表情、口調、声の大きさで、その人の発した言葉の受け取り方は違います。
字幕に頼った場合は、文字の持つ意味合いが強くなります。
先日の英会話教室で取り上げられた英単語は
「distract」(ディストラクト)・・・気が散る・気をまぎらす
若い英国人講師は例文をホワイトボードに書きました。
「Shut up! You're so distracting.」(シャラップ! ユァソウディストラクティン)・・・黙れ! 気が散るよ
情景の想定は、自分がパズルに夢中になっている最中に、兄弟がうるさくアドバイスをしてくる場面だそうです。
講師は耳を両手でふさいで、頭を振るジェスチャーをしました。
かなり大人の女性である、私たち生徒を見回して
若い講師は、少々乱暴な表現だと感じたようです。
新たに、二文を追加しました。
「Please be quiet. You're a little distracting.」(プリーズ ビクァィエッ ユァラリトゥ ディストラクティン)・・・お願い、静かにして。 ちょっと気が散るのよ。
「Please be quiet. You're distracting me.」(プリーズ ビクァィエッ ユァディストラクティンミ)・・・お願い、静かにして。 気が散るわ。
そうですね。
私たちが英語で 「シャラップ!」 黙れ! を使う場面はないでしょう。
我が子らも大人になっていますし・・・。
この使い分けが、この日の "NHKニュース7” に繋がりました。
画面はトランプ米大統領の記者会見の様子。
女性記者の声の日本語字幕によれば
"非白人女性議員に 「もともといた国に帰ったら」 の発言は人種差別ではないのか”
この女性記者は、指名されていないのに質問を強行しているらしく
トランプ大統領は、何度も
「Quiet ! Quiet ! Quiet !」(クワィエッ)
と、言い続けていました。
その時の日本語字幕は
「黙れ! 黙れ! 黙れ!」
乱暴な言い方です。
この和訳は、安倍首相が記者会見で、割り込み発言の記者に
「静かに!」 と、言った言葉が 「Shut up!」(黙れ!) と英訳されるような感じなのでしょうか?
心の中は 「黙れ」 と言いたくても
いくら、あのトランプ大統領だって、正式の場で 「黙れ」 なんて言うかしら?
翻訳の仕方で、イメージが悪くなったり、良なったりします。
特に日本は尊敬語や敬語、丁寧語や謙譲語を使い分けますから、受け取るイメージに、差が出ます。
難しいことですね。