日本人にとって油揚げはあまりにも身近な存在で、ほとんど毎日といっていいほどどこかでお目にかかっている。
まず味噌汁。
油揚げと大根の千六本。
油揚げとワカメ。
油揚げと豆腐。
油揚げとネギ。
「油揚げ」と頭に油揚げが付くくらい、家来を引き連れて味噌汁界に乗り込んできている。
稲荷寿司というのもある
油揚げがなければ稲荷寿司は成り立たず、と言われるぐらい油揚げは主役を張っている。
もし油揚げが無かったら、いくら酢飯のほうが何も被らずに稲荷寿司の形に丸まって待っていてもどうにもならない。
稲荷寿司ってシワシワのシワに味がしみこんでるところが旨いんだよね。
今でも小学校の遠足や、親子運動会の昼飯の主役でしょうか❓
そこんとこの事情は詳しくないですが、油揚げの血統をたどると豆腐に行きつく。
正統派でない油揚げ、そこに豆腐に対して引け目がある。
"豆腐と比べて"というところに問題があるのです。
豆腐は、京都あたりでは伝統美とかいうことになってみんなの尊敬を受けたりしている。
片一方は油で揚げられたり、お腹にいろんなものを詰め込まれたりして苦労している。
油揚げは多分、相当悔しい思いをしているのではないか。
「油揚げと豆腐の味噌汁」はその両者が一つの器の中で同席している。
油揚げの心中やいかに。