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■西村和 作陶展 (2013年10月15~21日、札幌) ※追記あり。

2013年10月21日 01時21分21秒 | 展覧会の紹介-工芸、クラフト
 ひさしぶりに見た西村なぎさんの個展は、三越札幌店ギャラリーという会場にふさわしい重みと存在感を持ったうつわがたくさん並んでいた。

 なかでも驚かされたのは「陶漆抹茶碗」などのうつわ。釉薬の代わりに漆を用い、じつに15回も、漆を塗ってはふきとることを繰り返す。そしてさらにすずを重ねた後にそれを拭いて、下の漆の層を少し出す。漆をきちんと塗って厚みを出さないと、表面の錫を削り取ったときにうまく漆が出ないというのだ。
 最後に錫を塗らないタイプは、漆塗りの回数は半分ほどというが、それでも7回で、一般の漆芸の茶碗と同じか、それよりも多いかもしれない。
「こういう技法があるのはもう10年も前から知ってていつかやろうと思っていたんです。でも、なかなか始められず、でも、ちゃんと習ってから―と思うと、またつい何年もかけて習っちゃいそうなので、えいやっと始めてみました」
 漆を重ねた器は、一見ずっしりと鈍い重さを放っているかのように見える。しかし、実際に手に取ると、意外と軽い。ご飯茶碗よりも、味噌汁をいれるお碗のほうが軽いのに似ている。

 このほか、網代麻薬文角花入など、文様の精緻さには、あいかわらず驚き。
 干し柿やたけのこ、唐辛子など、具象画的な文様もあり、作風の幅は広い。

 また、壁掛け型花器は斬新なデザイン。木の部分は村木昭彦さんの協力のようだ。


 西村和さんは、札幌の陶芸家。
 日本工芸会準会員。
 昔から端正なうつわを作る人ではありましたが、もっとカジュアルな日常使いのお茶碗や鳥のインスタレーションなどの印象も強くて、なんだかちょっと遠くへ行ってしまったのだなあという感慨もわいてくるのでありました。

(追記。この記事を読んだ西村さん本人から
「マグカップ1個からご注文も受ける庶民派なんだけどなぁ・笑」
という感想をいただきました(笑)。ほっとしたりして。)


2013年10月15日(火)~21日(月)午前10時~午後7時(最終日~4時)
三越札幌店 9階ギャラリー(中央区南1西3)


□穏やかな日々 http://homepage3.nifty.com/~nagi/

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