難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

2月11日、全通研集会におけるアピール文

2012年02月14日 10時58分00秒 | 障がい者制度改革
障害者総合福祉法骨格提言の実現を求める緊急共同アピール

2月8日の総合福祉部会資料として公表された「厚生労働省案」は、現行障害者自立支援法による障害者施策体系の存続が基本的な考え方になっている。これは、下記の点で見過ごすことができない問題がある。

1)障がい者制度改革推進会議及び総合福祉部会の軽視
 厚生労働省案は、昨年8月に障がい者制度改革推進会議第18回総合福祉部会において取りまとめられた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下「骨格提言」という)の内
容がほとんど反映されず、聴覚障害者を含む当事者・関係者55人により構成される同部会が1年にわたり議論した結果としてまとめられた骨格提言を軽視した取り扱いであり、障がい者制度改革推進会議の設置意義をないがしろにするものである。

2)国際及び国内の法秩序との不適合
 国連の障害者権利条約は、国連総会で日本を含む満場一致で採択された条約であり、障害者の権利保障の理念は世界の共通認識になっている。一方で現在のわが国の障害者施策は、障害者の権利を保障するものではなく、自己負担を伴うサービスの提
供という理念になっており、現行理念を存続させる今回の厚生労働省案は障害者権利条約に反している。
 また、2010年1月に障害者自立支援法違憲訴訟の原告団と国(厚生労働省)との和解により締結された基本合意文書は、「障害者自立支援法の廃止と新たな福祉法制の実施」「応益負担の速やかな廃止」等が明記されている。今回の厚生労働省案はこの内容に反するものである。

3)コミュニケーション関連施策の無視
 厚生労働省案は、聴覚障害者の情報アクセス・コミュニケーションの権利としての保障、コミュニケーション支援を全国一律の仕組みとして地域格差を解消すること、手話通訳者の身分保障等、私たち聴覚障害関係団体がこれまで求めていた要求にまっ
たく応えていない。また、骨格提言で提案された相談支援にかかる情報・コミュニケーションのバリアを解消するための提言も反映されず、聴覚障害者の暮らしや手話通訳者業務の改善にはまったく結びつかないものとなっている。
 We Love パンフの普及や全国116万人余の署名運動の取り組みが示すとおり、情報アクセス・コミュニケーションを権利として保障することを求める私たちの要求は幅広い国民の理解を得ている。

 今回の厚生労働省案は、私たちの要求にはまったく応えない内容であることを確認し、骨格提言を反映した、真に障害者の権利を保障し、そのための必要とする支援サービス体系へ移行し、情報・コミュニケーションが保障される新法となるよう要求
する。

2012年2月11日
財団法人全日本ろうあ連盟 一般社団法人全国手話通訳問題研究会

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