3月1日に開かれた厚生労働省障害福祉関係主管課長会議で、地域生活支援事業実施要綱案が提示されている。
コミュニケーション支援事業は(別紙2)とされている。
1 目的に、「聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある障害者等に、手話通訳等の方法により、障害者等とその他の者の意思疎通を仲介する手話通訳等の派遣等を行い、意思疎通の円滑化を図ることを目的とする。」とある。
これは、身体障害者福祉法の記述と同じで、「等」には要約筆記が含まれる。このことは、1月20日に中央対策部が厚生労働省と交渉した際にも明言している。
「なお、実施要綱・ガイドラインについて、地域生活支援事業に関する政省令のうち、現段階ではっきり言えるのは「手話通訳等」に要約筆記が含まれるということ」。(http://blog.goo.ne.jp/houantaisaku/)
これは、「要約筆記」という言葉に、手話通訳と同等の通訳という意味を持たせていることでもある。
2 事業の内容に、「手話通訳者、要約筆記者を派遣する事業、手話通訳者を設置する事業など」と要約筆記者を派遣する事業を明記しており、立法時から要約筆記者事業を意識したものとなっている。
なぜか、要約筆記は法律と省令で「通訳」事業であるにもかかわらず、事業は奉仕員事業として位置づけられて来た。このことを、厚生労働省は全難聴の大会や総会、全要研集会、福祉医療機構による要約筆記事業の転換を図る調査研究事業の委員会などで指摘して、要約筆記奉仕員事業を要約筆記者事業とするために、要約筆記の専門性やニーズを明らかにするように求めてきたのである。
それは、三位一体改革で、地方自治体、国とも財政規模圧縮の中で専門性のある事業でなければ事業の優先順位が低くされてしまう。要約筆記がもし奉仕員で良いとするならば、任意に実施される障害者自立支援法第77条第3項その他の事業の社会参加促進事業なので、予算のひっ迫している自治体では実施されない可能性が高い。
4 留意事項で、「要約筆記者」に「要約筆記奉仕員」として登録されたものとある。
これは、現時点では要約筆記者派遣事業で派遣されるものは「要約筆記奉仕員」しかいないからで、当然である。
しかし、これは、手話奉仕員とは異なることに気が付いて欲しい。手話奉仕員が通訳として派遣されている実態があるにせよ、手話奉仕員はコミュニケーション手段として手話を習得した人たちで、通訳として養成された人ではない。要約筆記奉仕員が学んで、課せられたのは「通訳行為」であり、これはコミュニケーション手段ではなく、コミュニケーション支援方法であることをよく理解しなければならない。手話奉仕員にあたる要約筆記奉仕員の役割はない。
要約筆記者は、要約筆記奉仕員とは違う、専門性のある通訳を担う人としなければ、上述したように予算が付かないのである。
要約筆記者派遣事業は、法律で実施が義務つけられた市町村の必須事業となっている。当然、奉仕員ではなく、要約筆記者でなければならない。
要約筆記者事業は、今はやむなく、要約筆記奉仕員によって担われるが、そのまま要約筆記者として派遣されて良いわけではない。
予算措置上、議会にも社会にも利用者にも説明責任が生じる。自治体、派遣事業者は、通訳としての要約筆記者を担保しなければ、責任がもてない人を派遣することになる。
したがって、要約筆記奉仕員が要約筆記者になるにあたっては何らかの担保、登録試験が必要になる。これが認定試験だ。
これは、先の1月20日の交渉の時に、厚生労働省がこう言っている。
「手話・要約筆記について、唯一限定的に書こうと思っているのは「資格」のところ。『手話通訳者』については「都道府県が実施する手話通訳者の養成研修の試験で合格した方」と定義している。そこは一定の担保として必要なので、そこは残す。そこ以外の分野は、市町村に工夫をお願いするようになる。」
要約筆記者事業が、要約筆記奉仕員事業として養成や派遣事業として実施されようとするならば、厚生労働省が自ら言ってきたことにも反するし、難聴者等に責任が果たせないことになる。全難聴と全要研は、要約筆記者事業が要約筆記奉仕員による事業と解釈しようとする自治体があれば、強く説得しなければならない。
ラビット 記
コミュニケーション支援事業は(別紙2)とされている。
1 目的に、「聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある障害者等に、手話通訳等の方法により、障害者等とその他の者の意思疎通を仲介する手話通訳等の派遣等を行い、意思疎通の円滑化を図ることを目的とする。」とある。
これは、身体障害者福祉法の記述と同じで、「等」には要約筆記が含まれる。このことは、1月20日に中央対策部が厚生労働省と交渉した際にも明言している。
「なお、実施要綱・ガイドラインについて、地域生活支援事業に関する政省令のうち、現段階ではっきり言えるのは「手話通訳等」に要約筆記が含まれるということ」。(http://blog.goo.ne.jp/houantaisaku/)
これは、「要約筆記」という言葉に、手話通訳と同等の通訳という意味を持たせていることでもある。
2 事業の内容に、「手話通訳者、要約筆記者を派遣する事業、手話通訳者を設置する事業など」と要約筆記者を派遣する事業を明記しており、立法時から要約筆記者事業を意識したものとなっている。
なぜか、要約筆記は法律と省令で「通訳」事業であるにもかかわらず、事業は奉仕員事業として位置づけられて来た。このことを、厚生労働省は全難聴の大会や総会、全要研集会、福祉医療機構による要約筆記事業の転換を図る調査研究事業の委員会などで指摘して、要約筆記奉仕員事業を要約筆記者事業とするために、要約筆記の専門性やニーズを明らかにするように求めてきたのである。
それは、三位一体改革で、地方自治体、国とも財政規模圧縮の中で専門性のある事業でなければ事業の優先順位が低くされてしまう。要約筆記がもし奉仕員で良いとするならば、任意に実施される障害者自立支援法第77条第3項その他の事業の社会参加促進事業なので、予算のひっ迫している自治体では実施されない可能性が高い。
4 留意事項で、「要約筆記者」に「要約筆記奉仕員」として登録されたものとある。
これは、現時点では要約筆記者派遣事業で派遣されるものは「要約筆記奉仕員」しかいないからで、当然である。
しかし、これは、手話奉仕員とは異なることに気が付いて欲しい。手話奉仕員が通訳として派遣されている実態があるにせよ、手話奉仕員はコミュニケーション手段として手話を習得した人たちで、通訳として養成された人ではない。要約筆記奉仕員が学んで、課せられたのは「通訳行為」であり、これはコミュニケーション手段ではなく、コミュニケーション支援方法であることをよく理解しなければならない。手話奉仕員にあたる要約筆記奉仕員の役割はない。
要約筆記者は、要約筆記奉仕員とは違う、専門性のある通訳を担う人としなければ、上述したように予算が付かないのである。
要約筆記者派遣事業は、法律で実施が義務つけられた市町村の必須事業となっている。当然、奉仕員ではなく、要約筆記者でなければならない。
要約筆記者事業は、今はやむなく、要約筆記奉仕員によって担われるが、そのまま要約筆記者として派遣されて良いわけではない。
予算措置上、議会にも社会にも利用者にも説明責任が生じる。自治体、派遣事業者は、通訳としての要約筆記者を担保しなければ、責任がもてない人を派遣することになる。
したがって、要約筆記奉仕員が要約筆記者になるにあたっては何らかの担保、登録試験が必要になる。これが認定試験だ。
これは、先の1月20日の交渉の時に、厚生労働省がこう言っている。
「手話・要約筆記について、唯一限定的に書こうと思っているのは「資格」のところ。『手話通訳者』については「都道府県が実施する手話通訳者の養成研修の試験で合格した方」と定義している。そこは一定の担保として必要なので、そこは残す。そこ以外の分野は、市町村に工夫をお願いするようになる。」
要約筆記者事業が、要約筆記奉仕員事業として養成や派遣事業として実施されようとするならば、厚生労働省が自ら言ってきたことにも反するし、難聴者等に責任が果たせないことになる。全難聴と全要研は、要約筆記者事業が要約筆記奉仕員による事業と解釈しようとする自治体があれば、強く説得しなければならない。
ラビット 記