
8年ぶりに石狩美術協会展におじゃましました。
石狩市は札幌の北隣にある人口5万7千人のマチです。
もともとは石狩川河口でサケ漁などで栄えましたが、1960年代以降は札幌のベッドタウンとして発展し、93年には役場(市役所)も川沿いの旧市街から札幌にほど近い住宅街のほうに引っ越してきました。
96年に市制施行。2005年には石狩市、厚田村、浜益村が合併し、日本海に沿って縦に長い市域となりました。
札幌の近隣の市は、小樽、江別、恵庭、北広島のいずれにも美術協会があり、石狩は後発ですが、毎年秋に展覧会を開いています。
川本ヤスヒロ「白い道」。
全道展のベテラン会員です。
数年前に着手し、展覧会ギリギリまでかかった作品だとのこと。
自画像を中心に、左には、属している絵画グループ「櫂」のメンバーが描かれています。左上はベートーベンです。「櫂」で唯一の物故者である藤井高志さんの遺影は右側に描かれています。
川本さんが着ているのは、グッゲンハイム美術館のTシャツです。
この絵を見ると、わたしたちの人生は、1本の白い道を進んでいるようなのか、それともこのTシャツの足跡のように同じところをぐるぐるまわっているものなのか、しばし考えてしまいます。
右は石川亨信「韻」。
銅版画ですが、版そのもののような光沢と厚み、物質感を漂わせています。
中央は川本エミ子「活」(水彩)。
川本さんは以前からタコなどの魚介類をモチーフにしています。
今回は水中を泳ぐ姿ではなく、イカとともに室内に置かれています。
左は鈴木百合「Fanfan―001」(同)
左は岩崎道子「古木」(同)
F80と、水彩にしては大作。どうやら、着彩した紙を数センチ大にちぎって、支持体に貼り合わせているようです。
そのため、マチエールに凹凸ができて、とても迫力のある画面が生まれています。
中央は原貴子「灯と果実」」(同)
右は古田瑩子「日々のくらし」(同)
古田さんは、森の中で一輪車に乗って並んで浮かぶ人形などを精緻な筆で描き、新道展や水彩連盟などで大活躍した画家ですが、近年は札幌のアートシーンにはほとんど姿を見せていません。
穏やかな20号の作品で、いまもマイペースに絵筆を執り続けていることに、ほっとします。
左は福岡幸一「日本一長寿のナシの樹(日面紅)」
石狩美術協会事務局を務める版画家。ことし、半世紀前に住んでいたオホーツク美術協会展に出品し、入賞を果たすなど、あいかわらず元気そうです。作品は枯れた木を写実的に淡々と見つめて生まれた銅版画です。
右は岩佐淑子「海辺の静物」(同)。
岩佐さんは新道展会員で、グループ「環」のメンバー。
左は千葉富士枝「DREAM」(油彩)。
中央は小野英雄「融合」(水彩)。
どちらも丹念に制作された抽象絵画です。
小野さんのマチエールは水彩とは思えない厚みがあります。目の粗い布を重ねているのでしょうか。
右は笹嶋スミ子「波動」。
流木コラージュというユニークな手法によるF50号です。木片の組み合わせだけで流れるような画面をつくっています。
左は渡辺芳雄「「滝」静寂な奏で」(油彩)
中央は金子俊一「赤い風」(同)
モチーフとなる女性を、中央線からわずかに右にずらしたことが効いています。
右は池畠史幸「昭和の精鋭(SL C623)」(同)
池畠さんもかつては新道展会員として活躍していましたが、作品を拝見するのはひさしぶりです。
かみやれいこ「記憶 虚」(油彩)
昨年の全道展で会員に推挙されたかみやさん。会場で最も大きい130号です。
青やオレンジ、黄色などの面がすばやいストロークで描かれ、せめぎあって、画面に緊張感をもたらしているようです。
次の作品は川名義美「黒い時代・黒い人物」
川名さんは全道展会員で、この作品はことしの全道展出品作の表面を処理して濃い色にしたものだそうです。
色が変わるだけで印象がずいぶん異なるものだと、驚きました。
背後に見えているのが山岸誠「婦人」。
おなじく木彫で、彫刻を協会展に出しているのはこの2人です。
また、陶芸は前野右子「海辺」と佐門幹大「焼〆壺」。
このほか絵画で、中村恭子「静寂」、緑川由美子「夢の中の記憶」、若生美和子「碧い夜」が出品されています。
2024年9月15日(土)~22日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)
Art Warm アートウォーム(石狩市花畔1の1)
□福岡幸一画集のページ https://fkanmo.web.fc2.com/gasyu.html
□池畠史幸絵画館 https://enu68.jimdofree.com/
過去の関連記事へのリンク
●5周年パーティー
■川本ヤスヒロ小品展 猫のいる風景 (2018)
■川本ヤスヒロ展~音楽の空間 (2017)
■石狩美術協会5周年 (2016)
■櫂展 第9回(2014、画像なし)
■第8回(2012年)
■第5回櫂展(2007、画像なし)
■第4回櫂展(2006、画像なし)
■第16回書と絵の五人展(2006、画像なし)
■川本ヤスヒロ展(2004)
■グループ櫂展(2003、画像なし)
■川本ヤスヒロ展(2003、画像なし)
■伎の和 11人の版表現 (2023)
■ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
■石川亨信展 (2013)
■JRタワー・アートプラネッツ2012 楽しい現代美術入門 アルタイルの庭(画像なし)
■石川亨信 版画展 feel SOU,feel so U. (2010年)
■New Point vol.7 (2010年1月)
■饗韻と、「在る」。 (2008年。下沢敏也さんとの2人展)
■小林大・石川亨信銅版画展(06年、画像なし)
■asia-print-adventure 03(画像なし)
■石川亨信凹版画展「季、天、温、と。(トキトソラトヌクミト)」(02年。3月23日の項)
■石川亨信凹版画展(01年)
■川本エミ子個展 (2009)
■道彩展会員・会友展(2007、画像なし)
■第26回道彩展(2006、画像なし)
■川本エミ子展(同)
■第3回水彩連盟北海道札幌支部展 (2008、古田さん出品、画像なし)
■第2回水彩連盟北海道札幌支部展 (2007、古田さん出品、画像なし)
■【お知らせ】古田瑩子個展(2007)
■古田瑩子展(2007)
■第1回水彩連盟北海道札幌支部展(2006)
■古田瑩子個展 (2001)
■第2回KUKITEN 群来展 (2020)=福岡さん出品
■群来展 (2019)
■福岡幸一作品展―五十年をたどる (2016)
■福岡幸一銅版画展 1億年前の北海道のアンモナイトたち (2014年)
■福岡幸一版画展 生の記憶 (2011年)
■福岡幸一アンモナイト版画展(2010年)
■福岡幸一版画展(2007年) ●同展のおしらせ
■福岡幸一版画展 ~北の樹、果樹~(2003年)
■福岡幸一版画展(2003年)
■福岡幸一版画展(2002年)
■福岡幸一展(2001年)
福岡幸一「静物」 =オホーツク管内置戸町所蔵
■第24回グループ環 展(2024年6月)
■第10回グループ環 展
■第9回グループ環 展=岩佐淑子さん出品
・中央バス「花畔中央」から約280メートル、徒歩3分
・中央バス「石狩庁舎前」から約550~600メートル、徒歩8~9分
※札幌ターミナルから「石狩線」(石狩行き、トーメン団地行き)、「厚田線」(道の駅あいろーど厚田行き)、「14 花川南団地線」「16 花畔団地線」、地下鉄南北線麻生駅から「麻08 緑苑台線」「麻13 花畔団地線」「麻14 花畔団地線」「麻15 花畔団地線」「麻16 花畔団地線」「麻17 南花畔通線」、地下鉄東豊線栄町駅から「栄19 栄町・花川線」、地下鉄東西線宮の沢駅から「宮47 手稲線」、JR手稲駅北口から「宮47 手稲線」「43 手稲線」のいずれの路線でも「石狩庁舎前」に行きます。このうち「宮47」「麻13」「麻15」「43」「石狩線」「厚田線」は、次の「花畔中央」にも止まります
石狩市は札幌の北隣にある人口5万7千人のマチです。
もともとは石狩川河口でサケ漁などで栄えましたが、1960年代以降は札幌のベッドタウンとして発展し、93年には役場(市役所)も川沿いの旧市街から札幌にほど近い住宅街のほうに引っ越してきました。
96年に市制施行。2005年には石狩市、厚田村、浜益村が合併し、日本海に沿って縦に長い市域となりました。
札幌の近隣の市は、小樽、江別、恵庭、北広島のいずれにも美術協会があり、石狩は後発ですが、毎年秋に展覧会を開いています。

全道展のベテラン会員です。
数年前に着手し、展覧会ギリギリまでかかった作品だとのこと。
自画像を中心に、左には、属している絵画グループ「櫂」のメンバーが描かれています。左上はベートーベンです。「櫂」で唯一の物故者である藤井高志さんの遺影は右側に描かれています。
川本さんが着ているのは、グッゲンハイム美術館のTシャツです。
この絵を見ると、わたしたちの人生は、1本の白い道を進んでいるようなのか、それともこのTシャツの足跡のように同じところをぐるぐるまわっているものなのか、しばし考えてしまいます。

銅版画ですが、版そのもののような光沢と厚み、物質感を漂わせています。
中央は川本エミ子「活」(水彩)。
川本さんは以前からタコなどの魚介類をモチーフにしています。
今回は水中を泳ぐ姿ではなく、イカとともに室内に置かれています。
左は鈴木百合「Fanfan―001」(同)

F80と、水彩にしては大作。どうやら、着彩した紙を数センチ大にちぎって、支持体に貼り合わせているようです。
そのため、マチエールに凹凸ができて、とても迫力のある画面が生まれています。
中央は原貴子「灯と果実」」(同)
右は古田瑩子「日々のくらし」(同)
古田さんは、森の中で一輪車に乗って並んで浮かぶ人形などを精緻な筆で描き、新道展や水彩連盟などで大活躍した画家ですが、近年は札幌のアートシーンにはほとんど姿を見せていません。
穏やかな20号の作品で、いまもマイペースに絵筆を執り続けていることに、ほっとします。

石狩美術協会事務局を務める版画家。ことし、半世紀前に住んでいたオホーツク美術協会展に出品し、入賞を果たすなど、あいかわらず元気そうです。作品は枯れた木を写実的に淡々と見つめて生まれた銅版画です。
右は岩佐淑子「海辺の静物」(同)。
岩佐さんは新道展会員で、グループ「環」のメンバー。

中央は小野英雄「融合」(水彩)。
どちらも丹念に制作された抽象絵画です。
小野さんのマチエールは水彩とは思えない厚みがあります。目の粗い布を重ねているのでしょうか。
右は笹嶋スミ子「波動」。
流木コラージュというユニークな手法によるF50号です。木片の組み合わせだけで流れるような画面をつくっています。

中央は金子俊一「赤い風」(同)
モチーフとなる女性を、中央線からわずかに右にずらしたことが効いています。
右は池畠史幸「昭和の精鋭(SL C623)」(同)
池畠さんもかつては新道展会員として活躍していましたが、作品を拝見するのはひさしぶりです。

昨年の全道展で会員に推挙されたかみやさん。会場で最も大きい130号です。
青やオレンジ、黄色などの面がすばやいストロークで描かれ、せめぎあって、画面に緊張感をもたらしているようです。
次の作品は川名義美「黒い時代・黒い人物」
川名さんは全道展会員で、この作品はことしの全道展出品作の表面を処理して濃い色にしたものだそうです。
色が変わるだけで印象がずいぶん異なるものだと、驚きました。
背後に見えているのが山岸誠「婦人」。
おなじく木彫で、彫刻を協会展に出しているのはこの2人です。

このほか絵画で、中村恭子「静寂」、緑川由美子「夢の中の記憶」、若生美和子「碧い夜」が出品されています。
2024年9月15日(土)~22日(日)午前10時~午後5時(最終日~4時)
Art Warm アートウォーム(石狩市花畔1の1)
□福岡幸一画集のページ https://fkanmo.web.fc2.com/gasyu.html
□池畠史幸絵画館 https://enu68.jimdofree.com/
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■櫂展 第9回(2014、画像なし)
■第8回(2012年)
■第5回櫂展(2007、画像なし)
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■小林大・石川亨信銅版画展(06年、画像なし)
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■道彩展会員・会友展(2007、画像なし)
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■川本エミ子展(同)
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■【お知らせ】古田瑩子個展(2007)
■古田瑩子展(2007)
■第1回水彩連盟北海道札幌支部展(2006)
■古田瑩子個展 (2001)
■第2回KUKITEN 群来展 (2020)=福岡さん出品
■群来展 (2019)
■福岡幸一作品展―五十年をたどる (2016)
■福岡幸一銅版画展 1億年前の北海道のアンモナイトたち (2014年)
■福岡幸一版画展 生の記憶 (2011年)
■福岡幸一アンモナイト版画展(2010年)
■福岡幸一版画展(2007年) ●同展のおしらせ
■福岡幸一版画展 ~北の樹、果樹~(2003年)
■福岡幸一版画展(2003年)
■福岡幸一版画展(2002年)
■福岡幸一展(2001年)
福岡幸一「静物」 =オホーツク管内置戸町所蔵
■第24回グループ環 展(2024年6月)
■第10回グループ環 展
■第9回グループ環 展=岩佐淑子さん出品
・中央バス「花畔中央」から約280メートル、徒歩3分
・中央バス「石狩庁舎前」から約550~600メートル、徒歩8~9分
※札幌ターミナルから「石狩線」(石狩行き、トーメン団地行き)、「厚田線」(道の駅あいろーど厚田行き)、「14 花川南団地線」「16 花畔団地線」、地下鉄南北線麻生駅から「麻08 緑苑台線」「麻13 花畔団地線」「麻14 花畔団地線」「麻15 花畔団地線」「麻16 花畔団地線」「麻17 南花畔通線」、地下鉄東豊線栄町駅から「栄19 栄町・花川線」、地下鉄東西線宮の沢駅から「宮47 手稲線」、JR手稲駅北口から「宮47 手稲線」「43 手稲線」のいずれの路線でも「石狩庁舎前」に行きます。このうち「宮47」「麻13」「麻15」「43」「石狩線」「厚田線」は、次の「花畔中央」にも止まります