ラーメンを食べるとき、れんげをつけて出す店がある。
卓上にれんげ立てのような壺みたいな入れ物に入っている場合もあるが、概ねラーメン屋ではれんげを必需品としている傾向がある。
まずはスープをれんげで一口、フーフーしながら味見をするのが一般的なラーメン通の初期設定ではないか。
ときどきれんげを使ってスープを飲んだ後、丼のフチに立てかけておく。
ところが十分気をつけているにもかかわらず、アレと思う間もなくずり下がって水没(湯没)している。
途中までなら許す。
途中で止まってさえいれば救いようがあるのだが、柄のところまで深々と沈むとビショビショで手の施しようがない。
この時の落胆は筆舌に尽くし難い。
自分を責める気持ちは少しもなく、れんげを責める。
れんげの中にはずり下がり防止のための引っかけるところをつけたものもあるが、それでもなにかの拍子にずり下がる。
れんげはどこに置くのが正しいか。
れんげの底は平らになっているが、どこに置いていいのか。
テーブルにじかに、というのは抵抗があるし、と思いつつも結局はテーブルにじかに置くことになる。
店によってはれんげ専用の置き台(名称不明)がつくこともある。
JR宍道駅前こわた食堂のラーメン定食
れんげが活躍してる。
アタクシはラーメンを食べるとき、れんげは使わない主義だ。
ラーメンのスープは、れんげで掬って飲む場合と、丼にじかに口をつけて飲む場合とでは、じかのほうが美味しいような気がするからだ。
なのでラーメンを食べるときはれんげは邪魔ものだ。
だがれんげにもいいところあります。
このときばかりはれんげでなくては、という出番もあります。
炒飯についてくるスープ、このときばかりはれんげでなくてはなりません。
特に気合を入れてとったスープとは思われない、何でもないスープなのだが、炒飯の合間合間に飲むと何故か妙に美味しい。
器にじかに口をつけて飲むと美味しくない。
れんげで掬って飲むと、途端に美味しくなる。
炒飯のスープを金属のスプーンで掬って飲んでも美味しくない。
高級な中華料理店の炒飯ではなくて、そのへんのラーメン屋の炒飯についてくる小さな陶器に入ったスープ。
このときこそが、れんげの出番。
もちろん炒飯を食べるときにも重宝する。
出るところに出さえすれば、いい仕事をするのでした。