ある家で下女をやとった。ところがここの主人は妻子がありながら、その女と情を通じ妻の目を盗んで不義をしていた。たび重なる中、妻に知られてしまう。
妻は怒りに狂い、その女の頭をくだいて殺してしまった。
主人は困り「急の病気でなくなったので、葬儀はこちらで行うので参列してほしい」と女の家に伝えた。
女の親族が葬儀の前に「死体にあわせてくれ」と願い出た。主人はこまり「なにか死因に疑念がおありか。
そういうものはない。もし死体になにかお疑いのものがあれば、私はすぐ腹を切る。もし見てなにもなければ、そちらが腹を切ってもらう」と強気に出た。
相手側は、そのいきおいにおされ死体を見ることなく葬儀がすんだ。
それからしばらくして、その家の者は次々と原因不明な病気,事故でなくなり家は滅んでしまった。
なお、最後の絵は魍魎(もうりょう)で、死者を食べる妖怪である。人間を霊界に誘う死神であり、水の神ともいう。さだまった姿は特になく、お住まいは墓の近く、身体はさほど大きくなく、全身赤くろい。