室に入居したが当日は両親や友人が手伝いに駆けつけたがタンスなどを人力で5階まで運び上げるのにフーフー大汗をかいていた。
「新人ですから荷物運びが大変な高い階でも仕方ありません。家財道具といっても両親が買ってくれたタンスが2つやコタツくらいで部屋の中はガラ~ンとしています(深沢)」と。さっそく翌日からチームに合流し冬季練習に参加した。社会人で活躍していただけあって体の使い方は流石で若手に混じっていると目立つ。深沢の参加を聞きつけた皆川投手コーチが甲子園球場に駆けつけた。皆川コーチは日本楽器の臨時コーチの経験があり深沢とも面識がある。「下手投げの良い投手の印象がある。あの頃より体も一回り大きくなった。期待できるよ(皆川)」とニッコリ。