WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

パット・メセニー&ジム・ホール

2006年10月09日 | 今日の一枚(I-J)

●今日の一枚 67●

Jim Hall & Pat Metheny

Scan10007_18  3連休も今日で終わりだ。今朝、73分57秒の長いこのアルバムをしばらくぶりに聴いた。嵐も過ぎ去り、天気の良いさわやかな朝だ。こんな朝にぴったりのアルバムだ。穏やかな気持ちになり、時間がゆっくりと流れていった。

年齢こそ大きく違うが、互いに尊敬の念を失わない2人のギタリストによる1998年録音盤だ。ジム・ホールはいわずと知れたジャズギターの巨匠、ジムを敬愛するパットの才能はいまや誰の目にも明らかだ。才能溢れる2人の競演ということでテクニックの応酬となる可能性だってあるわけだが、そうならないところがこの2人のすごいところだ。パット・メセニーは数種類のギターを使い分けカラフルなサウンドを志向するが、ジム・ホールの落ち着いたギターがサウンドに安定感を与えている。ギター・ワークは違っても「歌心」の部分では共通しており、安心してしかも心地よく聴くことができる作品である。

 アルバムタイトルはあえて2人の名前だけのシンプルなものにし、アメリカ盤にはライナーノーツもつけなかったということで、ジム・ホールの言によれば、「ふたりのギタリストが、ただ演奏しているだけ、そんな場面を浮かび上がらせたかったんだ」とのことである。


チャへリー・ヘイデン&ケニー・バロンのナイト・アンド・ザ・シティー

2006年10月09日 | 今日の一枚(C-D)

●今日の一枚 66●

Charlie Haden / Kenny Barron     Night And The City

Scan10015_4  もう深夜だ。零時を過ぎてしまった。明日は休日だが、仕事がたくさんある。家族はもう寝静まった。

 深夜にひとり聴くアルバムである。帯にも「夜の都会に棲むメロディー」と書いてある。お洒落な宣伝文句だ。1996年のニューヨーク”イリディウム”でのライブ録音盤である。デュオ作品だ。

 チャーリー・へイデンのベースは、重く深く沈むような響きだが、サウンド全体はとてもリラックスした雰囲気だ。リラックスしてはいるが、もちろんいい加減な演奏ではない。2人の間の緊密な空気は十分伝わってくるし、旋律を奏でるケニー・バロンのピアノも優しく美しい調べだ。

 ケニー・バロンといえば、20年程前にサントリーホワイトのTVコマーシャルにロン・カーターが出演していたが、その時の音楽でピアノを弾いていた男だ。当時は、何と繊細なピアノなのだろうと思ったものだ。あのピアニストが数年後に、スタン・ゲッツと名演を残し、今日では「名人」のひとりに数えられるようになった。感慨深いものがある。

 デュオが好きな私は、以前からケニー・バロンにはデュオが似合うとかってに思い込んでいる。ドラムがないほうが、テンポが自由で、繊細なタッチがより生きると思うからであるが、いかがであろうか。ケニー・バロンには、もっともっと、デュオ作品を吹き込んでもらいたい。