北海道新聞社から発売されている「ミュージアム新書」は、以前も書いたけれど、地方の美術書出版はかくありたい-と言いたくなるほどの存在だと思う(筆者が書くと、さしさわりがあるかもしれないが)。
判型は小さいが価格は安め。すぐにたくさん売れる本ではないが、何年も在庫を持って長くじっくり売る(ロングテールですな)。
ほぼ年1冊ペースで(ただし、2006年以降は隔年)、これが28冊目になるが、絶版はわずかに5点しかない。
ところで、このミュージアム新書には、道内ゆかりの美術家のモノグラフ(評伝)が多い。木田金次郎や片岡球子、岩橋英遠などだ。
道内絡みのビッグネームはかなりの程度網羅しつつあるが
「え、どうしてこの人のが出てないの?」
と言いたくなる作家が何人かいて、その代表格が一原有徳さんだった。
まあ、一原さんの場合は、ほかにも何冊か本が出ており、深井克美の場合のように、ミュージアム新書がなければにっちもさっちもいかない-ということはなかったんだけど、やはりこうして手軽に画業を振り返ることができる一冊が出たことの意味は大きいだろうと思う。
この本は、とくに奇抜な趣向を凝らすことはなく、一原さんの半生と、遅かった画業のスタートと衝撃的なデビュー、そして現在に至るまでを、手堅くつづっている。
50歳近くなってからの版画家デビューだったので基礎から技法を学ぶことがなかったが、かえってそのことが幸いし、自由な制作ができた-という視点は、興味深い。
もうすこし紙幅があれば、登山や俳句、小説についても詳述できたのかもしれないが、それはないものねだりというものだろう。
ただ、筆者は市立小樽美術館と小樽文学館が共催した「一原有徳/新世紀」展で、一原さんが版画家になる前に著した山岳ガイド本の表紙を見た記憶があるのだが、この著の存在については、今回のミュージアム新書の中では、まったくとりあげられていない。やはり、本人著述のリストには入れておいた方がいいと思うのだが…。
北海道新聞社刊。1155円(税込み)。
北海道美術あらかると
■一原有徳「炎」
=以下画像なし
■一原九糸郎の俳句
■北海道版画協会小品展(2002年)
■しかおいウィンドウ・アート展(2002年)
■全道展2002
■一原有徳/新世紀へ(2002年)
■一原有徳/北海道の山(2001年)
判型は小さいが価格は安め。すぐにたくさん売れる本ではないが、何年も在庫を持って長くじっくり売る(ロングテールですな)。
ほぼ年1冊ペースで(ただし、2006年以降は隔年)、これが28冊目になるが、絶版はわずかに5点しかない。
ところで、このミュージアム新書には、道内ゆかりの美術家のモノグラフ(評伝)が多い。木田金次郎や片岡球子、岩橋英遠などだ。
道内絡みのビッグネームはかなりの程度網羅しつつあるが
「え、どうしてこの人のが出てないの?」
と言いたくなる作家が何人かいて、その代表格が一原有徳さんだった。
まあ、一原さんの場合は、ほかにも何冊か本が出ており、深井克美の場合のように、ミュージアム新書がなければにっちもさっちもいかない-ということはなかったんだけど、やはりこうして手軽に画業を振り返ることができる一冊が出たことの意味は大きいだろうと思う。
この本は、とくに奇抜な趣向を凝らすことはなく、一原さんの半生と、遅かった画業のスタートと衝撃的なデビュー、そして現在に至るまでを、手堅くつづっている。
50歳近くなってからの版画家デビューだったので基礎から技法を学ぶことがなかったが、かえってそのことが幸いし、自由な制作ができた-という視点は、興味深い。
もうすこし紙幅があれば、登山や俳句、小説についても詳述できたのかもしれないが、それはないものねだりというものだろう。
ただ、筆者は市立小樽美術館と小樽文学館が共催した「一原有徳/新世紀」展で、一原さんが版画家になる前に著した山岳ガイド本の表紙を見た記憶があるのだが、この著の存在については、今回のミュージアム新書の中では、まったくとりあげられていない。やはり、本人著述のリストには入れておいた方がいいと思うのだが…。
北海道新聞社刊。1155円(税込み)。
北海道美術あらかると
■一原有徳「炎」
=以下画像なし
■一原九糸郎の俳句
■北海道版画協会小品展(2002年)
■しかおいウィンドウ・アート展(2002年)
■全道展2002
■一原有徳/新世紀へ(2002年)
■一原有徳/北海道の山(2001年)