難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

要約筆記事業の法定化の意味

2006年06月17日 14時15分23秒 | 要約筆記事業
要約筆記者が奉仕員ではなく、要約筆記「者」でなければならない意味を確認したい。

今回の要約筆記者は、「者」なので「士」でも「師」でもない。何かをする力を持った人。何かというのが専門性。
この「専門」とは医療、司法の現場や大学レベルの講義という内容が高度という専門性もあるが、ここで「専門性」という場合、要約筆記をする知識、技術を持っていること。きちんと書ける、的確に要約出来ることそのものだ。
専門性のもう一つが、社会福祉サービスの一員としての自覚を持っていることだ。社会福祉サービスというのは人の幸せになる権利、障害などで差別を受けない権利、コミュニケーションをする権利など基本的人権を保障するために国と自治体が提供するサービスのことだ。
それを実施する根拠となるのが法律などの制度で、それに基づいて社会福祉サービスが提供される。

今回の支援法で要約筆記者は権利擁護の担い手になるというのはこういう意味があり、ここが奉仕員とは位置付けそのものがまったく違う。技術、意識というより、責任が違っている。
これまで要約筆記者(奉仕員)が要約筆記をしてきたというのはそのとおりだが、よってたつ根拠が今後は法律によるサービスということが全く違う点だ。

障害者自立支援法の地域生活支援事業として、要約筆記者事業が実施される場合、これまでとは立場が違うということが理解されなければならない。
だから、実施要項に要約筆記者に要約筆記奉仕員が含まれるとされても、立場が違うのでそのままあたることではありえない。
その立場に合わせるために補習研修と認定が必要になる。

ラビット 記

本日の会社の田植え後
田植え後


補聴器メーカー社長の補聴器

2006年06月15日 08時37分56秒 | 生活
060614_1949~001.jpg060614_1851~001.jpg昨夜、日本補聴器工業会の総会後の懇親会に招待されて、参加した。
新理事長にリオン株式会社代表取締役社長の井上清恆氏が就任され、「激動の2年」(同氏)を担われる。
関連業界の挨拶を聞くと補聴器の普及(販売)とそのための欧米なみの資格制度を持つための法整備を目指しているようだ。

新しく理事になられたA氏は私も補聴器を使用しているんですよと両耳から外して見せてくれたのはこれが補聴器と思うようなものだった。
一辺が2センチ位の三角形のプラスチック片だった。細いワイヤーみたいな先に六ミリくらいのイヤホンがついていて、これがスピーカーになっている。意表を突かれた。今年5月に発売されたばかりの新製品で、補聴器ではなく、「ヒアリングデバイス」と言う。

補聴器メーカーの社長が補聴器ユーザーというのは大変心強く感じた。

ラビット 記




パスポートセンターの呼び出し 筆談ボード

2006年06月14日 23時09分58秒 | 生活
060614_1734~001.jpg060614_1739~001.jpgパスポートセンターの呼び出しは銀行などにある番号表示だ。呼び出しは番号表示と音声でもしている。
耳マークはない。筆談ボードもない。

係員とは全て筆談ボードでやりとりをした。聞えないので書いて下さいとみせると、係員の方はすぐにペンをとって書いてくれたのでOKだ。ちょっと書く文章が丁寧すぎるかな。

ラビット 記




藤沢市の市民センターの耳マーク

2006年06月14日 22時48分26秒 | 生活
060614_0946~001.jpg060614_0946~002.jpg証明書の申請で市役所の支所に行ったら「耳マーク」が置いてあった。
地元の活動の反映だろう。

職員の方が私の胸の耳マークに気が付いてくれた。急に対応が堅くなってしまったようだが、意識して頂けただけでも良いか。後は利用する人が増えて慣れてもらえば良いのだから。

ラビット 記





コミュニケーション支援事業の団体派遣

2006年06月14日 12時54分44秒 | 要約筆記事業
060528_1314~001.jpg要約筆記の団体派遣は中途失聴・難聴者協会の運営にも関わる問題でコミュニケーション支援事業で継続を強く要望している。

「団体」という言葉がそもそも個人の尊重と自己決定を基本とする障害者自立支援法の中に適用しにくく、別の言い方を考えなくてはならないようだ。
厚生労働省もその理由は理解しているが具体的には自治体まかせになっている。

ラビット 記





東京都中途失聴・難聴者協会の理事はハードです 

2006年06月13日 09時22分49秒 | 生活
060528_1605~001.jpg060528_1850~001.jpg5月28日(日)は、東京都中途失聴・難聴者協会の総会だったが、理事は朝からとてもハードな一日になった。
今回の総会は役員改選はなかったが会員の四分の一弱の会員が出席して、熱心に議案に集中されていた。

理事は、前日夜9時までの協会運営委員会に出席したあと、朝10時に集合して総会準備と打ち合わせをして、臨んだ。
総会後は会員との交流会を設定して、日頃話す機会のない会員と理事で、交流ができればと企画したものだ。8人ほどの青年が残って、自己紹介や職場の問題を話し合った。


続く。

ラビット 記



全要研集会in札幌 

2006年06月12日 21時57分45秒 | 要約筆記事業
060611_1034~002.jpg060611_1037~001.jpg6月10日、11日の二日間札幌コンベンションセンターで、第24回全国要約筆記問題研究集会に470名の参加があった。
障害者自立支援法により要約筆記事業がどうなるのかが中心課題のはずだが、十分とらえきれていたかというと不十分だった。
運動論の分科会には全要研と全難聴の両理事長が出ていたがはっきり言えば、議論が噛み合っていなかった。
全難聴理事長は要約筆記事業の法定化により中途失聴者、難聴者の福祉の発展の好機ととらえているのに対して、全要研理事長は「要約筆記者(奉仕員)の活動は何も変わらない」というように、自分たちはどうなるのかというところに力点があったからだ。

なぜか、「意識」の問題だ。要約筆記「者」が誕生することで、これまで「要約筆記者」だった人が自分たちのこれまでの活動を否定されるように受けとめる人も多い。
要約筆記「者」は社会福祉サービスの位置付けとなったことを十分に理解することで、奉仕員としての活動も明確になる。

ラビット 記




平べったい磁気ループコード

2006年06月10日 22時28分25秒 | 機器について
060610_1104~001.jpg060610_1105~001.jpg全要研集会で会場に磁気ループがなく、見慣れた磁気ループアンプが持ち込まれていた。ただキャブタイヤケーブルのコードではなく、平べったいコードが剥き出しのまま敷かれていた。
これはタイルやカーペットなどの下に敷く敷設用のコードなのか、何かの流用なのかわからなかった。
聞えはどうだったのか聞いてみたい。

ラビット 記




タッチする注文パネルと聴覚障害の理解

2006年06月09日 01時07分04秒 | 生活
060607_1853~001.jpg060607_1920~001.jpg職場の歓送迎会を全国展開する居酒屋チェーンで行った。
女性ばかりのチームなのでおじさん管理職はどういう雰囲気の店がいいか、どういう食べ物が良いか分からない。先輩格の女性にメールで聞いたら、私鳥キライであえなくボツ。次の店は返事もない。困ったが返事がないのは良いと言うサインだと気がついてゴー。
店に電話で予約を入れ、料理を注文しようとすると騒がしくて聞こえない。やむなく「難聴なので良く聞こえない」というとファックスを送りましょうかと言ってくれる。
これなら、安心。やはり正攻法で聞こえないことを初めに言い、コミュニケーションの方法を示せば良いのだ。社会が難聴の障害と対応の方法に理解があれば、それだけですごく楽になる。

お店のちょっと窮屈なところに押し込まれたが、女性には年齢やキャリアで席をどうするか悩んだが成り行きに任せた。はあ~。始まる前から疲れる。
飲みもののオーダーを集めなくてはならない。紙に書いてもらって集めようとすると注文はテーブルにある液晶テレビみたいなタッチパネルだ。
あちこち押してやっとこさ終えたらもう次の注文。近くにいた女性がパッパッと押して次々と入れていく。おいおい間違えないのとみていたら、受注担当者たちだから画面に表れた文字や数字は一瞬にして読み取るのだ。彼女たちは毎日膨大なデータを入力しているのだ。いちいちメガネを外して見るおじさんと違うわ。
そうとなったら、会計はお任せして下さい、自由に注文してと宣言して、隣りの若い女性とホワイトボードで筆談を楽しんだ。

ラビット 記




新宿駅の監視カメラとコミュニケーション支援事業の有料化

2006年06月08日 21時22分46秒 | 福祉サービス
060605_2155~001.jpg060605_2156~001.jpg新宿駅のあちこちに監視カメラが設置されている。
駅員が犯罪防止の目的だとしても犯罪以外の目的に使われない保障はない。
監視することを誰がどういう条例なりで認められたのか?JR東日本の規則か。新宿区の条例か、交通に関する法規に監視カメラについてあるのか。
人権に関わる問題なので法律や条例が必要なのだ。

障害者自立支援法の地域生活支援事業の施行でこれまで無料だったコミュニケーション支援事業の手話通訳等の派遣が有料になる恐れがある。
しかし、障害者自立支援法にはコミュニケーション支援事業に負担を定めていない。しかし市町村の判断で有料にすることができる。「判断」と言っても市長の判断ではない。議会という市民の判断が必要で、条例制定という形をとる。
何故か、市民の生活と権利に関わる問題だからだ。市民プールの入場料とは違う。
障害者自立支援法では、市町村は障害者に関わるサービスは聴覚障害者は利用出来るようにしなければならないとある。
「障害者自立支援法第2条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。
三項 意志疎通について支援が必要な障害者等が障害福祉サービスを円滑に利用することが出来るように必要な便宜を供与すること、(以下略)」
聴覚障害者が市町村の福祉事務所や窓口でサービスを利用する場合、要約筆記や手話通訳を用意しなければ法律違反になる。
それにより損害を被った場合、賠償を求めることが出来るのではないか。

租税公課の負担と市民の権利の制限を定めるのは法律だ。
 
ラビット 記




地域の要約筆記サークルのリーダーの声

2006年06月07日 03時03分40秒 | 要約筆記事業
「私たちは地域の難聴者のために一所懸命活動しているのに、どうしてその活動の場をなくすような要望をするのか」という要約筆記サークルの人の発言には、一所懸命活動している私たちボランティアの活動を保障して欲しいとも受け取れる。
要約筆記サークルが難聴者の支援ではなく、要約筆記をボランティアで行う人の自己実現の場になっているのではないか。ボランティアは、自発的な意志による活動であるから、自分に満足が得られなければ活動が継続しないし、自分が難聴者に喜んでもらっているかどうかが活動の基準になりがちだ。

協会の組織に入っている、いないに関わらず難聴者は、誰でもコミュニケーションの保障が受けられる権利がある。要約筆記サークルのボランティアが身近にいなくてもコミュニケーション保障が必要だ。身近にいればなおさら要約筆記者による要約筆記が提供されていなければならない。
難聴者の主体性を尊重しつつ、権利擁護の観点から支援をする。難聴という障害は瞬時に消え去るという音、音声によるコミュニケーションの障害であり、人と人との関わりの障害でもあり、そのことが当事者の精神内面的なものも大きいので、障害を機能的な面、社会的な面、精神的な面とかなり専門的な支援が必要である。

自立支援法では、要約筆記は要約筆記者事業になるのは国と地方自治体がコミュニケーション保障に責任を持つということだ。そのことが、社会福祉法の第二種事業にも指定されている公的サービスということだ。

「奉仕員」という言葉には、中途失聴・難聴者の権利擁護の意識は感じにくい。ボランティアはどこまで責任を持つべきか。

ラビット 記




今日は補聴器の日だ(2)

2006年06月06日 21時31分25秒 | 生活
補聴器の日だというので、新聞でそれらしき記事を探したが、載っていない。

同日の朝刊に掲載された某大手住宅メーカーの広告でECO&UD(ユニバーサル・デザイン)がうたわれている。しかし、「聞こえのUD」ではないようだ。プラズマテレビ、AVの操作性が向上するといってもリモコンでカーテンや証明が操作できるというもので、聞こえのバリアフリーには触れていない。

一方で、某大手家具メーカーが、家具のショールームに耳マークを掲示し、簡易筆談器も置きたい、難聴者にどう接したらよいか教えてほしいと、協会に相談に来るところもある。
ドキュメンタリー映画の「ヨコハマメリー」の監督に字幕を入れて欲しいと要望したら、前向きに考えてくれる返事が来たり、ある劇場の歌舞伎講座に字幕をつけて欲しいと依頼すると二つ返事で支配人から電話がある。
多分、ニーズは感じているのだが、対応のノウハウがないのかもしれない。ノウハウを普及するのは「聞こえの支援員(難聴者等支援員)」の役割の一つだ。

高齢者が2600万人を超える難聴化社会への対応は、「商機」ではないのだろうか。

ラビット 記



今日は補聴器の日だ

2006年06月06日 21時30分26秒 | 生活
今日6月6日は、補聴器の日だ。日本補聴器工業会が数字の「6」を二つ重ねて、耳の形を意匠化したものだ。
http://www.hochouki.com/camp/

しかし、一般社会では「補聴器の日」が定着したとは言えない。「補聴器の日」が補聴器販売店や補聴器メーカーが販売促進の日と思っているなら、普及しないだろう。
補聴器は、使用している難聴者にとっては、故障したり、見失ったりするとたちまち不安にかられるくらい、生活から一時も手放せないものである。一方で、なかなか補聴器で期待した効果が得られないとして、何度となく補聴器を買い換える難聴者も多い。
まだ、適切な価格の適切な補聴器に出会っていない難聴者は補聴器を使っている難聴者の何十倍もいるだろう。
補聴器販売店、補聴器メーカー業界は、補聴器の販売から一歩引いて、耳や聞こえの健康、社会の音環境の改善、難聴者の困難への理解、経済的生活が困難な高齢者への聞こえの支援など、社会貢献活動に全力を挙げるべきだ。
その中で、国民の聞こえに対する関心が高まり、難聴者と補聴器に対する理解が進み、ひいては補聴器の普及につながる。

補聴器は、医療器具であり、医師の診断や適切な専門家による調整(フィッティング)が必要なことが社会に理解されているとは思えない。業界は、店に閉じこもらず街頭に出て、もっと社会に訴えるべきだ。

http://shibuya.cool.ne.jp/tyothpa/market1.htm

ラビット 記



要約筆記者と「奉仕員」の仕事の範囲

2006年06月05日 18時34分43秒 | 要約筆記事業
○「通訳」はコミュニケーション支援の場合「意思の疎通を仲介する」こと。
聴覚障害者に対するコミュニケーション支援は要約筆記と手話通訳だが、手話通訳は言語の通訳と生活支援の両方を兼ねるような議論がある。
難聴者対する支援はコミュニケーション支援とそれ以外の幅広い支援とがあり、ニーズは多様だが誰がどういう役割を担うのか?
コミュニケーション支援を担うのは前者だが後者は「奉仕員」?手話奉仕員と要約筆記を習得しない奉仕員の役割はまた違うのか。

○要約筆記者の難聴者に対する支援を全て担うわけではないが、対人支援という場合、何を指すのか?
観察による支援の必要性を見い出すことは対人支援の一部?
「通訳行為」は「通訳」の一部?対人支援が含まれるのか?
例えば相談支援、就労支援、教育支援の一部も?
要約筆記者は自ら現場で行う支援は通訳行為だけになるのか?




コミュニケーション支援事業の懸念

2006年06月02日 23時15分26秒 | PHSから
060530_0836~001.jpg障害者自立支援法の第77条2項に地域生活支援事業の一つとして、「手話通訳等を派遣する」事業とあるが、3月1日に厚生労働省障害福祉関係課長会議で提示された地域生活支援事業の実施要項には別記2として、コミュニケーション支援事業が掲げられている。

事業名称は「コミュニケーション支援事業」であり、留意事項に手話通訳、要約筆記の担い手が、それぞれ掲げられているが事業としては一つである。
地域生活支援事業は個々の事業別ではなく、統合予算で実施される。「要約筆記事業」という事業で実施されるわけではないので、コミュニケーション支援事業の中に要約筆記も含まれる。
そうするとよほど要約筆記「事業」のことを説明しないと手話通訳事業=コミュニケーション支援事業てなって、予算が増えない恐れがある。

ラビット 記